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インターネット会報2004年4月号


【論説】   「内吹き」「外吹き」は存在しない。あるのは理想的に鳴る一点だけ 貴志清一

N氏よりのお便りをまず紹介させていただきます。  「会報170号を見まして、メリ音については皆様、悩まれていることを知り安心しました。  ところで、私の場合、内吹きのためどうしても甲音になると音程が低くなる傾向があり、外吹きに変えたいと思っております。しかし、くせというものは直らないものです。」  

この問題につきましてお答えさせていただきます。

○まず私は、何が「外吹き」で何が「内吹き」かがよく分かりません。  音程は歌口の開口面積で決まりますので、音が低ければほんの少し歌口の開きを大きくすることで解決します。  そもそも、内吹きも外吹きもあるはずはなく、理想的に「鳴る」ポイント(点)は一つだけです。ある人は少し息を外に出すようにすることでそのポイントを見つけ、他の人は少し息を中に入れ気味にするだけなのです。  「内吹き」「外吹き」という言葉に惑わされて本当にいい音が出るポイントづくりを忘れてはいけないのです。また一つ一つの音について良い音の出る息の当たりは違います。  その一つ一つの音について瞬時にいい音が出るように訓練するために「毎日のウオーミングアップ」を書かせていただいたのです。  

今の吹き方を「内吹き」と思っていらっしゃるのでしたら、その「内吹き」のまま練習を重ねて良い音程の素晴らしい演奏力をつけてください。

【論説2】 鳴る尺八は存在するか? 貴志清一

(鹿児島 T氏より)  邦楽ジャーナル2月号、新・邦・楽人のページに岩田卓也さんのことが出ていましたが、芸大3年生の時、「鳴る楽器と鳴らない楽器があることを知り、鳴る楽器に出会い、感動。吹くことが面白くなった。」の記事を読んで何か考えさせられました。私にもそのような出会いがないものかと。

○尺八演奏の専門家の言葉ですから、この「鳴る楽器に出会い、感動」の文章は説得力がありますね。  私は色々と質問されるとき、「全ての尺八は鳴るものだ。そして全ての楽器は鳴らせるものだ。」とお答えしています。そして、たいていは尺八を2,3本持ってらっしゃるので、その全てをとにかく鳴らします。  これによって訪ねていらっしゃった方は納得されます。  そのあと、念を押すように「あまりに尺八本体にこだわらないように。尺八愛好家といえども極めて高い尺八を買うのはやめて、そのお金の半分を良い先生の所のお稽古代に充てる方がいいです。」このようにアドバイスします。  しかし、口には出しませんが各尺八によって良い音色が出たり、吹き心地が良かったりというのはあります。またあまりに律の悪い等の粗悪品もあります。それでも何とかなだめすかして吹けば、そこそこ鳴るものです。  

私は、今も昔も、尺八愛好家の多くがあまりにも尺八にこだわりすぎ、自分の演奏力を棚に上げて自分の未熟さ加減を楽器のせいにすることに注意を促したいわけです。  「鳴る尺八」「良い音色で答えてくれる尺八」「余韻の残る尺八」などは存在することを認めます。そして今私が吹いている一尺八寸管は「良い音色で鳴り、余韻の残る」尺八です。  ここが難しいところで、びゅうびゅう馬鹿鳴りはしませんが余韻の残る・良い音色を追求したくなる尺八に巡り合い、その尺八から「どんな尺八も鳴らせるコツ」を教えてもらったとも言えるのですね。  そういう私が、値段ばかり高くて粗悪品に近い尺八を吹いている方に「全ての尺八は鳴らせるものだ。」と言えば論理的に矛盾していることになります。  この矛盾は私自身十分承知しているのですが、あまりに楽器にこだわる人が多いので質問を受けたときは「尺八は鳴らすべきだ。」というお答えをしているわけです。  

会員さま方のいろんなご意見をお待ちしています。(貴志)  どうしてもよく分からないときは、ご来阪の折り拙宅までお越しください。(貴志)お越しの際は、往復はがきでお問い合わせ下さい。4月は第2、第4日曜が相談日です。  
郵便590−0531  大阪府泉南市岡田2−190 貴志清一  

【お知らせ】  菊実和 里 箏リサイタルが近づきました。
日時:2004年4月18日(日) 開場 14;00〜   開演 14:30〜
会場:豊中市立伝統芸能会館  (大阪)阪急宝塚線「岡町」駅より西へ2分 п@06-6850-1313   入場無料
出演:  菊苑 馨  貴志 清一  菊実和 里
◆ 曲目 鳥のように 雨の水前寺  琴古流尺八本曲    他