会報 No.11
論説 「ムラ息」の奏法について 貴志清一

武田 時義 氏より「”ムラ息”についても一度会報上で取りあげてください 。」と言う
お便りを前に頂きました。なかなか会報誌上でお答えする機会がなくご迷惑を おかけして
いました。私の知り得る範囲でお答えしたいと思います。

★「ムラ息」は音楽的にいえばやはり旋律を装飾する(ワサビのような)一つ の技法だと
思います。
ですから、始めから終わりまで「ムラ息」と言うのはあたかも刺身を食べずに ワサビだけ
食べさせられているようなものです。気をつけて下さい。
 さて、大昔のまだ呪術的な神が人間の意識の中に生きていた時代、神おろし のために吹
いたかも知れない石笛や岩笛の音の雰囲気が能管の”ひしぎ”という「ヒー」 と言う音に
受け継がれ、その音と尺八の「ムラ息」が似ていると私は考えています。
 
技法的に「ムラ息」を一言で言うと、「普通の吹き方よりはずれた吹き方」な のです。 
琴古流古典本曲では、高音を十分聞かせておいて、・上下唇を合わせる瞬間” プッ”と息
を吹きだし・カリぎみにしておいた尺八の歌口にいい音にならないように吹き ・甲から乙
音へユリながら落としていくこの様になります。 ただし、これを一瞬の間に してしまわ
ないといけないので、難しいのだと思います。  

今琴古流本曲「鹿の遠音」を例にして五線譜との対応で説明したいと思います 。 
この曲中、3カ所「ムラ息」が出てきます。 尺八譜と五線譜をよく対応させ て見て下さ
い。(省略)  
ここで気を付けなければならないのは、この「ムラ息」を練習し過ぎると音に 艶がなくな
ってくると言うことです。本当に気を付けて下さい。 いろいろ説明させてい ただきまし
たが理解するには、やはり百聞は一見にしかずの通り上手な師匠のところへい くのが一番
だと思います。 地方の方、流派の関係でどうしても上手な見本が見れないと きは市販の
ビデオを見て下さい。 それも手に入らない時は、私の演奏ビデオでよければ 「ムラ息の
練習法」というのを作りますのでお知らせ下さい。ご希望複数の時は作成し、 会報でお知
らせし第3事務局を通じて配布いたします。
 

会報 バックナンバー・リスト 
(インターネット版では掲載していない会報があります)

会報1号 ・唇の周りの適度な緊張について (私のスランプ脱出法)
会報2号 ・私の「息返しの工夫」 (大阪)  神崎 憲 ・「尺八−毎日の 日課」
尺八吹奏の基礎    (第二部)の不適切な箇所について
会報3号 ・誰でもできる、「玉音」練習法
会報4号 ・「撥雲尋道附 三曲の解説」小曽根 蔵太 著   
    {雲を撥(はら)いて道を尋ぬ}  安藤 敬山  
・一目でわかる「陰音階早見板」
会報5号 ・最初の20分間は乙音を中心に吹かなくてはならない
会報6号    ・古典本曲「山谷菅垣」の由来について
会報7号    ・童謡からはいる尺八五線譜入門(その1)
会報8号    ・童謡からはいる尺八五線譜入門(その2) ーーリズム編 ーー
会報9号    ・尺八界「アマチュアの条件」 滝沢 天山  ・尺八吹奏 と歯並び 
        ・(紹介) 海道道に関する資料 尾崎 正太郎  ・冬場の 唇の荒れ
について      
             ・アガルということ        
会報10号   ・尺八を朗々と鳴らすために
会報11号   ・琴・尺八の小学校公演を終えて   ・教則本から見た西洋 と日本
会報12号   ・リコーダーの切り口と尺八  神崎 憲  ・補説 700 円で尺八
の発音原理がわかる! 神崎氏の「リコーダーの切り口と尺八」を読んでー
        ・尺八を朗々と鳴らすには  (山形 安藤 隆夫氏より)      
        ・通信教育的・ビデオ版「琴古流尺八本曲講座」 佐藤 誠
会報13号   ・「五線符の調と尺八の寸法」について ・腹式呼吸につい て 
・「甲乙ともに朗々と尺八を鳴らすには」 藤田 閑山
・歌口の深さの影響(外吹き、内吹きに違いはないということ
会報14号   ・赤松理論(「尺八の息の流れに関する流体力学的一考察」 )
        ・吹奏中、よけいな力を抜くには?
会報15号   ・歌物・手事物等の基本的な吹き方について  安藤 敬山  
・半音の吹き方について 〃
会報16号    ・教則本「尺八ー毎日のウーミングアップ」について
・「尺八吹奏研究会」入会のご案内
会報17号   ・尺八用五線譜の移調の実際   足立 亮 
・小論「ツ・ハの半音の出し方」 藤田 閑山・FMの録音テープと合わすに は
会報18号   ・研究資料 律譜早見版(譜は都山流) 飯塚 俊夫
・右手に、異常に力が入って困る時の解決策  ・情報公開 (広島 水田氏 )
会報19号   ・声明と古典本曲     ・六寸管で大甲のハは鳴らせるの か
会報20号   ・会報20号にさいして ・「ムラ息」の奏法


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