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インターネット会報2004年12月号

【解説】 古管、名管による演奏会を終えて」
  貴志清一
 
 先月、(2004年11月20日)古鏡、竹隠等の名管を紹介する演奏会を開催させていただきました。
 まずは、素晴らしい古管の「古鏡」等を快くお貸し下さいました 前島竹堂先生、そして流麗な箏のご演奏で会を引き立ててくださいました菊苑馨先生に厚く御礼申し上げます。
 また、本会の顧問の神崎氏にはビデオ撮影をご担当していただき改めて御礼申し上げます。
 さて、当日は天候にも恵まれ心地よい秋の昼下がりに演奏が始まりました。今回、ほとんど広く周知出来ませんでしたので参加者はごくわずかでした。しかし、何回も企画できる催しでは有りませんので、一生懸命吹かせていただきました。
 古管、名管を使って、尺八の歴史もたどるという欲張りな演奏会になりました。
 
 初めに「古鏡」(一尺八寸より少し長く、一尺九寸七分)で2曲、「山谷菅垣」と「下り葉」を演奏しました。
 古鏡は初代黒沢琴古と同時代の人で今から、250年ほど前の古管です。浦本浙潮の名言「刀は正宗、尺八は古鏡」と言う名言の通り、その響きは温かく、まろやかでした。
 私の 「1700年代を生きた人だからかれこれ250年以上になる。その時代に良い音色の性能のいい尺八なんか、存在するはずがない。古鏡というのは、“江戸時代中期の割合には、”まあまあ鳴る竹かな」という思いは見事にどこかへ跳んでいきました。地無しのべ竹の古鏡の音色や吹き心地を越える竹は今はもう作れないのではないかと感じました。
 しかも、演奏中に刹那、意識をかすめる「これは二百数十年前にも天才的製管師、古鏡もこの竹に何百、何千回と息を通したはずだ」という思いはなにか心を打つものがありました。
 歴史的な感興とでも言うのでしょうか。しかも演奏している曲が初代琴古が整理し、琴古流手帳にも載っている本曲であることも感無量でした。
 改めて、「製管技術は江戸時代は未熟では決してなかった。むしろ、古鏡などは製管技術の最高峰を極めていた」ということを確認した次第です。
 
 江戸時代の末、そして明治を生きた二世古童(竹翁)の竹を吹きました。竹翁は滅びかけた尺八を救った恩人とでも言うべき人物です。特に三曲合奏の分野でも華々しい活躍をしました。その功績にあやかり、同時代を生きた幕末の吉沢検校の「千鳥の曲」を竹翁の竹で演奏しました。
 手孔が少し小さめで、特に3孔はチの律が上がりすぎないように小さめになっています。その分尺八の性能は若干落ちるのでしょうが、合奏上しかたがなかったのかもしれません。
 菊苑先生の素晴らしい演奏に助けられて気持ちよく「千鳥」を演奏させていただきました。
 
 さて、竹隠(三浦琴童と同じくらいの人)の竹も演奏しました。
 三浦琴童の活動と同じ時代の人ですが、この尺八は音色が感嘆するほど素晴らしい。吹けば吹くほど良い音色のでる竹です。そして音色だけではなく、メリも素直にできるし、コロも明瞭に出ます。本曲、三曲を問わず気持ちよく吹奏できる竹でした。
 曲は「巣鶴鈴慕」で、深い味わいの演奏が出来ました。
 惜しむらくは、山口五郎師のような流麗な、世界の一流の音楽家が賞賛するような高い音楽性には、まだまだ到達できていない自分自身の演奏です。今後とも名管に耐え得るような高い音楽性を目指さなければ、そしてそのために多忙ななかにも時間を見つけて練習を重ねなければならないと反省しました。
 次に、名演奏家として賞賛された三世古童のものですが、やはり華やかな竹です。むら息を使う「鹿の遠音」がこの竹に合うと思い演奏しました。
 吹いている本人は、びゅうびゅう鳴るし息も乗っていくのでさぞかしよく響く大きめの音量で聞こえているのではないかと思ったのですが、あとでVTRをチェックしてみると、以外にも古鏡の方がいい響きだし、音量もたっぷりしていることに驚きました。
 本当に、尺八は難しいものです。それを昔の人は「遠音がさす」と表現したのでしょうか。遠音という点では、古鏡がやはり素晴らしいものを持っていることを実感しました。
 さて、参考に新日本音楽の「春の海」を小林一城銘で演奏しました。さすがに素晴らしい管で、現代の曲を吹くに足るいい竹で、気持ちよく「春の海」吹かせていただきました。
 
 以上が、演奏会のあらましです。
 現在、当日のDVDを作成しています。単なる映像と音の記録ですが、尺八の歴史に興味のある方、古管に関心の深い方には研究資料としておわけいたします。
 申し込み法
1.はがきに「古管演奏会DVD希望」と明記し、
住所、氏名、希望枚数を記入の上、下記までお送り下さい。
(送付は年度開けになります。)
〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190 
尺八吹奏研究会(貴志清一)
 ※DVDが届きましたら、1枚1,000円送付代200円、
  計1,200円をご送付下さい。