戻る

インターネット会報2005年7月号
 
 「やっぱり尺八吹奏はむつかしいですね。」 
 副題:尺八は息を出して吹こうとしないこと

                             貴志清一
 
 今回も例によって禅問答のようなタイトルではじまります。
 息を出して歌口に当てることで尺八は鳴ります。したがって副題の「息を出して吹こうとしない」を文字通り実行しますと音は鳴りません。これはどういうことを意味するのでしょうか?
 先日、音楽の専門家のおはなしを聞く機会がありました。おそらくそのお話で言及しておられるのは私の尺八演奏に対してだと思います。
 その方は、「尺八を吹いているのだけれども、息が音にすべて変わって(変換)いなくて、息が無駄に使われ、シューという雑音がでて聞き苦しい」というようなことをおっしゃっておられました。
 たいへんありがたいお言葉でした。上唇の丸み・口腔前庭・下歯による気流の乱れを避ける、等を気をつければ後はビュービュー吹けばそれで終わり・・・・という私の安直な考えを根本的に叩き直してくださったからです。
 そういえば、私は、本当に暖かみのある豊かな音色ではありません。そして、それを気づかずに過ごしてきました。結局、自分の耳が悪いと言うことです。私のように自分の耳が悪い奏者は、やはりたまには第三者に厳しく演奏上の注意をしていただく必要があるようです。27年間尺八を吹いていますが、今回たいへんいい勉強をしました。

 さて、その方法までは、その方はおっしゃいませんでしたので、自分なりに考えました。私はリコーダーもたまに演奏しますので、このリコーダーを注意深く観察しました。リコーダーはきわめて合理的に歌口からの息がエッジに当たります。そのとき、腹式呼吸による腹の支えがしっかりしていれば息を吹き出す必要はありません。必要以上に吹きすぎますととんでもない音になります。

 ひるがえって尺八も原理はいっしょです。ですから、腹式呼吸で丹田に息を入れ、弱い息ではなくしっかりした息を出すのですが、そのとき、その息を口腔前庭あたりを循環するような感じで吹くと雑音も少なくしより良い音になることを発見しました。一言で言えばプシューと息を歌口に吹き付けないということです。
 今は、この息を出して吹こうとしない吹き方を体で覚えるよう練習しています。
 8月にも2回演奏会がありますので、是非それまでには雑音の少ない、しかもさわりの効いた豊かな音がでるようにがんばりたいと思っています。

 すなわちそれが副題の「尺八は息を出して吹こうとしないこと」なのです。