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インターネット会報2005年8月号
 
※文末に8月28日の尺八吹奏研究会第14回演奏会のお知らせがあります。
   
            「S氏よりのご質問にお答えして」
                                  貴志清一
 
 貴志様へ
  私は学生時代、神如道銘の琴古の尺八を購入して短期間習いましたが、長らく中断していました。他の洋楽器を吹いているうちに尺八の音色が一番かと、最近になって再開したところです。半年近く吹き方を色々試みて、不安定ながらやっとまあまあの鳴りと音色が出始めたかなという段階です。乙ロも大甲も大メリもまだまだのレベルです。近いうちに二尺管を購入して八寸管の吹奏改善に取り組むつもりです。
 さて、このような段階ですが、この過程でわいてきた疑問です。よろしくお答え下さい。
 
1.長年吹いていない竹は、音が出にくいことはないでしょうか?それもプロではなく初級・中級者のレベルにたった場合はどうでしょうか?
 長期間眠っていた竹を始めて吹く場合でも、プロ級の場合は、慣れだけの問題なのでしょうか?
 
○(分かる範囲内でお答えします。貴志)
 長年吹いていない竹でも、演奏者の吹き方が安定していれば粗悪管以外はとにかく鳴らせるものです。ただし、その竹の持っている最高の音色を引き出すにはしばらくは時間がかかると思います。
 先日の「古管演奏会」では5本の竹を連続して吹かせていただきましたが、その竹を鳴らすと言うよりは、吹いているうちに「この竹はこんな音色を目指していたんだな」という感じでした。
 私に限って言えば、長年吹いていない竹が慣らしにくいのは、ほとんど奏者の未熟に原因があるように思われます。
 
2.音の出るメカニズムから言えば竹もプラスチック管も余り関係なく、材質は音色に少し影響するだけで、調律に問題がなければ吹き方の問題にすぎないのでしょうか?私の場合、最初はプラスチック管の方が出やすかったと感じております。
 
○まず、音の出る原理から言えば竹、プラスチック管とも吹き易さは関係ないかと思います。
 ただ、材質が音色に少し影響するというのはとんでもない間違いです。材質はきわめて大きく音色に影響します。
 人は何と言おうと、尺八は竹が最高です。これは合理的と言う視点からいえば、そこまで固執しなくてもいいと言われそうですが、尺八は竹です。
 竹以外の材質は、まやかしです。いい竹材で優れた製管師の作成した尺八を越えることは、他の材質ではどんなに頑張っても無理です。 
 この考え方は、理由も何もありません。30年近く竹の尺八を吹き、いろんな尺八を触ってきた私の信念です。
 優れた竹の尺八は、余韻が違います。そして吹いていてその余韻に助けられてもっともっと良い音色を追求したくなります。そう言うものです。
 こと、尺八の材質になると私はつい興奮してしまいますが、尺八は竹です。近年、環境が悪くなりよい竹材(真竹)を得るのが難しくなって来ているのではないでしょうか。尺八を大切に思うことは環境にも気を配らなければならないと言うことにもなります。これ以上は本題から離れてしまいますので、やめておきます。
 
3.上記1で、確かに出にくいのであれば、その理由は何でしょうか。
 
○1,2の私の回答でもおわかりのように、音が出にくいということを考える前にしっかり吹ける、そしてどんな竹でも鳴らせる自分自身のアンブシュアを磨きましょう。
 それには、優れた先生のもとに、定期的にお稽古にいきましょう。
 独学は気分的に楽ですが、長い目で見れば進歩はきわめて遅いです。的確に自分の欠点を直してくれる先達はかならず要ります。
 お手紙の中に、
「・・・何でも基本が大事で、満足な音が出ぬまま数多くの曲を覚えるなど、先を急いでも非効率ではないかと考えますが、その一方で難しく考えずにひたすら色々な曲を吹き込むうちに、自然と上達するものという考えも正しいのではないかと、これまたすっきりしない状況です。」
 とおっしゃっております。
 この文章の前半は正しいと思います。
 何でも基本が大事で、満足な音が出ぬまま数多くの曲を覚えるなど、先を急いでも非効率です。それは、上達を阻むものです。私は満足な音を作るための一つの手だてとして「尺八吹奏法1」を書きました。音が出ないのに曲が吹けるはずがない。それは自明のことです。
 この自明のことが未だに普及しておらず、ホゲホゲ言って音もでないのに「千鳥の曲」を吹かせている師匠がいかに多いことか。
 水泳でたとえましょう。
 泳げないからたくさんの人が水泳の師匠のもとにいきました。師は「君たちは泳げないのだな。」と言っていきなり弟子達を海に放り込みました。みんな海面に浮かび上がってあっぷあっぷしていますと、そのあっぷあっぷだけは上手になりました。たいていの弟子は、それ以後何十年もあっぷあっぷの段階からは上達しませんでした。
 中に、4,5人なんとか工夫して犬掻きをしだしました。なんとか泳げたのでしょう。その4,5人は一生犬掻きを専門にしました。
 中に、一人だけあっぷあっぷしているとき、師匠の泳ぎを盗み見しました。あっぷあっぷしながらも、皆のいないときに師匠そっくりの動きで工夫して練習しました。それで、回り道をしながらも何とか平泳ぎも背泳ぎも身につけることができました。
 尺八の稽古はこんな感じでしょうか。すこし誇張していますが、半年でいきなり「千鳥の曲」を吹かす稽古場はたいていこんな具合です。
 ですから、「難しく考えずにひたすら色々な曲を吹き込むうちに、自然と上達するものという考えも正しいのではない」のです。
 くれぐれも気をつけましょう。
 ちなみに私は、かならず稽古のはじめ「尺八吹奏法」の音だしをしてもらっています。そして、その人にあった曲を練習してもらっています。
 
 以上、長くなりましたが、ご質問の回答とさせていただきます。
              (2005.7月 貴志)
 
(ご質問等は往復ハガキで下記へお願いします。) 
 〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190 貴志清一宛
 
【演奏会のお知らせ】
尺八吹奏研究会 第14回演奏会 尺八・箏 演奏会
                                      
          尺八独奏「山谷菅垣」(琴古流本曲)
          尺八連管「鹿の遠音」(  〃  )
           尺八二重奏 「夕月」(都山流本曲)
        尺八・箏合奏 「春の海」「雨の水前寺」
   箏曲「千鳥の曲」   他
 

出演 尺八:貴志清一 大湾景山(協賛出演)
     藤沢孝夫 前嶋 義 
   箏:菊苑 馨 菊実和 里 
 
日時 :2005年8月28日(日) pm1:30開場 2:00開演
 
場所 :大阪府貝塚市立中央公民館(コスモスシアター)
    2階視聴覚室
難波-(南海本線)−貝塚−(水間線)市役所前下車、徒歩5分 
 
○入場無料(要入場券)
※6才以下のお子様のご入場はご遠慮ください。
 
○入場券のお申し込み方法
 ご面倒ですが、
往復ハガキの往信面に
「第14回演奏会希望」と明記し、
 Tご住所
 Uご参加者氏名(複数可)
 Vお電話番号
  
 返信表に
 ご住所、ご氏名
をお書きの上ご投函下さい。
返信ハガキが入場券となります。           
 
○宛先 〒590ー0531 大阪府泉南市岡田2ー190 貴志清一 迄。