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インターネット会報2006年9月号

貴志清一

「尺八吹奏法 U」が出来上がりました。

 (B5版 55ページ 頒価 1,000円 送料無料) 頒布につきましては本文末をご覧ください。

 
1989年に邦楽ジャーナル誌上にて「尺八吹奏の基礎」を発表し、2000年には「尺八吹奏法T」を上梓しました。
その「尺八吹奏法T」序文には“メリ音の合理的練習法や玉音の修得法も含めて「尺八吹奏法U」”を出版する旨、記されております。 「尺八吹奏法T」を座右の銘にされているたくさんの方々より
「尺八吹奏法U」はまだでしょうかというお便りを頂きながら6年の歳月がたちました。
私としては、尺八吹奏研究会の会報の主要なところを各自でファイルにしていただければほとんど「尺八吹奏法U」になるのではないかと考えていましたし、また一個人が本を作成する困難もあり、そのままになっておりました。
  しかし、考えてみますとインターネット会報は図版がなく文字だけですし、90名ほどの尺八吹奏研究会会員さんも初めから続けている方は2,30人です。従いまして、やはり今までの研究の成果として「尺八吹奏法U」を残す必要があるのではないかと考えるようになりました。

第1章は理論編ですが、「尺八吹奏法T」が出て6年という長い時間が経ちましたがこの理論以上のものが今のところ見あたりませんので、ほぼ同一内容のままです。ただ腹式呼吸につきまして、より詳しい練習法を書き加えました。

第2章は吹奏上の応用事項として、より高度な演奏を可能にするための諸問題を扱いました。

第3章は実技編です。
「毎日のウォーミングアップ」を再録し、メリ音の練習、玉音、ムラ息、きわめて修得しにくい「なめかな横ユリ技法」も扱っています。この章の最後では「歌口の深い尺八」の欠点も取り上げています。

第4章では、古典本曲のすばらしさを広く知ってもらうために私が作った琴古流本曲抜粋版を5曲掲載しています。

 この本の内容で尺八吹奏に関する理論、技法はほぼ示されていると思います。
 参考までに本書の目次を引用させていただきます。

目次

第1章 尺八吹奏の基礎事項

1.尺八吹奏法の大前提となる「腹式呼吸」について
2.尺八吹奏の口の形は「口笛」の口が参考になる
3.唇の赤い部分に力を入れてはいけないこと
4.口笛練習法について
5.上唇の丸みと偏心角について
6.上唇裏の口腔前庭について

第2章 吹奏上の応用事項

1.@ローによる息の流れの獲得
2.甲ロは全閉で吹くこと
3.虚空に消えゆく音の技法
 (「舌のせ秘伝」の意味するところ)
4.尺八の息は「主に鼻から息を吸った方がよい」ということ
5.喉が鳴る悪い癖の治し方
6.義歯でも朗々とふけるメディアンスペース

第3章 実技編「毎日の練習〜高度な技法まで」

1.改訂版「尺八ー毎日のウオーミングアップ」
2.メリ音のための一つの練習法
3.ムラ息について 
4.玉音について
5.横ユリ(ビブラート)について
6.【注意】歌口のかなり深い尺八は、横ユリがかけられない

第4章「私の演奏会用 琴古流尺八古典本曲集」(譜本)
「三谷菅垣」「下り葉の曲」「夕暮の曲」「巣鶴鈴慕」「鹿の遠音」

○「尺八吹奏法U」申し込み方法
 同封のハガキに「 U( )部 希望」とお書きの上
 〒590-0531 泉南市岡田2-190 貴志清一 までご投函ください。
 ( 差出人の〒、住所氏名をお忘れなく )
○代金は品物到着後1週間以内に郵便定額為替にてお送りください。
(送料は無料です。一冊1,000円です)

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【お便り紹介】
(T氏よりご質問をいただきました。参考までに掲載させていただきます。)
今使っている八寸管の“ロ”が強く吹くと音がひっくり返ります。大きな音が出ない等の理由で、S工房のクラシック管を購入しようと思います。コメントをお聞かせください。

(尺八吹奏研究会より)
ご質問のS工房(以下Sと略記)の尺八についてお答えいたします。

 一言で言えば、S竹は鳴らしやすいと思います。私自身も吹いたことがありますので多分そうです。
私の使っているK師の竹は、最近、やはり時代の流れでしょうか、S竹に影響されて歌口の深さが4mmある尺八も作っています。もちろん従来の通常の浅さのも制作しています。
今年の夏は2回ほどK宅におじゃましました。自分の尺八の深さを4mmから3mmに変えてもらう用事もかねて、いろんなことを話し合いました。
深い歌口をお客さんが要望されますと、それはプロの製管師としては、その要望にお応えしなければならない、とのことです。
ただし、良く鳴る分だけ何かを失うのですが、それでもSのように深く、しかも幅も大きくしますと、音色のコントロールが効かないので、ばりばり鳴ることは百も承知なのだが、幅は音色のために大きくしていないとのことです。
写真版(尺八吹奏研究会会報)でお見せした私の新六寸管そのものの歌口です。私は、歌口を深くしすぎると音色の劣化以外にも、横ユリが効かないという欠点があると思っています。
それは、Sであろうと歌口の深いK銘であろうと、歌口が深ければきれいな横ユリはきわめてかけにくいのです。尺八吹奏研究会会報208号に書いているとおりです。
ただ、私は自分が吹くわけでもないので、Sが良いとも悪いともいえません。客観的に見て、Sの特徴は“良い息の流れを作れる奏者ならびゅーびゅー鳴る竹だ”と言うことです。
ただ、自分の目指す音色を究めていったとき、自分の出したい音色は出にくいかも知れません。
その意味では、音色のことを考えて、歌口の幅を広くしないK師の行き方に私などは賛同したくなります。
私は、竹の鳴りが悪くなろうとも3mm程度の深さの尺八を使うのが自分にあっていると思っています。

  さて話は長くなりましたが、結論的に言えば、Sの竹は良く鳴るが音色に難あり、というところでしょうか。しかし、良く鳴ることを至上の目的にすることは、各人の好みですので、これは非難すべきことでもないかもしれません。
今後、私以外の尺八奏者にも質問したりして、いろいろ参考にしてください。
それでは、まだまだ残暑が厳しいですが、お元気でお過ごしください。
ご来阪の折りには、一度お寄りください。 2006.8.23 貴志清一

【連絡】
2006年9月の「尺八の相談日」は9月10日(日)です。
ご希望の方は往復ハガキでお申し込みください。
〒590-0531 大阪府泉南市岡田2−190 貴志清一