戻る

インターネット会報2007年2月号

(報告)口腔前庭が一日で修得できた例
  
貴志清一

 新年早々、たいへん驚いたことがあります。

 2007年1月7日は「新春尺八吹奏研究会・講習会」でした。嵐のような風が吹き荒れる悪天候にもかかわらず定員の4名の方全員参加していただきました。

 腹式呼吸から始まり、口腔前庭、ユリ(首による横ユリ)を1時間にわたり講習と実技をさせていただきました。
参加者4名の方は尺八歴4年から6年で吹き方の基本から勉強したいということでした。一通りみなさんがたの音を知る必要もあるのでとりあえず一人一人音だしをしてもらいました。
尺八界では合理的な吹奏法が未だに広く行き渡っている訳ではありませんので、4〜6年といってもしっかりした音は期待できません。もちろんそのために尺八吹奏研究会の講習会があるのですから。
ところが、その中のお一人は素晴らしくのびる朗々とした音がでていました。思わず「先生はどなたでしょうか?」と聞きました。普通の感覚では、4年ではそんな音が出るのはあり得ないというふうな伸びのある音です。
その方のお話では、師はプロではない普通の町の師匠で、時には関西の専門家の主催する講習会に参加しているとのことです。
参加者一同、驚きました。私は一目で口腔前庭がきちんとできていることが分かりました。もちろん下歯が気流の邪魔をしていないことも確認できました。
また、これも思わず「口腔前庭ができていますが、その感覚を修得するのに何年ほどかかりましたか?」と聞いてみますと、
 「私の師匠の言う昔ながらの“口を真一文字に結ぶ”やり方に疑問を持っていましたので、少し前に『尺八吹奏法T』のコピーを送っていただきましたとき、上唇の裏に空気をためる口腔前庭法を試してみたらすぐにできて、吹きやすくなりました。」とのこと。

 すなわち、口腔前庭がいわば、一日でできたということです。

 私は、この30年近く実際の吹く姿をみた尺八奏者は何百人といるはずですが、一日で口腔前庭を獲得したと聞いたのは初めてです。また、その何百人の内、未だに口腔前庭を作れないために貧弱な音しか出せない、または音のコントロールがうまくいかない奏者もたくさんたくさんいます。
この方のお話を伺い、私自身大変勉強になりました。
尺八吹奏で悩みを抱えていらっしゃる方にとって、この例は大きな希望だと思います。コツ(口腔前庭等々)さえ分かれば、音楽性は別にして、尺八をしっかり吹き自由にコントロールするのは難しくないと言えるからです。
信じがたい話ですが、私自身の目で見ましたのでこれは事実です。
参考までに、後日いただきましたその方のお手紙から数行抜粋させていただきまして、この文を終えたいと思います。

「・・・・・“口腔前庭”につきましては、柔らかく唇を閉じてプーと息を出すと、私が考えている「口腔前庭」が自然にできるため、誰でもできる(やっている)ものとばかり思っていました。・・・・・・講義と個人指導で教えていただきました、「玉音」と「ユリ」につきましても、いくらか練習の成果がでるようになりましたら、またお聞きいただきたいと考えております。・・・・・・・」



○「尺八吹奏法U」、あります。ご注文の節は、
 ハガキに「 U( )部 希望」とお書きの上
 〒590-0531 泉南市岡田2-190 貴志清一 までご投函ください。
(送料は無料です。一冊1,000円)