戻る

インターネット会報2007年3月号

ブレスのヒント
  
貴志清一

会員の方より「尺八の息継ぎ(ブレス)で、如何にたくさんの息を吸い肺にためるかが課題です。ブレスの練習方法をご教示ください。」とのご質問をいただきましたので、お答えします。

息継ぎの基本は、腹の底そして腰の後ろまで息を入れることです。「尺八吹奏法U」に説明しているとおりで、しっかり息を入れてください。

ここで、少しばかりコツのようなものを述べさせていただきますので参考にしてください。

・息を継ぐ直前に、すなわち息が少なくなってきた時やフレーズ(楽句)の最後に一旦少し息を吐き出します。そうすると、おなかにたまった残りの古い空気を出せますので、より新しい新鮮な空気をたくさん体に取り入れることができます。これはオーケストラのオーボエ奏者が明確にしている技法です。もちろんフルートやクラリネットの奏者もしています。もちろん私も実践している方法です。
息継ぎが完全に腹式呼吸になっている上級者は、2段ブレスをしてみてください。西洋音楽のなかに時たまある長い長いフレーズでは、一旦おなかの底にしっかり息を入れますが、そのあともう一回息を吸うのです。そうすれば本当に一杯に息を取り入れられます。これを普通2段ブレスと呼んでいます。これもお試しください。


【研究資料紹介】

「DVD版:尺八吹奏法U」

 このDVDはもともと北海道のある会員さんから依頼があったものです。
ご存じの通り、尺八人口はきわめて少数で、この種の素人の作った特殊な内容のものはほとんど需要がありません。
一年前に「DVD手向資料」を紹介しましたが、お申し込みは10枚ほどでしたでしょうか。正確な数は忘れましたが、大変すくなかった印象があります。 勿論、本会の会員さん(と言っても少ない人数ですが)には、尺八の吹奏技術の向上という会の趣旨により本資料を希望者に配布しております。

ただ、前回「DVD手向資料」のような申込の少なさと事務処理の繁雑さを考えますと会員以外の方につきまして二の足を踏んでおりました。
しかし、会員外の方でも「尺八吹奏法U」を読んでいただいておりますので、たとえお一人でも希望者があれば申込をお受けする必要があるのではと考え直し、今回、この「DVD版 尺八吹奏法U」を紹介することにしました。

さて上でも述べたとおり、この資料は本会会員の方よりご要望のありました映像による「尺八吹奏法U」です。その方は、「“尺八吹奏法U”の解説を映像によって説明していただきたい。」と述べていらっしゃいました。
尺八の説明に関しては、拙宅にお越しいただければ出来るかと思っていたのですが、お手紙の住所を見ますと北海道です。 十数年前、その頃私は、東京の故山口五郎師のところへ一回でも直接ご指導をいただきたいと強く希望していました。私自身、竹盟社でしたので師匠に紹介していただければそのことは可能だったと思うのですが時間的、距離的な条件により実現しませんでした。そのことを今だに残念に思っております。
それを念頭に、お便り中の「・・・直接K氏の所や講習に参加できないために是非お願いしたい・・・」というような文を読ませていただきますと、やはりたとえ自分の尺八演奏が完成していなくともDVDのような映像は必要だと痛感した訳です。

 高度な技術と高い音楽性を目指しての修行途上の私としましては、完全な演奏ができるようになってからと考えていたのですが、今回拙いながら「尺八吹奏法U」の実演を録画いたしました。

 ここで、実際の録画した内容をかいつまんで紹介いたします。

○DVD版:尺八吹奏法U
 「荒城の月」で始まります。演奏後、簡単なあいさつがあります。

○腹式呼吸p.5
 今回は、立ったまま体を倒して腰の後ろにも息を入れることを解説しています。

○唇の赤い部分に力を入れない  p.8
 実際に口笛や尺八音で「唇の赤い部分」に力を入れると鳴らないことを示しています。

○口笛練習法
下歯による気流の流れを避ける p.9
本文にあるとおり、爪楊枝を使って説明しています。また、実際の尺八を吹く口と口笛を吹く口とは違うという(当然ですが)ことを述べています。

○上唇の丸みと偏心角p.10
 上唇の丸みの無いときの実演を示し、合わせて、乙ロはカッて下の方へ息を吹き込む(カッてメル)方法を説明しています。

○上唇裏の口腔前庭
 口腔前庭は上唇の赤いところの裏の方に空気部屋が自然とできることを実演し、フグのように闇雲に空気を口にためるの ではないことを示しています。

○ハローによる息の流れの獲得 p.15
 二四五のハの指を解説しています。

○甲ロは全閉で吹く
 ここでは、全閉の甲ロ独自の音色をお聴きください。

○舌のせ秘伝の意味と舌を下唇裏に近づけることp.17
 奏者によって、いろいろと吹き方がありますが、私がとっている「音の末尾に舌を下唇裏に触れさせ、虚空に消えゆく音を出す」方法を実演しています。

○息は主に鼻から吸う、口からも臨機応変に 息は、95%鼻から吸うときもあるし、95%口から吸わなければならない時もある、すなわち、臨機応変にすべきことを「春の海」を実例に述べています。本文p.20

○喉の鳴る悪い癖の克服p.22
 この悪い癖の直し方は、「喉が鳴ってくると、すばやく吹くのを止める」ことを力説しています。

○毎日のウオーミングアップ p.30
 「尺八吹奏法U」掲載のウオーミングアップを、すべて演奏しています。但し、本来、繰り返さなければいけないのですが、時間短縮のため繰り返しはしておりません。

○メリ音の練習p.36
 これは特に甲のツメリを例に説明しています。歌口だけで半音、指で半音、合計一音(全音)音を確実にしっかりした息で下げる練習方法を述べています。

○ムラ息(口伝)p.37
「鹿の遠音」の一部分を使って説明しています。

○玉音はうがいで
 水の入ったコップは使いませんが、実際の水無しのうがい音をお聴きいただけます。

○横ユリ p.40
尺八独自のウ゛ィブラート
 これは、私もまだ未完成なのですが、専門家でも出来る人の多くない技法ですので、あえて練習方法を示しました。
 プロの演奏家にとっても参考になるかと存じます。

○琴古流尺八本曲 抜粋版
 以下、「尺八吹奏法U」所収の五曲を演奏しています。
 ただ、往年の名演奏家、故山口五郎師に比しますと稚拙の誹りを免れない演奏です。是非、山口五郎師のCD等を参考にしてくださいませ。

○三谷菅垣、下り葉の曲、夕暮の曲、巣鶴鈴慕、鹿の遠音

 さて以上、説明させていただきましたが、このDVDに関しまして以下の難点がございます。
・自宅にて録画しましたので、生活雑音が少し入っておりますので部分的に少々お聞き苦しい箇所があります。
・録ったのは専門のカメラマンではありませんので素人風の映像に終始しており見にくい点も少々存在します。
・本曲では、取り直しをしませんでしたので、技巧的にやや難がある箇所が存在します。

 以上、難点が多々ありますが、もし参考として本「DVD版 尺八吹奏法U」をご希望される方は、往復ハガキにて申込要項をご請求ください。

往復ハガキ往信面に「D版尺八吹奏法U・申込要項希望」

返信面に住所、ご氏名を記入の上、〒590ー0531 大阪府泉南市岡田2ー190 貴志清一宛までご投函下さい。折り返し申込要項をお送りいたします。