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インターネット会報2007年5月号

「長い曲を朗々と」「尺八吹奏法U」に書ききれなかったこと  貴志清一

 はじめに、「尺八吹奏法U」が邦楽ジャーナルを通して購入できるようになりましたことをお知らせいたします。
商品コード5241、http://www.hogaku.com/ にてご購入できます。これに依りまして従来の個人宛に申し込む
という障害がなくなりました。尺八吹奏研究会では今まで、誰が「尺八吹奏法U」を申し込まれたかという情報は、
問い合わせも発信も一切ありませんでした。ご安心ください。

 流派の壁に依り、「尺八吹奏法U」の内容に興味があっても、なかなか師範以上になりますと購入しづらいとい
うことがあったかも知れません。私のように流派を意識せずに音楽活動をしている者には考えられないことですが、現実は、「思想・信条の自由が一応保証されている日本でそんなことあるの?」というようなことがややもすれば
存在するようです。

 しかし、有り難いことに邦楽ジャーナルが「尺八吹奏法U」を扱っていただけるようになりましたので、安心してご購入ください。


 さて、上記テーマにつきましては「尺八吹奏法U」には書き切れなかった問題です。

 まずは千葉県の方からのお便りを紹介させていただきます。

(T氏より)

 私は新曲よりも古曲を好んで吹きますが、八重衣や残月など時間が長い曲を吹くと後半スタミナが無くなり、疲れてくるのか 音が濁ったり半音、特にツメリがでなくなったり自分でいやになります。
これを最後まで初期の状態を保つにはどうしたらいいでしょうか。
 尺八は曲によりボリュームを大きくしたり小さくしたり加減しますが、はじめから先を考えて控えめの音で吹くことは良くないと思います。
 私の場合、後半崩れる原因は

1.疲れを補うために口に力を入れる。そのためなお、音が出なくなる。

2.竹と唇の位置関係が初期とは変わってくる。

3.長い曲は竹が右に傾く癖が出て音が出なくなる。

4.特に一孔を明けた状態からツメリにする時音が出なくなる。(薬指の位置が狂ってくる)

5.竹の重さを感じることで持つことが辛くなる。

6.演奏会などではのどが渇いて吹くのが辛くなる。

 などと考えています。

 崩れないためには1〜4の反対のことを実行すればいいのでしょうが、それがなかなかできません。ご教授ください。

 (以上)



(回答)

 先だって、拙宅までお越しいただき、吹奏方法の説明をさせていただきましたが、参考になりましたでしょうか。

 さて、上記のご質問はその時にはでませんでしたので、改めて紙面にてできる限りお答えさせていただきます。

1の「疲れを補うために口に力を入れる。そのためなお、音が出なくなる。」これはその通りで、唇には力を入れてはいけません。この感覚は「尺八吹奏法U」でも繰り返し述べていますように、口笛を吹く感じだと考えてください。


2の「竹と唇の位置関係が初期とは変わってくる。」これが長く尺八を吹けない原因の大きな要因です。

 人間だれしも疲れてくれば集中力がなくなり、尺八を吹く時の微妙な感覚をコントロールできなくなります。3でも仰っていますとおり「長い曲は竹が右に傾く癖が出て音が出なくなる。」のでしょう。尺八上級者を自負していらっしゃる方でも疲れてくると左右どちらかに竹が傾いてきて良い演奏ができなくなる場合があります。

 私もかつて、この悩みを持っていました。しかし、解決策は簡単でした。すなわち、管尻に印を付けて時折目で修正すると言うものです。

 尺八は自然の素材を使いっておりますので、竹の根が少しついています。これを使わない手はありません。特に私の竹は自然に上向きに管尻が反っておりますので見やすいのです。そこで自分のいい状態の時に2点(一点ではわかりにくい)管尻の残した根に印を付けました。

 それはちょうど私の場合、鷹の目のように見えます。この鷹の2つの目が水平になる時が自分の一番安定した状態です。
 後は、長い曲短い曲に関わらずこれが水平線と一致するように吹きます。「七小町」などの長い曲の時には、時折この印を見て左右に傾いていないかをチェックすれば良いのです。下記は実際の写真です。参考にしてください。(IT版写真省略)きっと良い結果が得られると思います。

 竹に印を入れるのに抵抗のある方は、マニキュアを少し塗ると良いでしょう。消去液がありますので、すぐに消せると思います。

 さて、左右に傾く癖を克服したとしましょう。

 次は、5の「竹の重さを感じることで持つことが辛くなる。」悩みを解決しましょう。

 これも簡単で、尺八の重さを安定したところで支えれば良いのです。特に竹を垂直に近い状態に持っていれば、竹を落とさないために必死に握っていなければなりません。それだけで指が疲れてきて手事の速い所などは吹けなくなります。
 ですから、私は竹を少し持ち上げるような姿勢で、右手の親指の所で支えるようにしています。写真(略)の通りです。

こうすれば、ほとんど力を入れないでも尺八を持つことができます。しかも良いことに尺八が垂直にならないので、下歯による気流の
妨げも無くしやすくなります。

 これも、写真(略)のように管尻が私の竹のように上に反っていると大変有利です。故山口五郎先生の竹も本当に上に反っていました。この上に反った竹は大変有利ですね。ツメリの指も大変楽にできます。

 ですから、割合上に反った竹を重宝するのは、見た目だけでなく、実際上の利点が多くあるからだと思います。

 ただ、この元々自然に反っていた見た目の良い、そして大変音色や調律の良い竹はどうしても所謂高級管の中でも割高になりますので、それが問題点だと思います。(少しは製管の段階でタメて反らすことは十分可能なのですが)

 さて、竹が傾いてくるのと重さを克服すれば、自ずと4の「特に一孔を明けた状態からツメリにする時音が出なくなる。」ことは無くなります。

 そして、6の「演奏会などではのどが渇いて吹くのが辛くなる。」ことを鼻から主に息をとることを修得できれば、長い曲を吹くときでも最後まで十分演奏できるのです。

 がんばってください。

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○「尺八吹奏法U」ご注文の節は、 

@邦楽ジャーナル通販 商品コード5241、http://www.hogaku.com/ または

Aハガキに「 U( )部 希望」とお書きの上 〒590-0531泉南市岡田2-190貴志清一まで、 (送料は無料、一冊1,000円)

○「DVD版 尺八吹奏法U」難点が多々ありますが残部あります。
もし参考としてご希望される方は、往復ハガキ往信面に
「DVD版尺八吹奏法U・申込要項希望」返信面に住所、ご氏名を記入の上、上記までご投函下さい。
折り返し申込要項をお送りいたします。