戻る

インターネット会報2007年6月号
「唇に尺八を押しつける悪い癖の直し方」  貴志清一

 まずS氏よりのご質問を引用させていただきます。
 「唇に尺八を強く押しつける悪い癖がなかなか直せません。時々気がついて力を抜くようにしているのですが。 気合いを入れて練習しているとだんだん硬くなっていきます。リラックス方について、何か良い方法があったらお教えください。」

 お便りの文面から察しますとかなりお困りのようです。ご本人も自覚していますとおり、唇に尺八を強く押しつける悪い癖がありますと尺八を自由に演奏できなくなります。とくに5分、10分と吹いてきますと下唇の周りの血行が悪くなり細胞に酸素がいかなくなりいわゆる「バテた」状態になります。トランペットなどの金管楽器にくらべ、まったく口を押しつける必要のない尺八でこういうことをしていてはダメだと思います。

 さて、この直し方はきわめて簡単です。要するに、「唇に尺八を強く押しつけるようになってきたら吹くのを止める」ということです。吹くのを止めて心機一転、落ち着いたらまた練習を再開するのです。
 しかし、このことはきわめて困難でもあります。曲を練習できないということを意味するからです。しかし、我慢しましょう。何ヶ月、何年もかかると思いますが、克服できた後の吹奏の自由自在さは何物にも代え難いものだと思います。
 しかし、なぜ初歩の段階でお師匠さんが注意しなかったのでしょうか。私はこのことの方がより気に掛かります。
 それはそうとして、唇に尺八を強く押しつける悪い癖がでてきて、吹くのを中断したあと、本屋さんであふれるほど売っている「ストレッチ」関係の本を買ってきて実践してみましょう。2,3分ストレッチで体をほぐした後また練習を再開しましょう。 頑張ってください。


息に乗った横ユリについて」

 先達て「尺八吹奏法U」中の「息に乗った横ユリ」についてご質問をいただきました。
 「尺八吹奏法U」の図を今少し詳しく描けば次のようになります。(IT版では省略)

 さて、このご質問中、横ユリと曲の拍数との関係の箇所で、
 「例えば、2拍を横ユリしたい場合は、息を何回(弱→強→弱)と繰り返すのでしょうか。」とありました。

 回答としては、「これは曲のテンポによる」ということになります。

 実は、この考え方はあまり良くないではないでしょうか。音楽表現に置いて曲の持っているリズム、曲の流れが最優先します。その曲を一番生かすようにユリをかけるのです。音楽は感情の表現ですので、「2拍だったら4回」いう風な考え方は根本的に間違っています。私もこの機械的な考えにややもすれば陥り、音楽の流れのない凡庸な演奏に終始することが多くあります。大変危険な考え方です。しかし、この単純な機械的な考え方はなかなか魅力的で、音楽を「考える、感じる」ことを怠けられ楽になるからです。

 音楽の要求するところから出発すると、ある時は全くユリのない音から始めて徐々に揺っていく。ある時ははじめから激しいユリで始めて、だんだんユリのないまっすぐな音で終わる。また、全くユリのない表現で終始する等々。音楽表現が最優先なのです。

 このユリの速さは奏者によって違ってきます。それは、音楽の感じ方が奏者によって違うからです。ですから、自分の目指したい演奏家の演奏を良く聴いてください。
 あえて、誤解のないように、機械的に考えないようにしていただければ、たとえばある曲のあるパッセージのある瞬間、四分音符=60の速さで6回ユリがかかっていれば、おそらく息は3回のせているでしょう。

 しかし、演奏しているときは「息3回で一拍」と考えてはいけませんし、そんな融通性のない演奏は、死んだ演奏です。気をつけましょう。  実際の音楽表現の難しさはここの辺にあるのです。 そうはいっても私自身もややもすれば機械的に考えてしまう悪い癖があります。お互いに気をつけていきましょう。


(和歌山 Y氏より)
 質問:ポピュラー音楽を演奏する場合は7孔の尺八を使用するのがよいのか、お教えください。

(お答えします)
 ポピュラー音楽を尺八で演奏するには、曲にもよりますが、7孔尺八があればほとんど何でも演奏できて便利です。演歌などは、五孔で演奏して、開放音でない音はメリ音を使うとまた味わいがあって良いのですが、映画音楽、アンデスの音楽、ラテン音楽等すべて七孔の方がいいと思います。しかも、移調の問題がありますのでできれば一尺八寸、一尺六寸、二尺四寸管があれば良いと思います。このうち、二尺四寸管は五孔でも可能だと思います。
 実際に七孔でポピュラー音楽を演奏すると如何に便利かということを体験してみたいときには、僭越ながら拙宅へお越しください。例えば、「コンドルは飛んでゆく」の早い16分音符のところも七孔だと軽々吹けてしまいます。
 そういうわけで、余力があれば七孔尺八も練習すると良いかと思います。

----------------------------------------------------------------------------------------
○「尺八吹奏法U」ご注文の節は、 
@邦楽ジャーナル通販 商品コード5241、http://www.hogaku.com  または
Aハガキに「 U( )部 希望」とお書きの上 〒590-0531泉南市岡田2-190貴志清一まで、 (送料は無料、一冊1,000円)

○「DVD版 尺八吹奏法U」難点が多々ありますが残部あります。もし参考としてご希望される方は、往復ハガキ往信面に「DVD版尺八吹奏法U・申込要項希望」返信面に住所、ご氏名を記入の上、上記までご投函下さい。
折り返し申込要項をお送りいたします。