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インターネット会報2007年8月号
「当たりは最小限に、そして消しは曲の最後だけ」 琴古流尺八 貴志清一

 琴古流尺八本曲は山口五郎師が吹く名演奏の録音によって高く評価されてきました。いまでは都山流の演奏者も何とか吹いてみたいという希望者が大勢いると言うことです。
 幸い、私はその山口五郎師が主宰しておられました竹盟社の流れをくんでおりますので奏法がそのようになっています。
 しかし、最近ロングトーンをきちんとするようになって息を音にのせる基本が分かってきますと、琴古流の奏法に疑問が出ていました。

 それは、だいたい次の3点になります。

1.一節(1フレーズ)ごとの音の消しは、良くない。
 それは、音の流れをとめてしまうから。勿論、音の末尾で指をすりあげてピロッという雑音を入れる奏者もいますが、これも音の流れを壊してしまいますので私は好みません。

2.音の出始めの「当たり」は極力さけたほうが良い。
 音の出始めに当たりを入れてしまうと、何か息の圧力的なものが失われてどこまでも続くような立派な息になりにくいからです。かく言う私も琴古流二十余年の奏者ですので、とにかく当たりを如何に上手く入れるかを考えてきました。ところが折に触れて勉強として聞く明暗の曲や海童道宗祖の良さに触れてきましたので、何の細工もなくフッと吹き出す音のすばらしさも理解できてきました。

 改めて自分の吹く琴古流本曲を振り返りますと、あまりに技巧に走りすぎていることに気がついたのです。本来装飾的な(ツレーのツなど)にわざわざこってりと装飾をつけ、大事な伸ばす音の勢いを削いでいるのではないかと思っています。

3.三浦琴童譜に拍をしめす「ごま点」があるが、琴童自身が書いた「ごま点の拍にとらわれないように」という注意を忘れて、あまりに拍節的な本曲になっているが、それは気を付けた方がよい。
 とくに、フレーズの最後はたいていごま点2つで2拍の表記だが、それは勿論2拍という意味ではない。古い楽譜をみると「引」となっていて(最後に消しマークなんかない)息を練るために長く伸ばしていたのである。
 従って、「下り葉」などの拍節的な曲以外は最後の音を引いていくべきであり、またそれの方が音楽的だと思います。

 参考に今、HPで貴重な音源を提供しているサイトがありますので紹介します。(往年の荒木古童の本曲で、当たりや消しが気になりますが、音の末尾が伸びています)

http://shakuhachi.komusou.jp
「尺八の部屋」へようこそWelcome to the Shakuhachi World !
本曲 (Honkyoku)荒木古童 (Araki Kodou III)
鹿の遠音(上・下) (Shika no Toone) Victor 13029 荒木古童
鹿の遠音(上・下) (Shika no Toone) (Another take) Victor 13029 荒木古童
鉢返しの調べ(一・二・三・四)(Hachigaeshi no Shirabe) Victor 13039 / 13040

 さて、以上の3点を述べさせていただきましたが、私自身、「巣鶴鈴慕」等、拍節的でない本曲は
「極力当たりを最小限にし、音の末尾は2拍ではなく割合長い目に消しは入れずに」吹いています。先日(2007.8.25)の演奏会でも「霧海D鈴慕」などはそのように吹きました。
 お聴きになられた方はどういう感想をお持ちだったでしょうか。少なくとも演奏している自分は本曲を吹くことがより充実したものになったことは確かです。琴古流のみなさんも一度おためしください。よろしければそういう風に吹いた感想もお寄せいただければ幸いです。 

 参考までに「引」と書いてある琴古流古譜を掲載させていただきます。
(インターネット会報では省略)
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