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インターネット会報2008年1月号
「丹田呼吸法について 神田重陽」  貴志清一

 「臍下丹田−へその下は、体力を養うもとがここにあるとされた。玉気の由るところは臍下三寸にあるという」

 丹田に意識を集中し、丹田から絞り出すように、ゆっくりと息を吐きます。

 但し、吸気呼気共に常時丹田は膨らんでいる状態です。呼気の時丹田がへこむのは丹田呼吸ではありません。上半身の力を抜き、体と心が丹田に集中することです。座禅時では、これを静中の工夫と申し、吹禅時では、これを、動中の工夫と申します。

 座禅時の呼吸は、あまりにも静かで幽ですので、尺八は鳴りません。尺八を吹くにはもう少し強い呼気が必要です。尺八吹奏時のピアニシモのロングトーンは座禅時に近いようです。

 故人曰く「動中の工夫は、静中の工夫に勝ること 百千萬倍」

※(貴志)

 神田様よりたいへん有益なご意見を頂戴しました。私自身も大いに勉強になりました。最後の「動中の工夫は、静中の工夫に勝ること 百千萬倍」はたしか、江戸時代の卓越した禅家である白隠禅師の言葉だと思います。

 私も白隠禅師の著作に啓発された一人で、このことによってより良い呼吸法を体得できました。特に「夜船閑話」は得るところの多い本でした。

 尺八吹奏時の息は、神田氏も述べていらっしゃるようにもう少し強い呼気がいりますので、私の実践している「すばやく、口から吸って(口を軽く閉じ)鼻から吸う」呼吸が息の雑音も少なく圧力も得られるのでこれが良いかと思います。お試しください。

お便り紹介(匿名)

 先日ある会で「秋の言葉」を一人吹きしました。家では「よし」と思うまで練習したのですが、本番で

@喉が渇く
A咳が出そうになる
Bツメリが出ない
C音の最後に力が入ってしまう
D自分の息音が混ざる

以上のような欠点が露呈し困りました。基本的には練習不足でしょうか。

 このようにならないためのお知恵をおかしください。

 お便りの趣き、たいへんよく分かります。私も何回、何十回と経験したことです。練習不足というよりは、原因はいわゆる「あがる」ということではないでしょうか。練習の時と違って、人前での演奏は本当に特殊な状況です。会の規模が大きく、尺八一人で吹き、しかも難曲ということになればその「あがり」はさらに大きくなります。

 今ではほとんど「あがら」なくなりましたが、例えば25年前にちょっとした演奏会で「南部牛追い唄による幻想曲」を吹いたとき、「あがって」しまってほとんど音がでなくて大恥をかいたことを昨日のことのように覚えています。その時の会場や聞きに来てくれた人の名前、さらに会場のイスの色などまで覚えています。

 この時の「鳴らなかった」悔しさが結果的には私の「尺八吹奏法」につながっているのですが、それでも、その後も何回も何回も「あがって」思うように吹けないことがありました。勿論、今でもある種の演奏状況では「あがり」ます。

 私自身の小さな演奏会も16回ほどさせていただいておりますが、音楽的な表現の稚拙さは別にして、まあ演奏はだいたい滞り無く済みます。

 その他、お手伝いの演奏等でもあまり「あがり」ません。

 そこで、「良い智恵」ということになりますが、もしあるとすれば“人前で一人吹きを何十回と経験すること”が「あがり」の克服法でしょうか。

 私の30年間の経験からは、それしかないと思います。演奏会で失敗すれば、それはそれは悔しいでしょうから次の日からはしっかり練習します。そしてまた次の人前での演奏を目標にがんばる。その繰り返しでしょうか。50回、100回と経験すれば自ずから「あがらなく」なるでしょう。その過程でいろいろ学ぶことがたくさんあると思います。たとえば「部分的でもできるだけ暗譜しなければいけない」とか「もっとお琴や三絃の音を注意深く聴かなければならない」とか。さらには、「今度の秋の言葉では、尺八譜の横に琴譜を全部書き込んで吹こう」とか。 また、「この曲をするには尺八の技量を上げる必要があるから、練習時間を増やそう」等々。

 いろいろと工夫が生まれてくると思います。また、きちんとした演奏会でなくてもいいので、友人知人に聴いてもらうのも立派な演奏会です。地域での催しがあれば「尺八で参加します」といって出してもらえばいいです。その時の曲が、たとえば流行歌であっても「人前で吹く」ということには変わりありませんから、いい経験になります。

 とにかく、前向きに取り組んでください。きっといつか「ほとんどあがらなくなる日」がきます。がんばってください。

 会員の方で、もう少し詳しく私の意見を実際の演奏を交えて質問したいという方がもしいらっしゃいましたら拙宅までお気軽にお越しください。月に4回ほど土日に自由な時間がありますので、可能です。いわゆる尺八相談日としております。

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