尺八吹奏研究会


会報 No.15
「普化宗による吹禅 」神田重陽

普化宗による吹禅 (神田重陽氏より 〒404山梨県塩山市竹森1448 延命禅院TEL0553320952 )  

猪狩坂夫氏よりの普化宗による吹禅の具体的な行い、及び宗教生について私の 考えを簡単に申し
上げます。
 
普化宗は臨済宗の一派であります。従って、吹禅には平常底の座禅と禅仏教思 想による精神的努
力が必要であります。 尺八吹禅の根本は丹田呼吸(腹式)が最も肝要であり ます。これは座禅
と全く同じで、分別妄想心及び日常の一切事を放捨し、頭を空っぽにし、上半 身を脱力して、丹
田呼吸に徹底することであります。これを普化禅では一音成仏・明暗双忘と申 しております。仏
教とは、諸行無常・諸法無我・涅般寂静を覚悟して、安心に至る教えでありま す。 
猶、普化宗に関しては下記の本をお読み下さい。「普化宗史」高橋空山 著( 発行所 普化宗史
刊行会 〒160東京都新宿区西新宿8182 藤由 方(TEL 03-3369-4026)



「五孔尺八・七孔尺八について」貴志 清一  

会員の方から以下のようなお便りを頂きました。
「五孔尺八では無理だから七孔尺八を使わねばダメだと言われる先生もありま す。
しかし七孔尺八は尺八ではない、七孔尺八でしか吹けないような曲は吹くなと も言
われます。 そこで古曲や都山流本曲は五孔尺八で吹き、宮田先生のような現 代曲
は七孔尺八で吹くといったように吹き分ければよいと言う人もありますが、い かが
でしょうか。」

・五孔尺八では無理だから七孔尺八を使わねばダメだと言われる先生がいらっ しゃ
るということ自体驚きます。ツのメリ音のあの独特の響きは本曲を吹く場合必 要不
可欠のものです。尺八はフルートと違っていろいろな音色を楽しむと言うこと があ
り、だからこそ余り細かい指の動きなしで一音をのばしても「いいなあ」と思 うの
です。ですから七孔尺八だけ使わなければいけないというのは少し尺八という 楽器
の認識不足だと思います。 また七孔尺八は尺八ではないというのも、余りに せま
い考え方だと思います。そういう気持ちは分かります。しかし今は150年前 の江
戸時代ではありません。いろんな音楽が身の回りにあります。
その中で自分の気に入った曲を吹いたり、また七孔で吹くように作曲された曲 を吹
きたいときもあります。そんな時やはり七孔尺八は大いに吹くべきだと思いま す。 
自分の気に入った曲、たとえば「コンドルは飛んでゆく」を吹くときは朗々と しか
もすばやく七孔で吹きたいものです。
しかし、美空ひばりの「悲しい酒」はやはり五孔尺八でメリ音を効かせて悲し く吹
きたいものです。 

従いまして結論としては、「古曲や都山流本曲は五孔尺八で吹き、宮田先生の ような
現代曲は七孔尺八で吹くといったように吹き分ければよいと」と言うことにな ります。
言い替えれば、「古典本曲やメリ音を効かせたいときは五孔尺八で吹き、現代 曲や指
の速い曲は七孔尺八で吹くといったように吹き分ければよい」のです。 宣伝 がまし
くて恥ずかしいのですが、会報21号で紹介しました{2、3分で吹く曲}( カセット)
は五孔尺八・七孔尺八それぞれ曲にふさわしい竹を使って吹いております。お 聞き下さ
れば参考になるかと存じますしまた、五孔尺八・七孔尺八の優劣を争う
無意味さもお分かりになるかと思います。


「一孔打ちの音を歯切れ良く出したい」(尾崎 正太郎 氏より) 

甲のレの複音符を一甲を打って行うときに、歯切れよく吹きたいと思っていま す。音を十分に鳴ら
すことが必要なのでしょうが、それ以外にコツなどあれば知りたいと思います 。

★★ おっしゃる通り、一孔を打ってポンと音を出すためには尺八が十分に鳴 っていないとダメだ
と思います。十分音を鳴らすためには「尺八吹奏の基礎」をよくお読み下さい 。 
さて、その他にコツというものがあるとすればやはり、一孔の指で一孔を効率 よく叩くことだと思
います。その為には、レの音を出しているときに音が下がらないように気を付 けながら少し一の指
を一孔に近づけて見当をつけ、すばやく叩くことです。
これはなかなか口では説明できませんが、各自工夫して下さい。


お便り紹介
(秋山 氏より)昨春3月来貴志さんご作成のビデオ、又会報からは口腔前庭 ・息返し・乙のハか
らの慣らし吹き等の貴重なヒントを授かりながら稽古をして参りました。 尺 八を始めたのはもう
10数年前でしたが、遊び半分、ろくに稽古もせず仕事の忙しさもあって、何 年間かは触ることも
なく、公務を退いて現職場に再就職して数年、適当に時間的余裕もでき、家内 からも「何か趣味を、
尺八でも再開したら」と言われ、健康保持にも良いかなと思って、一昨年秋頃 からぼつぼつ稽古を
再開していた訳でした。 ともかく、あくまで趣味の域をでず、健康維持・ボ ケ防止には良かろう
というのと孫が少し成長した後「ぼくも吹いてみよう」という子も出るかなあ という期待もし、や
はり少しはうまくなりたいというのが人情というもので、それなりに励みたい と考えております。

★たいへん心温まるお便りをいただきました。この様な個人的なお手紙は会報 に掲載するのは失礼
かとは存じましたけれど会員の皆様のお考えをお互い出し合うというのもたい へん意義のあること
だと考えて載せさせていただきました。 このお便りと同時にご自分の演奏も 送っていただきまし
たが、ご謙遜していらっしゃいますが、なかなかいい演奏をしておられました 。 テクニック的に
は少し難があるかもしれませんが、音楽に対する前向きの姿勢が音に出ていま して好感の持てる演
奏でした。 プロの演奏家の中にも、確かに音も大きいし指の動きもスムーズ なのですがなにか品
がないというか、物欲しそうな音しか出せない人もいます。この演奏者は、演 奏中何考えて吹いて
るのやろと疑問になる人もいます。そんな演奏は無い方がましだと思います。
 
私の尊敬するフルートのM.モイーズの言葉ですが、「音楽性というのはつきつめてみればその
人の人間性で
ある。」と言っています。 私も含めて音楽を好きな者は”演奏を聴いてよかった
なあ”と言う演奏を求めるものです。
決して”テクニック的にすごい”とか、”大きな音だったなあ”というだけで は感動しません。 
私も年に1、2回は人前で吹く機会もあるのですが、いつも自分の心の貧弱さ をさらけ出してはい
ないかと考え反省しています。 尺八は本当にいい楽器です。何の理屈も入り ません。心を込めて
吹けば音に心がこもります。それを自分の耳で聴いて楽しむ。そういう気持ち で末永く吹いていっ
て下さい。 
尺八は正直です。何かで腹が立ったときなど、音が定まらず吹奏するような状 態ではなくなります。 
秋山様のお便りを読ませて頂いて、いろんなことを考えさせて頂きましたこと 、御礼申し上げます。
(貴志清一)


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