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会報2008年9月号
いろいろな表現で「口腔前庭理論」は確実に広まっている

田村 憲正

 徳島県在住で今年還暦の田村と申します。
 55歳の時に何か趣味をと思い関心のあった尺八を思いつきました。ごく身近な先輩が都山流の大師範でした。
「尺八は鳴らすのに苦労がいると聞きましたがどんなものですか」と聞いたところ「ビールビンをボーと鳴らせれば簡単に鳴らすことが出来る」との返事を貰いました。幸いにもビールビンは簡単にボーとなりました。

 先輩が学生時代に使った尺八を借りて早速、週1回の練習に参加しました。先輩の家ではもう一人竹琳軒の老人が練習に来ていました。この先生がリーダーでした。偶然が重なるものでこの竹琳軒の先生は高校時代の同級生の親父さんでした。
 始めたのが遅いもので何とか上手くなりたい一心でインターネットで尺八の事を調べまくりました。インターネットで尺八のことを調べていたときに興味のある事をみつけました。

 外吹きと内吹きです。プロの尺八吹奏家は9割以上が外吹きだと言うことです。ローソクに炎をともして、炎に管尻を向けて吹きます。炎が消えれば内吹きです。消えなければ外吹きです。もちろん私は炎が消えました。プロ並の音を出すのは1割の可能性もないのだと悟りました。
(参考) http://www.bmbnt.com/shaku8/bamboo104.htm
 そんなこんなで「尺八吹奏研究会」も知りました。(一度、友達と大阪に貴志氏の演奏を聞きに行ったことがあります。演奏会が終わった後で「何か質問ありますか?」と親切にきいてくれましたが、なにぶん始めたばかりで質問の質問も出来ずに帰りました。その節は失礼しました。)

 尺八吹奏研究会のホームページの中(「尺八吹奏法U」P.13参照)で聞き慣れない“口腔前庭理論”が目につきました。最初はあまり気にしませんでした。ところがある日、文の中に横須賀市在住の根本先生のメディアンスペースの単語を見つけました。残念ながらメディアンスペースに眼がとまったのではなくて根本先生に眼がとまったのです。根本先生は大学で教えて貰った大先輩になり、ごく親しくつきあわせて貰っている人だったのです。そこで、先生の本を取り寄せて、読んでみました。なかなかいいことを書いてありました。口腔前庭、メディアンスペース何か共通しているように思いました。
(根本先生は横須賀市の市民交響楽団の団長です。職業は歯科医師です。
コントラバスを担当しています。先年、喉頭癌を患い声を無くしたのですが
退院までに食道発声をマスターして担当医師をびっくりさせました。今はほぼ日常の会話は間に合っています。凄い人です。)

 そこで、口腔前庭を意識して音を出すことにしました。
都山流の講習会にも出ました。残念ながら“口腔前庭”の言葉を発する講師は一人もいませんでした。しかしです。それによく似たことを言っているのです。それもさらっとです。
 片山先生は「吹く息は鼻の頭を吹く気持ちで吹きなさい。」
 加藤先生は「吹く息は歌口の裏側に向かって吹きなさい。決して歌口で息を割るような吹き方はしてはいけない。筒の中に息を入れてはいけない。」
“口腔前庭”という単語は使わないが“口腔前庭理論”そのものだと納得しています。
 そこで、自分自身“口腔前庭理論”に基づき、かなりいい音が出るようになったと思いあの外吹き、内吹きを再度、試してみました。
なんと炎は消えません。かなり強く吹いても消えません。プロの吹き方に一歩近づいたのかもしれません。うれしい限りです。
 ですからこの聞き慣れない“口腔前庭理論”は決して無視されているのではありません。指導者がそれぞれ違う言葉で教えているのだと思います。このわかりやすい教え方を知らないだけだと思います。
 図入りで詳しく説明されています口腔前庭やその他の有益な内容の「尺八吹奏法U」、そして貴志氏の努力を応援しています。

この別の表現での「口腔前庭」についての参考ホームページです。閲覧してください。
http://shaku8-ishikawa.com/qa2.htm#uchbuki(2003-2-13)です。
http://www.utvis.com/shaku8/

 私は今、力強く吹ける乙ロを練習しています。
「1日10分吹け」と言っている先生を見つけました。
「5分でいい」という先生もいました。
1)ゆりを付けないこと
2)吹き始めにどこかの手穴を当たったりしない
3)メッた状態から吹き始めない
4)息があるときと息が無いときで音程に差が出ないようにする
5)できるだけながく
6)出来るだけ大きく
しかしこれは乙ロが出せている人に対しての注文であってまだ乙ロが十分出せていない人にはなかなか難しいと思っています。
{千日の独学よりも一日の師匠}ちょっとしたコツだと思っているのですが。

 “口腔前庭”という言葉から飛躍的に尺八が向上した私の経験を述べさせていただきました。この記事が多くの尺八愛好家の参考になることを願っております。

○「尺八吹奏法U」ご注文の節は、
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 一冊1,000円)