戻る

インターネット版会報2009年2月号

「我が尺八奮戦期 その2」 杉本昇

 昨年の今頃、「尺八の初心者」としてこの会報にはじめて投稿させていただいた杉本です。あれから一年経ちました。相変わらず尺八とは悪戦苦闘中ですが諦めずまだちゃんと続けています。その後の様子を報告させていただき、私と同じように悪戦苦闘しつつ好きな尺八に取組んでおられる皆さんの参考になればと、再度筆を取りました。

 私の尺八暦は今年で6年になりますが、先生に教えを請い始めてからは丸2年になりました。最初の一年は、それまでの「我流」による悪い癖を取り除き、リセットしながらの再スタートでした。

「この先生についていけばきっと吹けるようになる」と思ったとおり、それまでのしんどいばかりの尺八練習が、肩の力を抜き、腹式呼吸を練習し、良い息の流れを作って小さく軽く吹くことで、少しは楽になってきたのでした。課題であった甲音も何とか出るようになり、乙ロ音もよくなりました。口腔前庭も少しづつ育ってきています。

 楽器の練習というと大体がはた迷惑なものですが、我が家でも尺八の練習には家人からの苦情が絶えず、目をつぶってじっと耐え忍んでもらう以外無かったのですが、最近ではその苦情も少し和らぎ、癒しには程遠いものの何とか聞くに堪える音になってきたのではないかと思っています。

 二年目に入った尺八練習の大きな出来事は演奏会への出演でした。先生に出演を誘われた時はえっ?という驚きで、「人前出で吹く」などまだ思いもしないことでした。しかし「これも練習」、「恥をかけば上手になります」と励まされ、それこそ私にとっては清水の舞台から飛び降りる位の決心で初体験に臨んだのでした。

 昨年の5月3日、場所は岸和田市の自泉会館、ドキドキしながらその日を迎え、古曲の「山谷菅垣」とお琴の伴奏で「荒城の月」の2曲を吹き、冷汗びっしょりでした。音が出るかどうか不安で直前まで音出しを続けてました。幸い初めの音が出て、曲がりなりにも吹き終えることが出来た時はほっと胸を撫で下ろしました。

 人前で吹くとなると練習にも力が入ります。少しでも時間を見つけて練習し、真剣さが違ってくるのが分りました。その後も先生に進められるまま、昨年の10月(「山谷菅垣」)と今年1月(「春の海」の一部)との2回、小演奏会に出させて頂きました。いずれもドキドキしながら演奏会当日を迎え、途絶えたりつかえたりしながらも何とか吹き終えることが出来ました。先生には迷惑をかけていますが、演奏会のおかげで自分では多少のレベルアップがはかれているのではないかと感じています。

 今「手向」の古典本曲を練習していますが、「ツのメリ」「ウのメリ」がたくさん出てきて、最初はなかなか音にならず苦労しました。音になってないのに何とか音を出そうと息を吹き続けていたりすると「息は出ているのに音を出さない、という悪い練習はしないように」と注意が飛んできます。メリ音というのは本当に難しいものだとつくづく感じています。

尺八の音は一つの音でも色々あって、メリ音などはその典型のようですが全ての音が、単に音が出ている段階から響き渡る音や味わい深い音など、ピンからキリまであるもので随分と奥の深いものだと感じています。先生と同じ音を吹いたりすると私の音が先生の音に飲み込まれて消えてしまいます。「いい音を出そうという強い気持ちがいい音を出すのです。」「常にいい音をだすことを意識して吹いてください、技法は後からついてきます」と言われながら、自分の出している音に聞き耳を立て「音」のことを考えつつ練習に取組む今日この頃です。

 やればやるだけ次々と尺八の奥深さ分かってくるようになり、何処まで頑張り続けられるか、歩みは遅いですがとにかくやれるとこまでやってみようと思っています。



○「尺八吹奏法U」ご注文の節は、 

邦楽ジャーナル通販 商品コード5241、http://hj-how.com

(送料別途)