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インターネット版会報2009年4月号

「下唇の活用〜正しい吹き方」についての感想(神田重陽)
 尺八吹奏研究会第21回「地無し尺八による演奏会」

「下唇の活用〜正しい吹き方」についての感想」  神田重陽

 “下唇の活用”−このことは、平生余り意識していませんでしたが、改めて意識してこのように吹くと、大変良い結果で、素晴らしい音が出るようです。この方法を意識して続けて行い、、そのうちに無意識でできるようになれば完成に近いと思います。
 尺八吹奏法の息の流れは、
丹田呼気−口腔前庭−下唇の活用−尺八の歌口
この呼気の流れです。また、唇の息を発するところは、なるべく尺八の歌口に近い方がよいように思います。
 尺八吹奏は音楽です。それは、只今の一瞬です。
 未来より来たりて、只今の一瞬を通過して過去となる、時間的・空間的な流れです。そこにはメロディーとリズムが成立します。

 尺八虚無僧本曲にはリズムはないと言うことをよく聞きますが、それは間違いです。リズムがないと思って吹く本曲はだらだらして飽きがきます。「ノーリズム」(リズムがない)のではなく、「フリーリズム」(自由リズム)です。ノーリズムでは音楽になりません。一音だけを長く吹いても、その長音にリズムを感じることが肝要と思います。西洋音楽に「ルバート」という方法がありますが、この方法と尺八本曲とは全く中身は同じことです。
 宇宙、大自然は様々なリズムを創造して、只今を軸として流れております。尺八吹奏は、この只今(即今)に集中することです。


【資料紹介】
 上記の神田師作曲の「尺八本曲:羅々唄」を紹介させていただきます。 古典本曲の技法で吹奏するのですが、中身はなかなか現代的な感性に触れるものを持っています。けっして整然とした拍節で演奏するのではなく師の言われる「自由リズム」にて吹奏します。そうし一つの大きな波のような寄せては返すリズムが現れます。その流れに乗って西洋音楽で言うルバート的な演奏を心がけてください。
 丁度、ジャズの天才的サックスプレイヤーがドラマーもピアニストもベーシストも帰った後で、一人スタジオもしくは閉店したクラブで自分のためにスローテンポで演奏している雰囲気でしょうか。
 ほんとうに、この「羅々唄」は雰囲気のある尺八本曲です。楽譜を載せますので、一度各自の流派の奏法で演奏してみてください。
 ※( IT会報では楽譜は省略しております。)

【お便り紹介】(A氏より)
 尺八は第一に音色ですが、それは
 a:吹く技術
 b:竹(の性能)
 a,bのどちらが重要でしょうか。
 また、運指については、
@速い運指の練習法
A音のメリハリ、切れの修得
B指を最低、竹からどのくらい離せば音に影響を与えないか。
(以上、要旨)

(回答:貴志清一)
 尺八の音色の追求は、尺八という楽器のほとんどすべてを占めるほど大切なものです。その大切な音色は“吹く技術”か“竹の性能”のどちらが重要かという問題ですが、私の答えは、「どちらも重要」ということです。 とくに昨年から二代目玉水師の遺作となりました、優秀な地無し延べ竹ごろ節有りの尺八を吹いていますと、正しい吹き方を竹に教えられる毎日なのです。地無しでゴロ節がしっかり残っていますので吹きにくいことは確かです。しかし、その吹きにくさは正しい吹き方を要求してくるのです。この半年で音色も変わりました。私の奏法もより良いものに変わってきましたのでいい音も出だしました。故岡本竹外師の「真の尺八の吹き方は、地無し管を実際に吹かなければ体得できない」という言葉の重みを改めて認識させられました。この貴重な体験を通していえることは、尺八の音色は吹く技術も竹の性能も両方重要だということです。
 ただし、くれぐれも言っておきますが、性能の良い尺八とは、吹けば抵抗なく鳴り、息を入れていけば「びえ〜〜〜」と安っぽい音になる、たとえば歌口の深さが4mmも5mmもあるケーナのような尺八では決してありません。
 また、運指については、もう少しお時間をいただいて「合理的な運指法」のような纏まった論説にしたいと思っていますので、お待ちください。

【ご案内】
尺八吹奏研究会 第21回演奏会
地無し尺八による演奏会
 尺八吹奏研究会では下記のように、演奏会を開催いたします。
 ややもすれば地無し尺八は、
「音は良いが、琴古流本曲のような華麗な手は不可能」、
「音程が悪く、地歌に合わせたら聞いていられない」
等々の批判を浴びてきました。
 しかもこのような俗説が随分長く続いてきましたので誰も疑うことすらしなくなりました。
 ここで言う地無し尺八は大きくゴロ節を残した「地無し延べ竹ごろ節有りの尺八」のことです。
 さて、去年製作依頼しました二代目河野玉水師による長年の研究成果である「地無し延べ竹ごろ節有、ドンピシャ一尺八寸の尺八」が、この俗説を覆すものであることを示したく、本演奏会では、この地無し管を中心にプログラムを組ませていただきました。
 ゴロ節を大きく残した地無し管の独特音色をお楽しみいただければ幸いです。

日時 2009年5月24日(日)pm.1:30開場 2:00 開演
☆出演  尺八:貴志清一   箏:菊苑馨   
☆おもな曲目 琴古流本曲 「鹿の遠音」
       吉澤検校作曲「千鳥の曲」
       宮城道雄作曲「春の海」他
☆場所 豊中市立伝統芸能館
☆交通 阪急梅田より宝塚線「岡町」下車2分
○入場料:無料(整理券必要)
○申込方法
 下記の住所宛、往復ハガキに「21回希望」と明記の上、
 住所・氏名・電話番号をご記入の上、お申し込みください。 折り返し整理券(ご案内地図付き)を送付させていただきます。
主催 尺八吹奏研究会(代表 貴志清一)
〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190ー7

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