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インターネット会報2009年6月号

「地無し延べ竹 ごろ節有一尺八寸の尺八」の音色        神崎 憲


5月24日、二代目河野玉水師作「地無し延べ竹 ごろ節有一尺八寸の尺八」を入手された
貴志清一さんの演奏会に行ってきました。

地無し管で、琴古流本曲 「夕暮の曲」 「鹿の遠音」 箏と尺八で「千鳥の曲」を聞きました。

「音程が悪く、地歌に合わせたら聞いていられない」
「音は良いが、琴古流本曲のような華麗な手は不可能」
の地無し管への俗説に対して、聞いていましても、実際に音程の悪さを感じることなく、自然な
音色が楽しめました。 音の大きさも小さな音量かなと思っていたら十分に鳴っていて、地塗り
管と変わらない音量でした。


終了後、時間があったので、吹かせてもらいました。

乙音(低音) は、響きのある太い音色、地無し特有のやさしい音色でした。こんなに律が正確
なら地唄も、琴古流本曲も無理なく吹けてしまいます。 メリ音が顎のメリかげんで具合よく作れ
ます。
甲音(高音) は、華やかな音で、大きな音が出てびっくりしました。ツメリやリメリ がよく効きます。
ただ、乙音のやさしい音色に対して、音質の違いが感じられました。

鳴りですが、延べ竹の良いところ、管自体で響いているようです。 「上鳴り、下鳴り」と言う人もい
ますが、下のほうで響いています。
遠くまで音が届くということで「遠音がさす」という言葉もありますが、その通りの音でした。

内径が大きいので、すこしの口元の変化でいろんな音色が楽しめます。ですので、長時間吹いて
も、吹きやすく、飽きない尺八でした。
吹きにくい音や、出ない音も殆どなく、唯一、裏孔をあけるヒの甲の音が出しづらいぐらいでした。


気がつくと小一時間も吹いてしまいました。地塗り管とちがって、何か懐かしい音味です。

そういえば、昔、NHKのラジオ放送で、浦本浙潮師が吹く「奥州鈴慕」という曲を聴いたことがあり、
その音色だと思い出しました。小笠原清太郎氏作の一尺九寸地無し管による演奏でした。
師はこの一曲を終生愛されて、吹かれたと聞いています。乙音は響きのある太い音色、甲音で出て
くる「エルの手 チルツルー」は華麗な音で演奏されています。
私自身が古典本曲に取り組もうと思ったときに聞いた曲です。
その時の放送では、宮川如山師の演奏で「阿字観」も放送されていて、これもすばらしい演奏でした。

この二代目河野玉水師作「地無し延べ竹 ごろ節有一尺八寸の尺八」に息を通した者として
昨年亡くなられた河野玉水師、もっと長生きしておられたら、もっとたくさんの方が師の地無し管を
愛され、吹かれたのにと、残念な気持ちと、貴重な尺八を手に入れられた貴志さんには、この尺八で、
今後とも素晴らしい演奏をお願いしたいと思います。


あるプロの製管師は、師匠から地無し管には手をださないようにと釘を刺されたと仰ってました。
地無し管は、楽器としての音階を求めるのは非常に難しく、節を抜いて削り落として作るため、竹の形
状に大きく左右されるためです。何本か作っても、地無し管として商品になるものができないそうです。
地塗り管のように下地を入れて管内を綺麗に仕上げて作り上げるものではないことから、地無し管には
手をださないようにと言われたと聞きました。


地無しで、正確な律が得られた尺八、プロの製管師でも簡単には作れない尺八です。
商品として量産できないとしたら、自分用にアマチュア精神で作ってみようかと思っています。
尺八を吹く者として、「地無し管」に対する興味は昔からあって、吹いてみたい、作ってみたい尺八です。
「地無し管」は、内径に何も施していないのですから、音律のバランスをとるのが大変難しいので、満足
のゆく完成品が出来るまで何年もかかるでしょうが挑戦したいと思っています。

実は4年ぐらい前から、尺八製管を習っていまして、外形作りまでなんとか教えてもらいましたが、
内径作りの難しさで、地塗り管の製作に足踏みしている状態です。
今回、素晴らしい地無し尺八の音色を確かめることができて、ますます作ってみたくなりました。


2年前から下記の工房を借りてここで、尺八を作ったり、吹いたり、教えたりしています。お近くに来られた
らお寄り下さい。

竹園尺八工房
いろり村 大阪市北区中崎町1−4−15
http://www.k3.dion.ne.jp/~irori-05/ いろり村のWEBサイト
神崎 憲 Mail Adress kanzaki108@gmail.com

神崎憲 台湾尺八行脚
http://www.bmbnt.com/taiwan/



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〈尺八教室〉

○講師 尺八吹奏研究会 貴志清一

(尺八歴31年、「尺八吹奏法U」著)
(池田静山師、後ち松村蓬盟師に師事)

○内容 琴古流本曲 新、現代曲、古曲、歌曲、初歩指導等

(琴古譜、都山譜両方可能、五線譜も可能)

1.月極稽古 (謝礼)
 月1回四千円、2回六千円、3回八千円
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2.稽古日
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3.時間:概ね30分〜1時間まで

4.ワンポイント稽古
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〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190
貴志清一


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