戻る

インターネット会報2009年7月号

「尺八の持ち方」   貴志清一


 「尺八の持ち方」・・・・これは2,3ヶ月まえから書き始めたけれど、なかなか筆が進まない

「研究資料:尺八吹奏法(運指編)」の第1項の内容です。この後に
「押し指の合理的な練習曲」、
「千鳥の曲の手事部分の練習例」、
「春の海の中間部の練習法」、
「雨の水前寺の速い音型の練習課題」、
「コロの合理的な練習課題」と続きます。
 しかし、すべての楽譜に五線譜、都山譜、琴古譜を併記する手間に負けかかっているのも事実です。
また、この種の冊子として、実際に演奏している音源(CD)も中習者の方々にとって必要でしょうから、
その作成の過程の障害があります。一流の演奏家ですと、レコード会社のスタジオに行って吹くだけで
済むことですが、一介のアマチュア奏者ではそうは行きません。また、原稿ができても、一から印刷会社
さんを捜すことから始めなければなりません。
 それやこれやで、今まで運指の練習法も是非まとまった冊子にして欲しいというご要望の方々にはご迷
惑をおかけしております。なんとか、どういう形でも仕上げますので、今しばらくお待ちください。
 もう一つの理由は、この「運指編」ができたとして、私の書いている注意を無視して各課題を闇雲に
練習し、挙げ句の果てに腱鞘炎になってしまう危険性を考えているからです。
 今考えている「運指編」の各課題は力を入れすぎると腕や指にかなり負担がかかります。自分で力が入
りすぎているかどうかを見極められない初心者等がこの冊子を使うのは少し危険を伴います。
 第1項はそれを先ず注意しているのです。
 ここでは、この第1項、それに第2項の草稿を載せますのでお読みいただき、果たしてその意味がおわ
かりになるかどうか、率直なご意見をお聞かせいただきたいと思います。お寄せいただいたご意見を参考に、「
運指編」の作成を進めていきたいと思っております。
(宛先:〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190-7 貴志清一 迄)
 そして、もし「運指編」のようなものは、返って弊害が多いと思われましたら、10部ほどコピーして
ご希望の会員さんにお渡しするだけにしたいとも考えております。
 
では、お読みください。

(「運指編」草稿)第1項 
○運指の基礎としての、尺八の持ち方

 尺八は原則として、指には余分な力を絶対に入れてはなりません。
 力を入れすぎて練習していますと腱鞘炎等になりがちです。実際に腱鞘炎で悩んでいる方も、もしかする
と多いかも知れません。
 尺八を力一杯握るのではなく、両方の親指で尺八の重さを支える感じで、少し管尻を上げて持つと良いか
と思います。
 私は 乙ハ(琴古:り)を吹きながら、右手、左手の指を、親指を残してすべて離して、しかも音を出し続
けることによって「余分な力が入っていないか」を確認します。
 おそらく信じてもらえないかもしれませんが、実際にできるのです。それくらい指から余分な力を抜くのです。

練習法
1.乙ハをロングトーンで延ばす。

2.音が出ている時に左手の中指をそっと離す

3.音が出ているときに続けて右手の親指以外を全て離す

 多分、こうすると、大抵の方は尺八が落ちてしまうと思います。落ちてしまわない持ち方が、指に力の入って
 いない理想の持ち方なのです。歌口で安定させ、左手・右手の親指に尺八の重さを支える感じです。
 実際の写真を見てください。
 左側が(り)音(都山乙ハ)を吹いている状態です。
 右側が最終的に親指だけ残して音を出している状態です。
 (IT会報では写真は省略しています)

 さて、これができている状態では、指に力を入れようがありません。すなわち余分な力が入っていないのです。
もちろん親指にも余分な力は入っていません。この状態でどんな速い音型を練習しても腱鞘炎になることは
ありません。
 はっきりと明言しておきますが、ピアノやヴァイオリンと違い、尺八では腱鞘炎になりようがないのです。
なりたくてもなれないのです。何故なら、高々300g程度の重さの竹を口に軽く立てかけて両方の親指で支え
るのですから、力の入れようがありません。
 それでは、何故力が入るのでしょうか。答えは簡単です。持ち方が悪いからです。特に垂直に近い持ち方をする
とその危険性が高まります。いくら軽いものでも、垂直に落ちようとするものを横から止めるのは、常にかなり
の力を入れなければ安定しないのは当然です。両手の親指で支えられるほど、管尻を上げるようにしましょう。
また、実際の演奏はそれよりも若干管尻を下げても可能です。
 

(「運指編」草稿)第2項 
○押し指の練習
 さて、指が自由に動く持ち方になったと仮定しましょう。
 尺八の初歩の段階から地歌「七小町」の手事を見事に吹きこなす名人まで、常に訓練しなければいけないのが
「押し指」です。
 押し指に関して、“何となく古曲を数吹けば上手くなる”という幻想を持っていませんか?
 古曲を数吹けば押し指は必ず上手くなるとは限りません。第一、1日の限られた時間の中で「千鳥の曲」ならその
手事の所を何回吹けるでしょうか。しかも、所定のテンポで吹き始め、難しい・いつも間違うところを今日も間違
って、それでもどんどん先を吹いていく。その内、間違ったところも忘れてしまって、「ああ、今日は3回通した
なあ・・」と自己満足に陥ってしまう。
 これでは、尺八は永遠に上手くなりません。
 しかも、悪いことに大抵の師匠は弟子の間違ったところを指摘しないことが多いのですね。いっしょに吹いていって、
師匠はできるのだけど、弟子は間違っている。それでもかまわずいっしょに吹き通す。弟子が一人で吹くときも、
師匠は唱譜をして、弟子が間違っても自分はどんどん歌っていく。
 第一、入門して、全音の音も十分に出ないのに、「千鳥の曲」などを弟子に吹かす師匠が多いというのは何だろう。
勿論師匠自身もたいして上手く吹けないのだが。
 メリ音が確実にできない内から地歌は練習させてはいけないのでしょう。そんな練習をしているから、尺八愛好家は
曲を確実に吹けなくても、吹けないことに慣れてしまうのでしょう。これはもう恐ろしいことです。
 たとえば乙のツから始まりメリ音のない歌曲、「浜千鳥」を練習させているとき、もし弟子が甲のツが出にくければ、
「この甲のツがしっかり出ればこの曲は音楽になるのです。あなたはまだできていませんが、それがあなたの課題です
ので甲ロの流れで甲のツを出しましょう」と指導し、決してメリ音の出てくる地歌は、音が満足に出ない内は吹かせ
ないのが良識ある師匠だと思います。
前置きが長くなりましたが、押し指(連続音)も合理的な練習を無理なく重ねれば、上達への情熱がある人なら誰でも
上手くなります。

 そのための練習法を述べます。
○先ず、自分が確実にできる速さより速くしないということです。 これは、すべてのこの本の課題に当てはまります。
 そして、特にできない部分は、その部分だけ自分で練習してみることをお勧めします。
○押し指の注意としては、音が分離すれば十分なので、指は上げるというより、小さな隙間を作る気持ちで練習してください。
○この練習曲は、一例ですので、上級者は自分で外の曲で、いろんなパターンを工夫してください。
○特にこの押し指は、古曲の手事の部分に有効です。

 楽譜は第2項の3曲中、第1番のみ掲載
(IT会報では省略しています)



【ご案内】
〈貴志清一尺八教室〉
○講師 尺八吹奏研究会 貴志清一
(尺八歴31年、「尺八吹奏法U」著)
(池田静山師、後ち松村蓬盟師に師事)
○内容 琴古流本曲 新、現代曲、古曲、歌曲、初歩指導等
(琴古譜、都山譜両方可能、五線譜も可能)
1.月極稽古 (謝礼)
 月1回四千円、2回六千円、3回八千円
 ※入門料はありません。
2.稽古日
 平日、土曜、日曜(ご相談下さい。)
3.時間:概ね30分〜1時間まで
4.ワンポイント稽古
 遠方、その他により1回限りのお稽古も受け付けております。
 1回四千円、特に合理的な吹奏法習得にお役立てください。
○稽古体験
 入門する、しないに関わらず稽古内容がご自分に合っているかどうかを体験していただけます。
稽古体験は1回で無料
○申込法
 入門、ワンポイント稽古、稽古体験ともご希望の節は、ご氏名・ご住所と、рワたはメールアドレスを
お書きの上ハガキにてその旨ご一報ください。折り返しこちらからご連絡させていただきます。

〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190  貴志清一


【ご案内2】
「尺八吹奏法U」ご注文の節は、 
邦楽ジャーナル通販 商品コード5241、http://hj-how.com
(送料別途)