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インターネット会報2009年110月号
地無し尺八による本曲・古曲・現代曲演奏会(10/17)
「尺八吹奏法(運指編)」講習会(11/15)
相良保之師の一節切講習会に参加して
貴志清一
 江戸時代、元禄頃を境にしてだんだん廃れていった一節切を研究し普及活動をなされている相良師の講習会に行ってきました。(2009.9.25)
 わたくしも元禄以前の一節切を所持していますので、たいへん良い勉強になりました。邦楽ジャーナルでも紹介されたとおり、師は明暗真法流の伝承者でもあります。明暗真法流を山口県の藤田正治師に20年の歳月をかけ伝承された尺八奏者です。先週に京都の明暗寺で行われた虚無僧研究会献奏大会で相良師の演奏を拝聴させていただきました。静かに、時には力強く、川の流れの如く本堂に響いた尺八の音は参加者約100人の心に沁みこんでいくようでした。 
 相良師は「明暗真法流を深く知るには、一節切の研究も欠かせない」と言われましたが、なるほど、師の深い尺八の演奏はここからくるのかと感心しました。
 講習会場は竹保流家元三代目酒井松道師のお宅で、ありがたいことに酒井師の貴重なお話も伺うことができました。
 内容は講義と実技です。古代尺八(雅楽尺八)、中世尺八(一節切)、近世・近代尺八(普化尺八)にわけてたいへん分かりやすく説明されました。 特に興味があったのは、水墨画で有名な雪舟が一節切を愛好したこと、虚無僧寺では普化尺八の外に一節切も教授していたことです。この後者の事実は、一節切愛好者が一節切をやめてしまって別の人々が普化尺八を始めたのではなく、一節切愛好家が普化尺八に移行していったことを示唆します。このことは、私にとって大変勉強になりました。
 相良師によれば、一節切のすばらしいところはその「音色」だといいます。それは現代はもちろん、江戸後期には完全に忘れられた響きです。しかし「その響きは現代においても大変価値のあるもの」だとお話しされました。
 あえて私なりにこのことを一般化しますと、「価値がないから忘れられたのではなく、価値が分からない人間が増えてきたから忘れられたのだ」となります。私が幼い頃、きれいな小川で網ですくった小鮒は、価値がないからいなくなったのでしょうか。きれいな川の水は価値がないから、汚くなったのでしょうか。自分自身、なんらかのことで川をよごしている当事者なのであまり偉そうなことは言えません。でも、今すぐ行動できなくても、もう少したくさんの人が良い環境の価値をわかってくれば世の中は少しでも良い方向にいくと思います。
 話は脱線しましたが、今私は主に地無し延べ竹ゴロ節有りの一尺八寸管を吹いています。外観は地塗り尺八とさほど違わないのですが、中の作りが天と地ほどの違いがあります。息受けの気持ちよさ、音色の深み、ツのメリはロの音程まで下げられこと、等々、私はこれらのことに価値をおいています。音程にばらつきがあり、よい音を出すポイントを見つけにくいことなど気にならないくらいです。
 これほど良い地無し延べ竹ゴロ節有り尺八なのに、明治の後半から地無しは一部をのぞいて忘れさられてきました。それは、地無し尺八の価値が分からない人が増えてきた結果で、地無し尺八に価値がないのではありません。私の地無しを制作された故二代目玉水師のところには生前より永らく外人の尺八愛好家がよく訪れ、また今でも多く訪れています。師によれば「竹の中を覗くことなく選ぶのは、たいてい地無し管」だったそうです。玉水銘の地塗りの製管技術は卓越しているのはご存知の通りなのですが、「どうも外人は地無しを持って帰る」と仰ってました。おそらく、多くの外人にとって尺八選びの基準は多くの江戸時代の人と同じく「音色」なのでしょう。私もその一人なのですが、古来これを「音味」(ねあじ)とわざわざ名前をつけてまで価値をおいてきたのも当のわれわれ日本人です。
 少し扱いが難しいですが、難しいから面白いと考えて、これからも地無し延べ竹ゴロ節有りの尺八で琴古流本曲を勉強していきたいと思います。
 この一節切講習会によって、あらためて今自分の進んでる方向性を客観視することができました。講師の相良師には紙面をお借りしまして、厚く御礼を申し上げます。
 
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【「尺八吹奏法(運指編)」について】
貴志清一
 9月号で紹介させていただきました「尺八吹奏法(運指編)」はすでに300部ほどお申し込みを受けました。ご購入いただきました方々には紙面をお借りして厚く御礼申し上げます。

 ここで、「尺八吹奏法(運指編)」をご購読された方々のご感想を一部掲載させていただきまして「あっ、そんな使い方もできるのか」「なるほど、そういう解釈もできるのだな。」等々参考にしていただきたく存じます。

○運指の心構え
・“自分が確実にできる速さから始めること”とのご指摘に、自分が日頃何も意識せず、無造作に吹いていたことに気がつき「ハッ」としました。
・こうした運指だけをあつかった本がありませんでした。たいへんタイムリーな教本だと感じました。
・「押し指」に限らず、運指の基礎としての音だし、特に「下唇の活用」がいかに大切であるか、今になって気がつきました。
・この本は自分が納得して実践できる効果的な練習法が示されていて、安心して練習に取り組めます。
・尺八の持ち方も参考になりました。
・CDの一尺八寸管は「玉水銘、地無し延べ竹ゴロ節あり」を使ってるのでしょうか。良い音色で感動しました。
(その通りです。今まで紹介してきました地無し管です。 貴志)
・前作(「尺八吹奏法U」)につづき、合理的な解説は有りがたいです。

○「押し指の練習」
・古曲の手事には必ず出てくる「押し指」をこれまではたいして練習もせずに過ごしてきたように思います。この冊子の入手を機に、一生懸命練習したいと思います。
・五孔の押し指の時に、右手(下部管)の小指を竹に添えることによって、より左手(上部管)の親指の動きを自由にしてやるということには驚きました。確かにスムーズに五孔の押し指が可能となります。今後はこのことを心がけて吹こうと思います。

○「コロの運指練習」
・コロの運指練習はたいへん参考になりました。
・コロは“コロコロ”ではなく、“コロこロ”であるとの指摘は目から鱗が落ちました。難しい課題ですが努力したいと思います。

○「春の海の練習」
・この冊子を読むまでは、やはり我々は楽して上手くなりたがっていたのです。「春の海」の練習の解説の“一年間、毎日続ければ・・”を読んでショックを受けました。われわれは、練習量が絶対的に不足しているのです。
また、“闇雲に100回やっても(無駄)”、
“できない部分を取り出して・・・”、
“少ない時間を如何に有効に使うか・・・”等々、有益な示唆がたくさん詰まっていました。これからの練習に早速生かしていきたいと思います。


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「尺八吹奏法(運指編)」講習会のお知らせ
 この度、下記の通り「尺八吹奏法(運指編)」の講習会を開催させていただきます。

第1部 1:00〜2:25尺八吹奏法(運指編)」を説明を入れながらの実演、実技。
第2部 2:30〜尺八個人指導 一人約40分の個人指導(各自の課題に合わせての指導)
(例)・初心者で音自体が出しにくい。・安定した音の出し方がわかりたい。・尺八についての悩みの相談

1.日時 2009年11月15日(日)1:00〜5:50
2.会場 艶舞台(当道会大匂当:菊苑馨師宅)
  大阪梅田より地下鉄または阪急電車 約20分、徒歩10分
3.講師 貴志清一 箏伴奏:菊苑馨師
4.募集人数 5名
(1部のみ、または2部のみの参加は受け付けておりません)
5.講習会費 6000円(当日納入)  
6.申込方法
 往復ハガキに住所・氏名・電話番号・竹歴年をご記入の上、下記宛お申し込みください。折り返し講習会場までの地図をお送りいたします。
※先着順にて定員を越え、ご参加していただけない場合もご連絡いたします。その節ご容赦ください。その際、次回の講習会には通常よりも早くご案内させていただきます。
 宛先〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190ー7 
         尺八吹奏研究会 貴志清一

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【尺八・お稽古のご案内】
〈貴志清一尺八教室〉
○講師 尺八吹奏研究会 貴志清一
(尺八歴31年、「尺八吹奏法U」著)
(池田静山師、後ち松村蓬盟師に師事)
○内容 琴古流本曲 新、現代曲、古曲、歌曲、初歩指導等
(琴古譜、都山譜両方可能、五線譜も可能)
1.月極稽古 (謝礼)
 月1回四千円、2回六千円、3回八千円
 ※入門料はありません。
 ※講師はどこの社中にも属しておりませんので、免状等はお出しできません。この点、あしからずご了承ください。

2.稽古日
 平日、土曜、日曜(ご相談下さい。)
3.時間:概ね30分〜1時間まで
4.ワンポイント稽古
 遠方、その他により1回限りのお稽古も受け付けております。
 1回四千円、特に合理的な吹奏法習得にお役立てください。
○稽古体験
 入門する、しないに関わらず稽古内容がご自分に合っているかどうかを体験していただけます。稽古体験は1回で無料
○申込法
 入門、ワンポイント稽古、稽古体験ともご希望の節は、ご氏名・ご住所と、рワたはメールアドレスをお書きの上ハガキにてその旨ご一報ください。折り返しこちらからご連絡させていただきます。
〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190
               貴志清一


【ご案内2】
「尺八吹奏法U」ご注文の節は、 
邦楽ジャーナル通販 商品コード5241、http://hj-how.com
(送料別途)


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【演奏会のご案内】

尺八吹奏研究会第22回演奏会
地無し尺八による本曲・古曲・現代曲
神崎憲・貴志清一演奏会

 今回、尺八吹奏研究会では現代における「地無し管の可能性」を探るべく小さな演奏会を開催させていただきます。
 たとえば、200年前には今の琴古流本曲の形ができていましたが、その時吹いていた尺八は地無し管です。その地無し管によってメリやナヤシが無理なくできるのですが、明治以降に発達した地塗り管では演奏が不自然になります。また、地塗り管では音色が金属的になりすぎ、地無しの柔らかく且つ力強い音色を再現できません。
 今回は二代目玉水師の遺作の地無し管を使い、地無しで吹く本曲・古曲・現代曲を聴いていただきます。
 尺八は神崎・貴志、糸方に菊苑馨師・菊紀美葵師を迎えて演奏させていただきます。
 ぜひ、お越しくださいますようご案内申し上げます。

☆日時 2009年10月17日(土)
   午後(2:30開場) 3:00 開演

☆出演者 
 尺八 神崎憲 貴志清一
 箏  菊苑馨 菊紀美葵

☆演奏予定曲目 
 「呼竹・受竹」 「真虚霊」
 「黒髪」    「春の夜」
 「鹿の遠音」  「惜別の舞」

☆場所 豊中市立伝統芸能館
   (大阪府豊中市岡町北1-4-1)
   ( 06-6850-1313)

☆交通 
 阪急宝塚線 岡町 下車2分
 (梅田より10分)

☆入場料:無料(要:整理券)
○申込方法
 各演奏者に直接お申し込みいただくか、または
 下記の住所宛、往復ハガキに「22回整理券希望」と明記の上、
住所・氏名・電話番号をご記入し、お申し込みください。
折り返し整理券(ご案内地図付)を送付させていただきます。

  〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190ー7 貴志清一 
  または〒550-0015 大阪市西区南堀江4-2-9-704 神崎憲迄