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インターネット会報2012年1月号

メール尺八相談の一例:喉の鳴りを直したい                           貴志清一

 10月から始まりましたEメールによる尺八の悩み相談ですが、今月はその一つの例を紹介させていだたきます。
 この「喉の鳴り」という尺八の息をダメにする悪い癖については尺八吹奏法Uでも取り上げていますし、機会のある毎に書いております。 しかし、なかなか克服するのが難しいようです。
 私としましては「尺八を吹いているときに喉が鳴ってきたら、吹くのをやめる」というのが最良の解決方法だと信じていますが、なかなかその真意を理解していただけないことが多いようです。今回のお便りで、送信してくださった方が将来、「喉の鳴りから解放されました」と言っていただけたらうれしく思います。
 さて、ご氏名はもちろん竹歴・流派等も省き、文面から個人的な内容も省略したお便りが次の文章です。

 邦楽ジャーナルの通販で購入しました「尺八吹奏法U」の中の毎日のウォーミングアップをやっています。
私の課題は、喉が少しでも鳴ることです。尺八吹奏法Uにも述べられています「お腹の支え」があるとき、お腹から息を出しているときは、喉鳴りもほとんど少ないように思います。 しかし甲の音から乙の音に変わるときよく喉が鳴ります。そこで、甲音と乙音で唇の形状を少し変えると鳴らないように思います。たとえば、「甲のロ」から「乙のロ」へ移るとき、唇の形は変わり、「乙のロ」を吹くときは、若干唇を丸くして管の内に息を入れる感じで吹いていますが、これでよいのでしょうか?
よろしくお願いします。

このご質問に対しまして、以下のように返信させていただきました。

おたより、拝見しました。
喉鳴りという、尺八吹奏上、きわめて上達を阻害する悪い癖をなおそうという姿勢に感心しています。また、この喉鳴りの抜本的対策としての正しい腹式呼吸を心がけようとしていることも良いことです。頑張ってください。
 さて、甲の音から乙の音に変わるときよく喉が鳴るということですが、確かに、甲音と乙音では、尺八の管中の共鳴形式がかわりますので、それに対応するために、無意識に喉や口腔に力を入れることになるのでしょう。そのために、「乙のロ」を吹くときは、若干唇を丸くして管の内に息を入れる感じにすることは、ひとつの解決方法です。
 しかし、唇を丸くしようとする意識が強すぎると、これは別の悪癖を生みます。すなわち、甲音と乙音を別の口形で吹くという悪癖です。これが定着すると、乙ロから2オクターブ上のピまで駆け上がる、または乙ロを吹いた瞬間に甲のピ(または琴古の二四五のハ)を出すという大切な尺八のコントロールができなくなります。琴古流ですと、鹿の遠音のムラ息の部分ができなくなります。もちろん、地歌を吹いても自由自在には吹けないでしょう。
 ですから、「尺八吹奏法U」のウオーミングアップにあるような音型をゆっくりほとんど同じ口の形でという意識で「喉を鳴らさない」練習をしてください。そして、余力があるときには、「喉を鳴らさない」ために「喉を鳴らす練習(歌う)」をしましょう。詳しくはHPに載せていますが、今一度部分的に抜粋したところを掲載させていただきます。。お読みください。
http://www.bmbnt.com/shaku8/bamboo193.htm

文面を拝読させていただき、尺八への情熱が伝わってきます。頑張ってください。
  ○「喉の鳴りを防ぐ練習法」
正しい“喉”の考え方は、“喉を開けて吹く”のでもなく、“喉を締めて吹く”のでもありません。喉をリラックスさせて、お腹をしっかりささえて吹くのです。
 それでも実際に、声帯の幅を理想的な隙間にするにはどうしたらよいのでしょう。ここでは、その一つの練習方法を紹介します。この方法は将来発表したいと思っています「尺八奏者のビブラート」(冊子)に掲載しようかと考えているものです。
 この方法はまだ、試案の段階ですので、私が横に付いてチェックしながら練習しなければいけませんが、敢えてこの“喉”で悩んでいる方のために逆効果を恐れずに書きます。従いまして、試される方はかなり慎重にしてください。

(練習法)

(準備)音の出るチューナーを用意する
1.チューナーでD(乙ロ)を鳴らし、その音に高さを合わせ「ローーーーー」と何回も歌う。
2.同じ要領で「ローオーオーオーオー」と何回も歌う。丁度軽いビブラートがついたような歌になる
 (考察)この「オーオー」の時に、声帯が振動しているにもかかわらず微妙に近づいたり遠ざかったりするので、理想的な振動の獲得に資する。
3.次に、声を出さないで息だけで、1.2.を何回も練習する
 (考察)この時の息が理想的な声帯の幅に近いだろう。
しかも、喉のどこにも力が入っていない状態を実現できる。
4.この1.2.3をF(ツ)、「ツーーーーーーー」「ツーウーウーウー」
  G(レ)A(チ)C(りorハ)そして、裏声にして、D、F、G,Aまで練習する。(裏声になるのはチからでも全く問題ない)
5.この練習は個人差はあるが、一日10分以上する。
6.個人差はあるが、最低3ヶ月は続け、できうれば一生練習する
 (音響事情が許さないときは小さい声でも効果は十分ある)
以上、抜粋
 
次の文章はわたくしの回答についてのお返事です。
 
 ご指導ありがとうございます。
先生のアドバイスの通りやってみます。
自分でも、質問を書いてから甲音と乙音を別の口形で吹くという
のは、やってみて唇の形が気になって、そこへ意識がいってしまってました。
自然体でやってみます。 ありがとうございました。


【紹介】
 今年は辰年ですね。私の吹く琴古流本曲に「吟龍虚空」があります。
 龍が虚空に向かって吟ずる、吠えるということでしょうか。龍がどんな風に吟ずるのかは演奏者各自の感じ方ですが、なかなか辰年にふさわしい曲です。
 琴古流の基礎文献である「琴古手帳」の[当流尺八曲目録]の裏十七曲中、13番目にでてきます。その説明として、(読み下し)
「吟龍虚空
 右は一月寺御門弟、吟龍子より伝来つかまつり候。右、吟龍子、その節九州鈴慕、御懇望につき、猶又、師父琴古より伝授つかまつり候。」
(現代語訳)
「この吟龍虚空というのは一月寺の門弟で、吟龍という虚無僧から(琴古に)伝えたものです。その時、吟龍は九州鈴慕を教えてほしいということで私の父・琴古が九州鈴慕を教えました。」
 この記録から見ますと、吟龍虚空は龍が虚空に向かって何かを吟ずるというのではなさそうで、単に吟龍という虚無僧が得意とした曲らしいのです。
 しかし、この虚無僧自身が自分の名を「龍が吟ずる」としたくらいですから、「龍が虚空に向かって吟ずる」感じで吹いても、あながち的はずれではないと思います。会員のみなさまは、どうお考えでしょうか。
 とにかく、この一年、共に竹道に励みましょう。(貴志)



【引き続きEメールによる尺八の悩み相談を受け付けています】
(ローマ字のxxxを@(半角)に変えて、ご送信ください。    kiyosanxxxdune.ocn.ne.jp
○ご質問に対して、順次回答させていただきます。
○ご質問者、内容等の情報は保護いたします。
○非難・中傷のメールは無視させていただきます。
○中傷・妨害等により、継続できなくなったときは中止させていただきます。
(この場合、最新の尺八吹奏研究会HPにてお知らせいたします)

【ご案内】
「尺八吹奏法U」ご注文の節は、 
邦楽ジャーナル通販 商品コード5241、http://hj-how.com
(送料別途)