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インターネット会報2013年8月号

関西一節切研究会が発足します。
一節切に関心のある方はご参加ください(要項・文末) 貴志清一

尺八愛好家のみなさん。「一節切」の読み方はご存じでしょうか。これは「ひとよぎり」と読みます。知らなければ絶対読めない漢字の一つです。これは今から700年ほど前、室町時代から使われ有名な一休禅師も愛好した30cmほどの尺八です。日本絵画史では必ずその名前がでてくる雪舟も折に触れて演奏を楽しみました。そして戦国時代、殺伐とした世相の中で心を癒やす拠り所の一つが一節切を吹くことでした。閑吟集にあるような小歌の伴奏もして楽しみましたが、またそれとは別に"一節切本曲"というべき独奏曲も心を込めて演奏されました。
一節切愛好家の戦国大名もたくさんいます。織田信長が桶狭間の戦いの前夜、八幡宮にて戦勝祈願の一節切演奏をし、その信長に滅ぼされる朝倉義景は一節切マニアでした。一乗谷での最期、嫡子の愛王丸を落ち延びさせるときに自分の小刀と愛用の一節切を持たせました。愛王丸は家臣に伴われて逃げたのですが残念ながら追っ手に捕まり殺害されました。しかし、その時の一節切は残って今も見ることができます。2年前ですがその一節切を見る為に大阪から福井まで足を運びましたが、見た時は感無量でした。
その後、江戸幕藩体制ができ世の中が落ち着いて平和になって来たとき、一節切が大流行します。その一方、三節の三節切(みよぎり)が主に薦僧(虚無僧)によって吹かれ二管が平行して存在するようになります。
しかし三節切(後に普化尺八)が普及する一方、一節切は1700年を境に衰退していきます。おそらく一節切奏者達が甲乙の出る音域の広い、また表現の幅の広い普化尺八を吹くようになったからだと思います。その根拠として一節切の「手(本曲)」が普化尺八の本曲に発展していったことがあげられます。
「下がり葉」や「菅垣」物、「獅子」物がそれです。
また、曲だけでなく奏法も普化尺八は一節切本曲から大きな影響を受けています。語句だけでも「ゆり」「高音(たかね)」「めり・かり」などが思い浮かびます。
また、運指の呼び名は筒音から「フホウエヤリヒ・・」は明暗真法流や竹保流の「フホウエヤ」と全く同じです。
このように今は絶滅した一節切ですが、その歴史を探ることはとりもなおさず現在の尺八を深く知ることにつながります。
すなわち、現在、何気なしに吹いている尺八をもっともっと深く知る為には一節切の研究が欠かせないのです。

私事に亘りますが、数年前から一節切研究の第一人者の相良保之先生から10回以上定期的に講習を受けることができました。その時に教えていただいた事柄を自分一人だけのものにしていてはいけないと考えていましたが、もう少し自分自身の理解を深めてから一節切を広めて行く必要があのではないかと思っていました。
しかし、考えているだけでは何もしないのと同じだと、やっとこの頃気がつきました。一節切のような、きわめて馴染みのない楽器を果たして広められるのかという心配もあります。しかし、手元に江戸時代前期の古管一節切を所持していますので一節切の文献に現れた音は確実にこのオリジナルの楽器で再現できます。
古管一節切を自由に吹奏できる立場で、一節切研究の第一人者の指導を受けた自分としては、やはり一人でも一節切に関心のある方にいろいろなことを伝えなければならないと最近思い始めました。
たとえ1人でも申し込みがあれば、講習会を始めたいと思います。もしご希望があれば下記の要項をお読みいただき、お申し込み下さい。
一節切の楽器は粗管ですが、お貸しすることができます。その粗管を越える、古管に匹敵する一節切を作れる方が現れれば、より忠実に一節切古譜を再現演奏できると思います。しかし、現時点でお貸しできるのは粗管であることをご了承下さい。

関西一節切研究会(発足)について
【目的】
室町時代に始まり江戸時代の初めに大流行し江戸時代の内に消滅してしまって伝承の絶えた一節切(ひとよぎり)。
この一節切は現在の尺八を深く知る上で極めて重要な笛です。
その一節切を研究し、改めて現在の尺八を見直すことを目的とします。

【事業】
月1回程度の会合を持ち、一節切資料の勉強会と実技練習により、会員各人が一節切についての理解を深めていく。(10回で1サイクル)
原則として各月の第1土曜午後1:30〜3:30
※(備考)
・第1回目については2013年9月14日(土)午後1:30に開催・(会場は関空至近・泉佐野市有形文化財・新川家座敷の間)に決定しています。
・進め方は、「糸竹初心集1664年刊」を読み進めながら関連資料を勉強し、実際の一節切を吹奏していく。

【会員】
巧拙にかかわらず、尺八を愛好し、一節切に関心のある者。
会員は10回の会合に出席し、修了会員となる。
その節、新会員を募集しほぼ同じ内容で次のサイクルになるが、その場合に修了会員同士の研鑽会も検討する。

【会主】
当面、一節切研究家:相良保之師に教えを受けた貴志清一が担当。

○貴志清一:琴古流尺八演奏・指導、地無し尺八研究。竹歴35年
故松村蓬盟師に永らく師事。江戸時代前期の古管一節切所持。
2012年夏の国際尺八フェスティバルにて一節切演奏会出演、一節切ワークショップ講師の助手を勤める.


【退会】
会主に退会を申し出た時点で退会できる。
また、会の趣旨に沿わない会員(例:会を利用して経済活動をする等)は会主の判断で退会していただく。
・ご連絡なき欠席の場合、運営上(資料作成等)支障をきたしますので退会とさせていただきます。

【会費】
当面、一回の会合毎に資料代・運営費として2,000円、その都度納入。

【入会】
入会資格…尺八を愛好し、一節切に関心があること。
月1回程度の会合に参加可能なこと。
入会金 ・・・なし。
入会方法
「関西一節切研究会入会希望」と明記し
住所、氏名、年齢、竹歴、電話番号、粗管一節の切貸し出し希望の有無を記したハガキを事務局までお送り下さい。後日詳しい案内を差し上げます。
※なお、直接事務局へのご連絡でも可です。
【事務局】
〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190-7 代表 貴志 清一

【配布予定資料の例】
○糸竹初心集(影印版、活字版)○紙鳶(影印版、活字版)
○洞簫曲(活字版)
○一節切古管計測図(資料)○一節切研究家・相良保之師論説
○宗長日記、一節切関連項目(影印版、活字版)
○林謙三「江戸初期俗謡の復元の試み」(論文)その他一節切研究論文


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