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インターネット会報2013年9月号


豊かな音・フルトーンを目指して3教材を活用すること
高橋睦夫

はじめに:
 私は62歳から尺八の基礎を習い始めて、民謡尺八歴10年、古典本曲歴1年になる72歳の男性です。過日発表会で演奏した「手向」を録音で聴いて、自分の音の貧弱さに愕然としました。そこで音を鍛える方法が何かないかと、インターネットを検索するうち、たまたま貴志代表の主催する尺八吹奏研究会の会報に遭遇しました。そして、
・教則本「尺八吹奏法II」、
・「DVD版尺八吹奏法II」、
・教則本「尺八吹奏法(運指編)を購入し、音を鍛えるための指針を得ました。上記の如く全くの未熟者ですが、この3つの教材について感想を述べたいと思います。

「尺八吹奏法II」の素晴らしさ:
 会報を検索していて、教則本「尺八吹奏法II」が尺八吹奏研究会で出版されていることを知り、早速邦楽ジャーナル通販経由で購入しました。まず教則本を見て目を見開かせられたのは論理的な説明です。私は尺八を始めるときに市販の教則本を買いましたが、尺八の持ち方、運指法の説明があってあとは曲ばかりです。尺八教室の師匠も、始めに音の出し方、指使い(運指表)の説明が終わるとすぐに曲をやるようになって、演奏出来る曲の数は増えても一向に音が良くならない有様でした。

 「尺八吹奏法II」の素晴らしさは、大前提となる呼吸法について論理的に説明されている点です。腹式呼吸についてはどの教則本にも触れていますが、「尺八吹奏法II」では、吸気の方法と横隔膜の制御を論理的に述べ、この訓練を何百回も何千回もせよと説いているのがポイントです。私はこの教則本に接する以前は、腹式呼吸の重要性は認識していても、つい尺八をすぐに持って曲を吹く状態でしたが、それ以降は、尺八を持たないで指図どおりの訓練を行い、その後日課に移ることにしています。

 そのほか、唇の形、口腔内の開け方、口腔前庭の作り方などには一々肯けるものがあって、音を出す前にこの訓練をしています。そして第2章の「ハローによる息の流れの獲得」には目覚めさせられた気持ちがします。「ハロー」を吹くと「甲ロ」鳴りが以前に比べて随分良くなりました。今では、毎日のウオーミングアップに、「ハロー」を何度も吹いています。

 「メリ音のための一つの練習法」は大変実践的だと思います。歌口だけでメル(いわゆるあごメリ)は大変難しいですが、これが出来ないといつまでたっても正確な音程のメリが出せません。首回りを柔軟にして歌口だけでメル方法を習得したいと思います。

 ムラ息、玉音、横ユリについては、私はまだ初心者ですので次の課題です。文章だけでは理解が困難だなと思っていたら、DVDがあることが分かりました。

「DVD版尺八吹奏法II」の驚異:
 教則本「尺八吹奏法II」を毎日繰り返して読んでいましたが、どうも正しく理解出来ていないのではないかと思い、また会報を検索するうち「DVD版 尺八吹奏法II」があることを知り、急いで貴志代表に連絡を取りました。幸い残部があるとのことで、早速購入しました。
 このDVDを見て聴いて心底驚きました。それは貴志代表の吹かれる音質・音色でした。これは、尺八におけるマルセル・モイーズの指摘するフルトーンだと直観しました。

 私は若いころフルートを習っていましたので、フルートの神モイーズが指摘するフルトーンの重要性については頭にこびりついていました。フルトーンとは、音がギッシリと詰まっていて(即ち、空虚ではない)響きのある、輝かしい音で朗々と鳴り、色でいえば、紫色のする音が理想だと説いています。(『モイーズとの対話』全音音楽出版社)

 貴志代表の音を聴いて、目標が見えてきました。これが「DVD版」の大きな利点であります。私はこの音を何度も聴いて一歩でも半歩でも貴志代表の音に近づきたいと思います。
 勿論、音質(トーン)と音色(カラー)には違いがあって、音色は個性ですから、音質を充分磨いたうえで、自分の音色を目指します。

 このDVDには教則本「尺八吹奏法II」の大部分が収録されています。毎日のウオーミングアップ譜やメリ、横ユリなどの解説もありますので教則本では理解できないところも、視覚的に学習できます。またDVDは各チャプターに分かれていますので大変便利です。

教則本「尺八吹奏法(運指編)」の狙い:
 私は古典本曲を学び始めたばかりですので、本曲の特殊な運指法が充分理解出来ていません。それで、「尺八吹奏法(運指編)」は古典の運指表とその解説かなと思って購入しました。ところがこれが大違いで、尺八運指の基礎の基礎でした。私は驚くとともに、これが尺八吹奏には重大なんだなと理解しました。

 第一に尺八の持ち方です。私は楽器を握りしめる癖がついてしまって、柔らかく持つことが出来ません。癖を治すのは大変ですが、持ち方の訓練をして修正していきます。

 次に「押し指の練習」です。音を切ることは大変重要で、フルートではタンギングの練習をかなりしつこく行います。尺八では基本的に音を切るのは押し指で行いますが、実際には曲の中で押し指をやることはあっても、押し指単独の稽古をしたことがありません。
 音のキレを良くするためには単独の稽古が必要です。教則本は大変役立ちます。

「春の海」の練習方法は大変説得力があります。速いパッセージは本当にいい加減になりやすいですが、この教則本に随って努力します。

おわりに:
3つの教材を手にして、次のように実践することにしました。
練習を、訓練と稽古と精進に分けます。
まず、
○訓練では楽器を持たないで、腹式呼吸、横隔膜のコントロール、各部の柔軟運度などをやります。

○稽古では毎日のウオーミングアップをはじめ、日課を正確にやります。

○精進では、曲を吹くにあたって、作曲家の意図や曲想など、教則本に書かれている「春の海」を吹く際の心構えなどを念頭に置いて、気持ちを入れて吹きます。
これが私の「3つの教材活用法」です。
豊かな音・フルトーンを目指して頑張ります。
貴志代表はじめ先輩諸氏のご助言をお願い申し上げます。
以上(高橋)
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