会報 No.26

論説 古典本曲のメリ音 藤田 和明

現在、明暗対山派本曲の研究をしています。ようやく三虚霊を終えました。

この中で独特のピッチ感覚に気づきました。

チのメリ音のピッチがA♭より高くAより低いのです。(A♭↑)三曲合奏で 外曲に慣れた耳にはオンチに聞こえますが、そうではありません。

 昨年(1996年)12月20日、紀尾井ホールで明暗尺八の夕べを聞き実演と 、月渓恒子教授解説によるプログラムの両方で確かめられました。どうやらこの ことは常識に属することだったようです。情報の乏しいところに住んでいるもの ですから、ずいぶん回り道をしました。

 私の地無し管の場合は、A♭↑をチの大メリで出します。この音からめった まま1、3孔明けのウに移行することが多い。

このウ(極大メリ)はGより高くA♭より低い(G↑)のです。 都節音階に 慣れた耳にはA♭(低め)→Gと鳴って欲しいと感じますから、A♭↑ → G ↑はとても変に聞こえます。しかしこれも固有のピッチ感覚なのです。

もちろんレ(G)の指使いも別に存在します。 してみると、このピッチ感覚 を認めるか、認めないかで、明暗系の中でも相違を生じていることがわかります 。

海童道ではA♭→Gととるために、いわゆるチヒルの手を多用するように見え ますし、

徳山隆氏はA♭→G↑ととります。譜の書き方にも、演奏にもからんできます ので、心する必要があります。 以上、今一番気になっていることを述べました 。九州系や奥州系もこの感覚かどうかはまだ調べていません。

●おっしゃる論旨、よくわかります。お便りを読ませて頂いて私は、ピッチ感 覚を認める・認めないと言うよりは、自分がどのピッチ感覚が「好きか・嫌いか 」ということで判断し、それぞれ自分の気に入ったピッチ感覚の曲を聞いたり、 演奏したりするといいのではないかと理解しました。 いろんなピッチ感覚があ り、それぞれの存在を認めた上で、自分はどの感覚がいいかと考えるのが大切だ と思います。(貴志 清一)


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