会報 No.3

論説 誰でもできる、「玉音」の練習法 貴志清一

 普通の曲を吹いている限りでは全く必要ないのですが、古典本曲の秘曲扱い の曲や現代音楽の
尺八パートではよくこの「玉音」が出てきます。私の属する琴古流古典本曲の 中では、「巣鶴鈴慕」
の中に出てきます。この曲はたいへんよくできていて名曲の一つだと思うので すがあまり演奏会では
聴きません。おそらくこの「玉音」が難しいのだと思います。 そして、この 玉音の合理的練習法、
いいかえれば誰にでも時間と努力さえあれば出来るという練習法は、あまり知 られていないのではな
いでしょうか。「玉音」を支障なくだすことが出来ればこの「巣鶴鈴慕」もも っとみんなが楽しめる
と思います。  
「玉音」は西洋音楽で言う「フラッター・タンギング」に当たります。これは 舌を息の流れを少し借
りてふるわす奏法です。コツさえつかめれば難しいものではありません。ただ 、このコツをつかむの
が、出来ない人にとっては難しいのだと思います。また、まだ「玉音」を必要 でない初心者の方も、
今から修得しておくことは望ましいことだと存じます。

玉音の具体的練習法  
ここで述べる方法は私が「玉音」を修得した経験より述べますので、まだまだ よい方法があるかも知
れません。今から二十数年前のまだ中学生だった頃のことです。国語の教科書 で”美しいドイツ語”
についてのことが書いてありました。美しいドイツ語は特に「R」の発音が大 切だとありました。
そして、外国人にとってはこの舌をふるわす「R]がとりわけ難しいとありま した。その後に、必ず
「R]の発音が出来るようになる方法も書いていました。  単に国語の教科 書の文でしたが、何を思
ったのか、読んだ次の日から練習を始めました。おそらく家族のものは「何を 始めたのか」と不思議
な気持ちだったと思います。身内ながら変わった人間だと言う感じだったでし ょう。  

その方法と言うのが「うがい」による方法です。 最初十分な量の水でうがいをします。そして毎日少
しずつ水の量を減らしていくのです。あわてず、出来なければ出来る量の水で うがいをします。
それを数カ月続けます。最終的には、全く水無しでうがいの舌の動きを獲得す るのです。  
私の中学時代はよほど暇だったのでしょう、2、3カ月毎日毎日うがいを続け ました。そして、最後に
は水無しでうがいの舌の動きが出来るようになりました。 人によっては数週 間で出来るでしょうし、
また1年ほどかかるかも知れません。いずれにしても必ず出来ることと思いま す。
この時獲得した「R]の発音は身についていまして、後からフルートを習って いるときにたいへん重宝
いたしました。  そして、この「R]の舌の動きが出来ると、その動きを舌 の前の方へ持っていき、
鋭い「玉音」もだせますし、また喉の奥で震わせますと猫みたいな柔らかい「 玉音」もでます。
(猫の名前に「玉」が多いのはそのせいでしょうか)いずれにいたしましても 、ぜひこの機会に、
”うがいによって”、玉音を修得して下さい。   
この玉音に関して、まだまだ他によい方法もあると思います。ご存知の方はぜ ひお教え願えれば幸いです。
また、この私の方法についてのご意見をお寄せ願いたく存じます。 
参考意見は随時会報誌上に掲載していきたいと思います。 (96/10/21)


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