戻る

HP-No.330
    「雲井獅子」は正真正銘、琴古流本曲である(楽譜・音声付)
                                                                    貴志清一
 千葉県在住・本会会員さんのT氏が地元でのコンサートで「雲井獅子」を含む数曲を演奏されました。T氏は現在75才ですがまだまだお元気で尺八中心の生活を楽しんでいらっしゃいます。
 さて、そのご報告のなかで「雲井獅子=琴古流本曲?」という疑問をお持ちでした。
 私は山口五郎師とは四郎師の兄弟弟子に当たる松村蓬盟先生に永らく本曲を指導していただきましたが、「三浦琴童譜」に載っていないので習って いませんでした。「雲井獅子」の琴古譜はありますので自分のレパートリーの一つなのですが私自身、この曲が元々の琴古本曲かどうか疑問でした。
 「雲井獅子」は「り」(都山:ハ)を主音とした陰旋法(都節)で甲音で「三のウ・ヒ」に続く「五のヒ中メリ」が印象的な名曲ですので、こんな良い曲が琴古流本曲にないのを残念に思っていました。
 今回あらためて江戸時代成立の琴古流の根本史料『琴古手帳』と三浦琴童譜(本曲集甲乙36曲)を比較対照しました。
 途中の考察は省略しますが、結論として三浦琴童譜と琴古手帳の本曲名が当てはまらないのが一曲あり、それは「栄獅子」(=堺獅子)の雲井調子で書かれた曲だということが分かりました。 
 そうなんです。1700年頃成立の普化尺八最初の入門書『三節切初心集』にも載っている「堺獅子」が原曲なのです。
 もともとレ(G)を主音とした本調子の五度下の「り」(C)を主音に転調して書かれたものが雲井調子で、「堺獅子」の雲井調子が『雲井獅子』そのものです。
 そのことを念頭にあらためて「栄獅子」の雲井調子を見ますと『雲井獅子』とほとんど同じです。ただし、現行の『雲井獅子』はもっと音楽的に洗練され、適度な時間で上手く構成されています。
 以上のことを知っている人にとっては「当たり前のことを、今更」と思うかも知れませんが、もしご存じない琴古流奏者の皆さんは間違っても「雲井獅子は琴古本曲?」という風な間違いはしないようにしてください。
 「雲井獅子は正真正銘、琴古流本曲」です。
 稽古場で練習の合間に録音した音源ですが「雲井獅子」をお聴きいただければ幸いです。
(演奏:貴志清一、河野玉水作、地無し延べ竹ゴロ節残し一尺八寸管)

  以下のリンク先からお聴き下さい。ファイルの読み込みに多少時間がかかるかもしれませんのでご了承下さい。
   ↓
<<雲井獅子 音声ファイルへのリンク>>
http://www.jm3.org/bmbnt/music/330-kumoijishi.mp3


<<雲井獅子  楽譜>>