会報 No.36

論説 ビデオ版琴古流尺八奏法の実際について 貴志 清一


◆はじめに
 本会員の皆様方より「琴古流尺八奏法」について実演VTRを作って欲しいという依頼を頂きました。
 本来、師匠が弟子に実演をもって教えても数年はかかる”奏法”ですので、それをVTR1時間で伝えるのは始めから不可能だと思って下さい。
 ただ、そのVTRをきっかけに「琴古流尺八について少し勉強してみようか」とか
「古曲の合奏で琴古尺八の人はこんな風に吹いているのだな」とか
 琴古流奏法に興味をもっていただければ十分ではないかと考えております。
 別表を見ながら以下の説明をお読み下さい。

1、基本的な琴古流尺八の特徴

・「ウ」という音はやはり琴古流の特徴です。
・レの押し送り(同じ音符が2つ以上続く時に指で音を切る)は四孔を押します。 これが都山流等と違うところで、従って曲の感じもずいぶん変わってきます。

・各音は”当たり”という、その音を出す準備的な音を割合多くいれます。
この当たりの原理は簡単で、押し送りから音出しを始めればいいのです。
おそらくそれはフルート奏法のタンギングが無いため、音をはっきりさせるためのものでしょう。
また、日本語の唄と共通する、”音の出だしを低い音から始める”という発声と関係があると思います。
この”当たり”はやはり押し指で演奏します。
琴古流の当たりは、レ 音のように色々とありますので、他流の方は戸惑うと思います。(各音の当たりはVTRで紹介)

 レ音を例にあげますと

@四を押して出す。
A三孔を押して出す。(鹿の遠音にあり)
Bツを聞かせてからレに行く
Cリツを聞かせてからレに行く

 しかも甲音ですと乙音を一瞬吹いてから甲音へ行くときもありますので一音吹くだけでも音の出し方は1種類ではないことが分かっていただけたかと思います。

2、よく使われる特殊音符

 琴古流では特殊音符の ハラロ が重要かと思います。
 特に古曲では頻繁にでます。
 また {ハ}は必ずロの前につけますので、古曲では何十回となくでてきます。(VTR例 「千鳥の曲}

3、琴古流本曲の独特な奏法

・「折り」
 他流でもあるのですが、琴古流の「折り」は割合ハッキリ折って戻します。文章では説明できませんので琴古流本曲のCD等を参考にして下さい。
 
・「消し」
 これも音が消えるか消えないかというときに音を下げてから終わります。

・「ヒ」から「五のヒ」へ行くときに五孔を細かく打ちます。(躍らせる)
 これまた特徴的な奏法です。

4、他流でもよく使う奏法

 「口伝」という書き方をしている”ムラ息”の奏法が有ります。(鹿の遠音)
 「玉音」奏法も有りまして、琴古の「ハ」の音を使うところが特徴的です。
  (巣鶴鈴慕)

◎最後に
 はなはだ荒っぽい解説でしたが、実技を伴うものはなかなか文章では表現し切れませんので、お近くに琴古流の先生がいらっしゃいましたら、たずねて下さい。 また、琴古流の本会の会員の方で、私の説明の間違い等お気づきでしたら御教示下さいますようお願いいたします。


琴古流の奏法を知りたい都山流の方へ
研究資料、ビデオ「琴古流尺八奏法の実際」ができました。尺八吹奏研究会代表 貴志 清一
 山口五郎師のようなほんとうに名人の演奏に比べるとまだまだ未熟な演奏しかできない私が、あえてこのようなVTRを作ったのは自分の若いときの経験からです。
 山口五郎師の演奏にあこがれて尺八を始めたのですが、何も知らないというのは恐いもので都山流と琴古流の違いがかなり大きいとは予想もつきませんでした。 都山流初歩の時、毎日のように山口五郎師と青木鈴慕師の「鹿の遠音」をそのころ流行のPCM録音のLPで聞いていました。

 なんとか鹿の遠音の真似をしようとしたりしましたが、まったく分かりません。そこで琴古流は諦めましてそれと同時に尺八への情熱も薄れたように思います。 当時は本当に琴古流の手を知りたかったものです。
そう考えますと、こういう琴古流のVTRは市販されていませんし、名人の方が安く提供してくれる気配もありませんので私のつたないVTRも尺八愛好家のお役に立てるのではないかと考えます。

尚VTRを希望される方は、
 590ー05大阪府泉南市岡田2ー190 貴志 清一 まで、
「ビデオ琴古流尺八奏法の実際 希望」と明記の上
ご自分の住所氏名を書いて390円切手を貼った返信用封筒(角3号)と郵便為替1000円分を同封してお申込下さい。


(事務局より)
会報を有効にお使い下さい。
・日頃考えていることを広く紹介できます。
本会は会員数70名ほどですが、会員の方の多くは教える立場の方もたくさんいます。ですから、会報を見ている方はかなりの数になると思います。
 自分が日頃考えていることをお書き下さいまして、またそれから違う意見の方の見解もご紹介しまして、より深い尺八の理解につながればいいのではないかと思います。
・探している著作、テープ、CD等の問い合わせが出来ます。
私も含めて普通の個人が所有できる資料には限度があります。欲しい資料等を情報交換コーナーを通じて探すこともできることと思います。私の見たかった「糸竹論序説」では会員の方のご好意で読むことが出来ました。
また、自分が読んだ本等のご紹介も他の会員にとって有り難いものです。
・会員同士の交流が持て、いろんな意味で視野が広くなります。
愛媛の辻様、清水様のように本会報を通じてお互い尺八の研修が出来ることもあります。


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尺八音楽のより一層の普及・発展のために本研究会を発足させていただきまし た。
尺八奏法に関して、全国の尺八愛好家の皆様の意見交流の場ともしてゆきたい と思います。
ご意見・ご質問・情報・論説をお持ちの方は是非下記にご連絡ください。  


事務局・責任者 〒590-05  大阪府泉南市岡田2−190  貴志 清一