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         デイセンター:尺八演奏ボランティア(音源付き)
                                                                   貴志清一

 ここ2,3年前から介護施設にボランティアとして尺八を吹きに行くことが多くなりました。
 今日は義母がお世話になっているデイセンターでの演奏でした。12,3人の小規模な所ですが、ここはもう4回目です。

 ギターを弾く友人の伴奏やお琴の先生、そして自作のカラオケ伴奏と毎回趣向を凝らしてきました。
 今回はいつも使う音色の上品な一尺六寸管(玉水作、七孔)をメインテナンスに出していますので地無し一尺八寸(節残し)を使うことにしました。
ほかにも八寸管、六寸管はあるのですが、何ぶん音色や吹き心地に問題がありますので演奏には使いたくない竹なのです。

 一尺八寸管で五孔ですし、マイクも使いませんので少々選曲に気をつけました。即ち、開放音でだいたい吹ける陽旋法の曲を選びました。
 伴奏は左手でコードを押さえると自動的に伴奏してくれるクラビノーバで多重録音し作ってみました。これは音色も500通りほどあり、リズムセクションもボタン一つでフィル・イン可能な便利な機械です。おまけにピッチが0.2Hz刻みで自由に設定できるので助かります。
 
 さて、会場に着きますとみなさんお待ちかねでしたので、さっそく演奏に入りました。
 「ここに幸あり」から吹きましたが、少々唐突な感じがしましたのでつぎに「子守歌」を無伴奏で吹いてみました。

(子守歌音源)
http://www.jm3.org/bmbnt/music/362-komoriuta.MP3

 みなさん、よく知っている曲ですので思わず唱和してくれました。 千昌夫の「星影のワルツ」、菅原洋一の「知りたくないの」と進むにつれ皆さんの気持ちがだんだん音楽に向いてきました。
 その流れで「君こそわが命」という水原弘のヒット曲では何人かの方がのびのびと一緒に唄ってくれてとても演奏しやすかったです。

(「君こそわが命」音源)
http://www.jm3.org/bmbnt/music/362-kimikosowagainoti.MP3

 つぎに私が小学校4年生の時に流行った「長崎の女(ひと)」を吹きました。ここに集まっている皆さんは平均年齢85才くらいです。 東京オリンピックの前年に春日八郎が唄った曲ですのでだいたい皆さんが25才~35才に歌われた懐メロです。恋多き年ごろだったのでしょう、歌詞カードも見ずに歌い上げる方もいらっしゃいました。もしかすると若いときの自分の姿を投影して歌われていたのかも知れません。

 (「長崎の女」音源)
http://www.jm3.org/bmbnt/music/362-nagasakinohito.MP3

 延々、話も交えての1時間でしたが私のささやかな演奏が「聴いてよかった」と思える瞬間を残せたとしたら、それは私の幸せなのだと思います。
 最後から2曲目は「矢切の渡し」でした。

(「矢切の渡し」音源)
http://www.jm3.org/bmbnt/music/362-yagirinowatashi.MP3

 思いの外、みなさん、気持ちが解き放たれた状態で歌っていました。 演奏しながら、
「いや、ちょっと待ってよ。ここに集まっている方は認知症、身体の障害等々、いろいろなものを持っていらっしゃる方々なのだ。しかし、こんなにも音楽を媒介に気持ちを歌で表現している。これはすごいことなのかも知れない。」と考えました。
 今回は、ていねいに尺八を演奏したときの「音楽の持つ力」を再確認できた有意義なミニコンサートでした。