戻る

                        登山流尺八本曲「大峰」?
                                                                    貴志清一
 3年ぶりに近畿の名山、役行者(えんのぎょうじゃ)が拓いた奈良県の大峰山へ登ってきました。
 洞川(どろかわ)の奥に清浄大橋がありそこが登山口になっています。
(清浄大橋)

 ここからは今だに女人禁制となっていて女性の入山は禁止されています。事の是非は差し控えさせていただき、とにかく五月晴れの中、尺八を携帯して登っていきました。
 桜で有名な吉野からの奥駆け道と出会う洞辻茶屋を過ぎる頃にはかなり高度を上げていました。ふとふり返ると北の方に金剛山・大和葛城山が見えました。その北には去年散策した二上山があるはずだと思い目を凝らしますと確かにうっすらと見えました。

(二上山)

 
 政争に巻き込まれ悲劇の死を遂げた大津皇子が祀られている山です。
 去年(2016)は二上山雌岳から大峰山をみたのですが、今年は大峰から二上山を見ているというわけです。
 道の脇には役行者が祀られていて修験道の御山(おやま)の雰囲気に身も心も清浄になっていく思いがしました。(六根清浄)
 頂上の大峯山寺にお参りし厄除けのお守りをいただいて一旦下山にかかりました。
(大峯山寺)

 山頂のお花畑で軽い昼食をとって一気にレンゲ辻の方へくだりました。レンゲ辻には女人結界の門があります。ここから登山口の清浄大橋へ降りられるのですが、極めて危険な沢道です。沢道といってもまったく水に濡れる心配はないのですが一箇所、すこし足を滑らすと10m~20mはそのまま滑落してしまう危険なところがあります。
 4年前、この谷道を登りに使ったことがありますが、登って行くとき「ここを降りるときは滑って落ちていっても仕方ないなあ」と思った記憶があります。
 ですから時間の短縮に命は代えられないのでそのまま稲村ヶ岳の方へ縦走しました。
(レンゲ辻)

 稲村小屋に着きましたが幸い時間の余裕がありましたので稲村ヶ岳に登ることにしました。ここからは標高差200mほどでしょうか、50分ほどで着きました。頂上には展望台があり見晴らしがよくほとんど360度のパノラマ写真のようです。
 幸いこの時間には誰もいませんでしたのでおもむろに尺八に息を通しました。山登りをして尺八を吹く流派ですから登山流といいます。
 登山流の入門資格は次のたった一点を守るだけで合格です。
➀どんな山にても、周りに人が居ない時に吹く。
 (静寂を求めて登山をしている方もたくさん居る!)
 (ただし、遠くで吹いているのを耳にされた方に出会い、所望されれば吹奏する。)
 
(稲村ヶ岳と尺八)
 
 稲村ヶ岳頂上ではこの条件の通り、誰も居ませんでしたので興に任せて吹きました。家に帰ってこの日の登山の思い出に時々聴いてみようと思い簡単なレコーダーを持ってきていました。
 こんな尺八の楽しみ方もあるのか、ということで稚拙な即興演奏で録音に歪みもありますが尺八愛好家の参考音源として紹介したいとおもいます。曲名はあえて言えば、「登山流尺八本曲『大峰』」?とでもいいましょうか。
(音源『大峰』)
http://www.jm3.org/bmbnt/music/365-oomine.MP3
 稲村ヶ岳も登頂できた嬉しさを胸に一路洞川バス停を目指して下ってきました。
 五時頃山から下り、まだ最終バスまで1時間ほどありましたので村営の温泉で汗を流し食堂で一人ささやかにビールで無事下山の祝杯をあげて大阪へ帰ってきました。