会報 No.37

尺八吹奏の質問に答えて 貴志 清一


本会員ののT氏より以下のようなお手紙を頂きましたので紹介させて頂きます。

■会報記事でよかったもの

数カ月前インターネットで貴研究会を知り入会以後、毎回の会報を楽しみにしています。
画面でもときどき無料で読ませてもらっています。
奥の深い楽器についてより高いレベルをめざしているのですがそんな中で「毎日の練習法」と「メリ音の練習法」はたいへん勉強になりました。また、体調がよくないとき口笛を鳴らすと口唇筋を整えるのによいというのは本当で感激しました。今迷惑にならない程度に毎日口笛を吹いています。
私から会員の皆様に提供できるものはないのですがこれからも尺八の技術向上に役立つ記事を宜しくおねがいします。

◆尺八について悩んだり考えていること

1、大甲がうまく出ない。
2、半音のツがきれいに出ない。出ても高さが合わない。
3、私の父が詩吟をやります。一尺六寸でも八寸でも合いません。どうしたら父の声の高さに合わせることが出来ますか。
4、玉音がどう練習しても出来ません。あきらめの寸前です。
5、歌口の弓形が少しかけています。もっと大きい音を出すためには歌口を替えるべきか替えざるべきか、その時に角度も替えた方がよいか。今迷っています。
6、古曲は五孔がベストと思っていますが歌謡曲、新曲、宮田耕八朗さんの曲などは多孔尺八の方が運指が楽で吹きやすいように思います。特に半音の連続音は多孔尺八が有利と感じます。その場合どの半音でいくつ開けるのが最も良いですか。
7、五線譜を見て尺八を吹きたいと思うのですがよい勉強会があれば教えて下さい。


 ご質問の内容に関しての説明は以前の会報の記事と重なるところもありますが、見方を変えての説明も会員の皆様方にとっては何かの参考になるものと思います。

☆大甲は毎日のウオーミングアップで克服できる。
「1、大甲がうまく出ない。」について
 おそらく甲音をごく小さいきれいな音で鳴らすのが難しい状態ではないでしょうか。大きい音も小さい音も、甲音を自在に鳴らせるようになれば大甲は自然に鳴るようになります。そのためには乙音より甲音に至る練習法の「毎日のウオーミングアップ」を丁寧に吹いて下さい。そうすれば大甲は克服できます。

☆半音のツは顎で1律、指で1律下げましょう
「2、半音のツがきれいに出ない。出ても高さが合わない。」について
 半音をきれいに出すためには全音の音を鍛錬して下さい。しっかりしたツの全音を出しましょう。
 そして顎だけでツの中メリまで音を下げます。
 次に徐々に1孔を塞いで丁度良い高さのところで止めます。
 この練習の繰り返しで、最終的には瞬時に半音のツが出せるようになります。
詳しくは会報17号 藤田閑山氏の「小論:ツ・ハの半音の出し方」
会報34号「メリ音を出すための一つの練習法」をお読み下さい。

☆人の声と長管は音域的には良く合う
 「3、私の父が詩吟をやります。一尺六寸でも八寸でも合いません。どうしたら父の声の高さに合わせることが出来ますか。」について
 成人男性の声の音域はだいたい尺八のレの音からオクターブ上のハ(琴古り)くらいです。(実音は2オクターブ下)
 ですから、一尺八寸ではなく、筒音がA(八寸のチの高さ)の出る二尺4寸管をお使いになりますと、もしかしたらお父様の声と合うかも知れません。
 そして長管を吹くのが無理な場合は一番低い声に八寸のレかチを合わせて吹いてみて下さい。お近くですとお教えできるのですが残念です。

☆玉音は誰でも必ず出来ます。
「4、玉音がどう練習しても出来ません。あきらめの寸前です。
 玉音は原理的には難しい技法ではありません。正しい練習法さえ続ければ必ず出来ます。
 要はうがいの原理です。最初は水を使ってうがいをします。そしてその水を徐々に少なくしていって最終的には水無しで舌の奥を震わせるように練習するのです。 あきらめないで下さい。詳しくは会報3号をご覧下さい。

☆歌口の角度をむやみに変えない方がよい
「5、歌口の弓形が少しかけています。もっと大きい音を出すためには歌口を替えるべきか替えざるべきか、その時に角度も替えた方がよいか。今迷っています。」
 弓形がかけていますと、若干ノイズが入るのではないかと思います。やはり修理した方が良いとは思います。しかしその時角度を変えるのは良くないように思います。尺八は内形が大切でして、歌口の角度も内形に関係がありますのでむやみに変えない方が良いと思います。

☆多孔尺八にするなら七孔が無難
「6、古曲は五孔がベストと思っていますが歌謡曲、新曲、宮田耕八朗さんの曲などは多孔尺八の方が運指が楽で吹きやすいように思います。特に半音の連続音は多孔尺八が有利と感じます。
その場合どの半音でいくつ開けるのが最も良いですか。」
 歌謡曲、新曲、宮田曲は七孔尺八で吹けます。その時の開ける音はツメリとハ(り)メリです。前衛作曲家のフルート用みたいな曲以外はこの七孔尺八で楽々と吹けます。

☆五線譜をマスターするには音高とリズムに慣れて下さい。
「7、五線譜を見て尺八を吹きたいと思うのですがよい勉強会があれば教えて下さい。」
 五線譜の勉強会はあまり存じません。大阪在住ですと私のところへお越し下されば良いのですが、今のところ文章で理解して下さい。 会報7、8号「童謡からはいる尺八五線譜入門(1、2)」でかなり詳しく説明しております。ぜひお読み下さい。

 


尺八吹奏研究会ホームページに戻ります

尺八音楽のより一層の普及・発展のために本研究会を発足させていただきまし た。
尺八奏法に関して、全国の尺八愛好家の皆様の意見交流の場ともしてゆきたい と思います。
ご意見・ご質問・情報・論説をお持ちの方は是非下記にご連絡ください。  


事務局・責任者 〒590-05  大阪府泉南市岡田2−190  貴志 清一