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    息乗せのユリ(ビブラート)で老化を吹き飛ばす!         貴志清一
 
 尺八奏者にとって老化による不調・スランプは誰でも経験する避けることのできないものです。
 特に口の周りの口輪筋の劣化は鏡を見ても分かるほどです。
 そのための克服法の一つが「鉛筆くわえ法」で一日数分、鉛筆を唇で挟むという方法です。
 口輪筋についてはある程度目に見えるものですし、日常生活において物を食べたり話をしたりして使っているものですから
 克服しやすいと思います。

 
 しかしもっともっと深刻かつ重大な敵があります。
 それは「息」。
 腹の底からわき上がってくる力強い勢いのある息で吹くことができた20~40才代。
 50才の大台に乗っても前半は力強く吹けると思っていたのに、知らず知らずのうちに息に勢いがなくなってきます。

 それは老化現象ですので1週間や2週間では自覚できないものです。
 50代後半でしょうか、60代になりますと個人差はあるにしろ多かれ少なかれ「息」の勢いが弱くなります。
 「息の使い方」「息に力を乗せる方法」を完全に習得している尺八奏者はこの〈息の勢いの衰え〉とはほとんど無関係に
 70才代80才代に なっても尺八演奏を楽しめます。
 しかし実際、そういう奏者は稀なようです。
 私の師・松村蓬盟先生は80才を越しても尺八を朗々と吹いていらっしゃいました。
 お亡くなりになる3ヶ月前でも演奏会に出演され、その豊かな響きで聴衆を楽しませていらっしゃいました。
 私は先生が50代の時に入門させていただきましたが、最晩年の80才の頃でも稽古場に伺って「鹿の遠音」の連管を
 していただき、その伸びのある音色に脱帽したことを記憶しています。
 
 さて、息の勢いがなくなってきますと艶や張りのある音が出しにくくなります。
 若い頃に朗々と音を響かせていた奏者ほど自分の音の衰えに愕然となり、口をひん曲げて口先の操作で張りを出そうとします。

 すると口元は急激に疲労してしまい普通の音すら出にくくなります。
 「ここで負けてはいけない」と口元を鍛えようとして息を歌口に吹きつけにいきます。
 とうとう音も出ないのに息だけ歌口に当たっている状態なので口元が硬直してしまってどうしょうもなくなります。
 私の言う、
「音が出ないための練習」をしてしまうのです。
 「これだけ口を鍛えたのだから、明日は調子が良いはずだ!」と思った翌日、
 「カスカスの音しか出ない!クソ~~~~~~!今日も口を痛めつけてやる!鍛えてやる!」
 そうこうしているうちに、本当に音が出にくくなって、それが通常の状態になってしまうのです。
 
 こういう悪循環の犯人は「息の勢いの無さ」、もしくは「息の柔軟性の無さ」なのです。
 何百、何千という上手い奏者がこのことに気づかずに尺八を諦めていきました。
 
○息の勢いを回復するひとつの方法
 「息の勢い」を回復しようとして腹に思いっきり力を入れて吹く、という単純なことではダメです。
 それは「音が出ないための練習」の時に息を吹き付けて実施済みだからです
 それではどうするか?
 
〈わずかな首振りの動きに息の拍動を乗せる〉
 
というのが息の勢いを回復するきわめて有効な方法なのです。
 私の師・松村蓬盟先生は吹き始めに必ずこれをなさっていました。
 少し(4,5回)首を横に振り、そのユリの上に「フウフウフウフウ」と息を乗せていくのです。
 話としては簡単なのですが、きわめて滑らかに音楽的にするのは難しいもので、やはり尺八は良い師匠の下に
 修得するものなのでしょう。因みに松村先生の師匠はかの山口四郎でした。

 さて、この自然界の揺らぎのような息の拍動こそが〈息の勢い〉を獲得する方法なのです。
 
 ただし、通常の奏者は初めから滑らかな横ユリができませんので『尺八奏者のユリ(ビブラート)』でも映像付きで
 解説している「(息)フーフー(首横振り)フフフフ~」を先ず修得して下さい。
 このユリ(ビブラート)修得練習そのものが取りも直さず息の勢いを獲得することになりますので、高齢者になっても長く尺八を吹き続けられるということです。
 私は1953年9月28日生まれですので丁度65才ということで、決して若くはありませんが、師匠の素晴らしい「息の拍動論」によって毎日尺八を楽しんでいます。
 まだまだ修得途上ですが、「首横ユリ+息の拍動」(2+1)によって息の勢いを得ている実例として琴古流本曲『瀧落(抜粋)』をお聴き下さい。

琴古流本曲『瀧落(抜粋)』
http://www.jm3.org/bmbnt/music/392-takiotoshi.mp3
 もしこの演奏をお聴きくださいまして「なるほど、息の勢いがあるみたいだ」とお思いになり、かつご自身が「息の勢いの衰え」を少しでもお感じになっていましたら一度『尺八奏者のユリ(ビブラート)』を練習してみて下さい。
 既にご入手されている方は、今一度この頒布資料をお読みの上、練習して下さい。
 
 
頒布資料
 ○DVD映像による『尺八奏者のユリ(ビブラート)』(解説書付)

   ビブラートには音楽に生命を吹き込む働きがあります。
   幸い、尺八のユリ(ビブラート)は横ユリと息の拍動という目で見て確認できる要素でできていますので、修得は不可能ではありません。
   解説書と映像DVDでなめらかなユリ(ビブラート)を獲得して下さい。
   頒価:2,500円(送料サービス)
   〈お申し込み方法〉
   ハガキに品目・部数、ご住所、氏名をお書きの上、
   〒590ー0531泉南市岡田2ー190-7尺八吹奏研究会宛、ご投函下さい。
   または、PC-mail: kiyosan@dune.ocn.ne.jpまでご連絡ください。
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