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      初代黒沢琴古・規矩状による地無し尺八復元の試み
                                                                    貴志清一
 1年ほど前に始まりました〈月翁文献を読む会〉も10回目を数えました。

 小菅大徹師の『江戸時代における尺八愛好者の記録』という後世に残る文献集とその解説は何回目を通しても有益な示唆を得られる貴重な本です。
 その中でも初代黒沢琴古自筆の規矩状、すなわち尺八製作設計図p80は得るところの多いものです。

 そこには1664年の『糸竹初心集』で言われた「呂律に合わせたものとも思えない」尺八から十分音楽的表現に耐えうる普化尺八への飛躍の鍵が隠されているように思うからです。
 この規矩状は表に初代琴古の文があり、裏面に実寸大の尺八設計図があります。

 「月翁文献を読む会」ではこの明和六年(1769)、初代琴古没年の2年前に書いた規矩状を読むだけでなく、実際に製作しようということになりました。

 幸いアマチュアとはいえ、かなりの製管技術をもったメンバーもいますので早速製作に取りかかりました。

 竹材入手もたいへんな幸運に恵まれ、規矩状通りの下4節で各節間が設計図通りの竹を2本用意できました。

 私は製管の方はド素人ですので、なんとなくこの規矩状のような竹材なら名竹ができるのではないかと思っていました。

 勿論この規矩状のような竹材が名竹の出発点なのですが、やはり製作者の「腕」が非常に大切だと言うことが仕上がってみてわかりました。


 地無し管を作るだけでも難しいのに、管尻を15mmぐらいで、竹翁所蔵だった「ほととぎす」その他のデータから指孔を9mmぐらいに押さえるという「縛り」をかけましたのでかなり難しい作業になりました。

 詳しい製作過程は今回は省略しますが、とにかく1本はそこそこの地無し復元管ができあがりました。

 文末の写真を見て下さい。

 試しに吹いた「巣鶴鈴慕(抜粋)」「三谷菅垣(抜粋)」のCDもお聴きいただければ幸いです。

音源:「巣鶴鈴慕(抜粋)」↓
http://www.jm3.org/bmbnt/music/397-soukakureibo.mp3

音源:「三谷菅垣(抜粋)」↓
http://www.jm3.org/bmbnt/music/397-sanyasugagaki.mp3

 さいごに、この復元製管を担当していただきましたメンバーの方へ厚く御礼申し上げます。