会報 No.4

練習始めの20分間は乙音中心に吹かねばならない 貴志清一

これは最近気がついたことなのです。昨年(1995年)10月29日、広島の厳 島神社で
1400年記念奉納会があり縁あって出演させていただきましたのですが、そ の時の曲
目が琴古流古典本曲「巣鶴鈴慕」でした。この曲は甲音だけで出来た少々吹き づらい曲
ですので夏より200回吹きを目標にしました。そしてどんな状態でも吹ける ようにと、
愚かにも毎日の練習の始めに、ウーミングアップなしに1回通して吹くように しました。
 確かにこの方法でもって一通り吹き通す自信が出来ました。 しかし、今か ら考えま
すと、唇にとっては良くなかったのだと思います。 まるで生き物のように言 うことの
きかない微妙な唇のことですから、いきなりウーミングアップなしで甲音のみ の難しい
曲を吹きますと、唇は硬くなってしまい、良い音色は出にくくなります。 
実は、いい響きの音と唇の自由さを得るためにと「毎日の日課」を著した私な のですが、
ここ半年間は何を勘違いしたのか、全く間違った方法で練習をしていました。  
一度硬くなってしまった唇は、後でいくら練習をしてもなかなかもと通りには 戻りませ
ん。おかげでくる日もくる日も、どうももう一つ調子が出ないで困っておりま した。 
演奏会当日はそれでも”息返し”のおかげで何とか吹き終えたのですが、その 後もやは
りこの巣鶴鈴慕を最初に吹く習慣を続けておりました。もちろん何となく調子 は出ない
毎日でした。 
たまたま最近、私の尊敬するフルートの巨匠のモイーズという人の伝記を読み まして、
はたと気がついたのです。(フルートも尺八も、そしてノズルがなければリコ ーダーも
パイプオルガンすらも発音原理は全く同じです。) 

その箇所を引用しますと、「朝のウーミングアップは、かたつむりの角(つの)と
いった方が良いかな。あまりにも難しいことから始めてごらん、かたつむりの 角
が引っ込んでしまって−−−おしまい! 唇だって同じことさ。」 「わしは 、
絶対に(始めは)高音域は練習しない。唇が緊張してしまうからね。だからわ し
は、低音域だけ練習する
ことにしているんだ。時間が経つとそのうち、高音も無
理なく出せるようになっている
んだ。」  
『マルセル・モイーズ』P.194、トレバー・ワイ著
、音楽の友社 この文を
読んで、いかに最初に難しい曲をウーミングアップなしに吹くことが愚かなこ とかが分
かりました。 魔がさしたとしかいいようがないのですが、唇のためには乙の リ(ハ)
より、何度も何度もゆっくりと音延ばしをして唇を柔軟にしてゆくのが大事だ と「毎日
の日課」を著した私なのですが。 ですから、もしも私のように甲音の難しい 音から始
めたり、また、比較的出しにくい乙ロから始めたりしている方がおられました ら、十分
注意していただきたいと思います。 


文献紹介 「撥雲尋道附 三曲の解説」小曽根 蔵太 著
{雲を撥(はら)いて道を尋ぬ} P.53 自由価
衣食足りて文化の花宴たけなわの昨今、世に達人・名手は数多いが、名人と万 人に認め
られる人は数少ない。 明治・大正・昭和三代にわたる三曲界で稀代の名人と して多く
の人から慕われ、活躍した 小曽根 蔵太師による尺八指導と地唄・箏曲の解 説
(申し込み先) 〒990 山形市東原町1−6−3 TEL/FAX 0236-24-0049                 
安藤 敬山 申し込みあり次第、振込票と共に送付いたします。※自由価でお 寄せいた
だいた浄財を阪神大震災の復興に寄付します。


 会員の皆様方のご意見

尺八吹奏研究会が昨年(1996年)11月に発足しまして3カ月あまり経ちます。 会報の
方も今回で4号目になりました。会員の方々のあたたかいご支援のたまものだ と感謝い
たしております。 さて、本会に寄せられたご意見も多く集まりましたのでご 紹介させ
ていただきたいと存じます。 お寄せいただいた文面そのまま字句を変えずに 抜粋・掲
載いたしますのでよろしくご斟酌いただき、また、同じようなご意見は割愛さ せていた
だきますのでよろしくお願いいたします。

(会報記事について)
・玉音は参考になりました。(多数)
・「玉音」の練習法 練習
 方法を全然知らなかったので、今後練習していきたいと思います。
・特に初心者のため
 口輪筋の説明等大変参考になります。(多数)
・中でも会報NO.2の「口笛を吹くこと」は簡単で、いつでもどこでも実践 できるの
 でヒマを見つけて口笛を吹いています。
・スランプ脱出法について・いちばん興味を持った記事は「息返しの工夫」
・「尺八毎日の日課」毎日出来ませんがよい練習になります。
・毎日の日課 特にリ(ハ)からTu・Hで練習を始めること、上下唇の位置 、発音を
 整えて練習曲に取り組むこと等、貴重な資料提供で感謝しております。 私 は乙ロから
 スターとしていたので音が整えきれないままでした。

(本研究会に望むこと)(一般論)
・単なる同好の士の集まりとしてだけではなく、尺八の普及、啓蒙の一翼を担 う存在に
 なれば素晴らしいと勝手に考えております。
・御貴殿が今まで行われていますように、尺八の楽器の構造的な解説とか吹奏 上の技術
 の発表とかを望んでおります。・尺八の音について物理学的に解明していた だけると有
 り難いのですが。
・勘の世界と思ってたものが理論で表現できることをしり非常に喜び有り難く 読ませて
 いただいております。
・私は、民謡尺八を習っているんですが、尺八を使用するジャンル(本曲、箏 曲、民謡、
 詩吟、ジャズ、演歌ETC)によっていろいろな吹奏テクニックがあると思い ますので、
 全体に共通する部分と個々に違った部分での色分け的なものもあればたいへ ん参考にな
 ります。また、尺八の譜面がジャンルを問わず手にはいるとたいへん便利で す。
・これだけ多くの会員に配布されるわけですから相当な労力も要られるものと 思います
 ので、切手の他に年会費なり、徴収されたらいかがなものでしょうか、反対 者は一人も
 いないと思います。
・ァ画期的な研究会なので、是非継続していただきたい。 ィ会費を徴収し、 執筆者へ
 の謝礼に当てるべきと考えます。 ゥ会員にアンケートを送り、吹奏上の悩 み、課題、
 工夫等を回収し、統計をとっては? (例) (悩み)     →→→  (工夫)
 筒音を確実に出したい。    1.唇の力を抜き、腹から管腔内に吹き込む   2.ヤ
 ヤカル 等・会員の方々の日頃の疑問そしてその解決策・研究のテーマや成 果などたく
 さん掲載して下さい。(そのためには自分もいろいろ勉強して疑問を持ち、 研究もしな
 くては..ですが。)・幅広い研究会に発展することを期待しています。( 特に、実践
 的な悩み解決を中心に)・貴志様による講習会 直接「尺八吹奏」を教わっ てみたいと
 思います。(ビデオを見て練習してますが、自分の欠点をチェックしていた だきたい為)
・機会があれば練習曲の第二弾を作ってほしいものです。・指使いのトレーニ ングが出
 来るような「毎日の日課」のようなものがあればよいのになと思います。・ 五線譜のマ
 スター法について・腹式呼吸についての研究、解説  海道道曲に関心を持 っています。
 成立、発展の過程などの研究の成果を知りたいと思っております。
・尺八吹奏研究会の会員のみなさん。自々困っていることとか、こういうこと はこうす
 ればうまくいくとか あると思うのですが、特に困っていることなど会員各 自に上げて
 もらってその中から随時ピックアップして全員で考えていく、 というのは どうでしょう。 
 ちなみに 私の場合曲の中で全音だろうが、半音だろうが、甲音・乙音の区 別なく均一
 に音量・音色を出すのに、どうしたらいいかということです。 消極的、他 力本願でなく
 特に尺八吹奏をやる以上、もっともっと他の楽器より前に出てアピールすべ きだと常日
 頃から思っています。(96/12/1)


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尺八音楽のより一層の普及・発展のために本研究会を発足させていただきまし た。
尺八奏法に関して、全国の尺八愛好家の皆様の意見交流の場ともしてゆきたい と思います。
ご意見・ご質問・情報・論説をお持ちの方は是非下記にご連絡ください。  


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