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 高齢尺八奏者に朗報!〜歌口と下顎の密閉〜
                                                                   貴志清一
 30代、40代、そして50代前半まで尺八をビュービュー鳴らしていたのが、いつの間にか60才を過ぎてから音に力がなくなったりしていませんか。
「尺八吹奏法U」口腔前庭理論を正しく理解して常に上唇裏に高い空気圧を感じ、力の乗った息を押し出すようにしていたのが、ここ数年なんとなく息に力がなくなったような感じをしていませんか。

 口腔前庭理論は尺八吹奏上、もっとも優れたコツの一つだと確信しているのですが、その上唇裏の空気部屋が作りにくくなってしまった。「もう年のせいかな? もう俺の尺八人生は終わりなのかな?」と考え込んだりしていませんか。
 定期的に優れた師匠の元へ稽古に行っていない、もしくはその師匠が他界されてしまった、ということもあるかも知れません。こういう場合に、この「口腔前庭理論の上唇裏の空気部屋の希薄化」がよく起きます。
 幸い私は師匠の故松村蓬盟先生に出会えて永らく教えを受け、83才でお亡くなりになる3ヶ月前まで朗々とした音で尺八を吹かれていたことを身近に知っていましたので、「尺八は正しく吹けば少なくとも80才までは朗々と吹けるのだ」と体にたたき込まれました。

 尺八奏者、特に60才以上の尺八愛好家を見ていますとあまりに尺八の音の劣化を嘆く方が多いのです。
 そのことが少々気になっていましたので、もしかしたら、ということでその原因を考えました。
 この原因の一つは、顔面の張りがなくなり皺ができて十分下顎と歌口が密閉されていないという可能性に気がつきました。
 尺八の孔を塞ぐ指を考えて下さい。冬場に指がカサカサになると音の密閉ができません。少々強めに押さえるということをよくします。
 尺八の下顎と歌口の関係もおなじなのです。しかも下顎は尺八に押しつけるのは悪い癖で吹奏上問題があります。
 微妙ですが加齢による皺によって下顎と歌口の密閉ができなくなり、またもしかしたら微少な無精髭も手伝ってますます密閉感が削がれ上唇裏に空気を集めるまえに下顎の所で圧力がもれてしまうという推定です。
 ここで、わざといつもより軽く下顎を歌口に当てて吹いた音源を聴いて下さい。
(音源1)
http://www.jm3.org/bmbnt/music/406-1.mp3
 また、わたくしの通常の演奏を聴いて下さい。
(音源2)
http://www.jm3.org/bmbnt/music/406-2.mp3
 もし私の推定が正しければ、以下のようにしてこの密閉感を作って下さい。
 〈注意〉
 あくまでも、竹を下顎に押しつけることで「密閉感」を作ろうとしない!これは吹奏上のバテにつながりますし、音の自由自在さを実現できなくなります。
 また、余分な無精髭はきちんと剃っておく。

〈密閉感作り〉
1.歌口の内側の縁にワイヤーがあると想像します。(写真の赤い線参考)
[ 写真添付]

2.そこへいつも通り下顎を当てるのですが、このワイヤーの中に少し下唇の肉を集めるようにする。
 ☆実際には男性諸氏は経験できないのですが思考実験として、ちょうど乳帯(brasiere)のワイヤーで作られたカップの中に脇肉を集めて胸を豊かに見せる感じとでもいいましょうか。

3.そして腹の底から押し上げてくる息を下唇の両側を経由して力強く上唇裏の口腔前庭に突き上げ、然る後歌口エッジに力強く落としていく。

 たったこれだけのことです。

 この文章全体が私の〈思考実験〉ということで、今回の記事に関しましてどうかこれが効果があるかどうか知りたいと思います。
 また、50才までの方にも効果があるかどうかも知りたいので、よろしければ実験して下記までお知らせ下さい。
パソコン Email: kiyosan×××dune.ocn.ne.jp
(×××を@に変えてください)
 または、ハガキで〒590-0531泉南市岡田2-190-7尺八吹奏研究会宛