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      良いリズム感を身につける 参考資料の紹介   貴志清一

 前回の421号で「リズムについて」の説明を私の尺八の生徒さんだけでなく、この尺八吹奏研究会HPを閲覧されている
 尺八愛好家にも説明してはどうかと提案されていました。
 
 すぐれた音楽家の「良いリズム感の秘訣」は名指揮者の岩城宏之と浜口庫之助(以下ハマクラ)が文章で書き残しています。
 通常「才能がなければ獲得できなのが良いリズム感である」とされていますが、「そうではなく、ある現象を繰り返し観察し
 体の動きとして訓練すれば獲得できる」とハマクラは書いています。
 そのハマクラのリズム論を知りリズムに開眼したのが日本の誇る世界の名指揮者だった岩城宏之でした。
 私も読んだのですが、いままで何となくボンヤリ感じていたリズム感覚をこの文章を境にクッキリと確信して良いリズム感獲得の
 道筋を発見した次第です。丁度ハマクラのリズム論に感激したのが尺八吹奏研究会会員さんたちから作成の希望がありました
 「CD伴奏・歌の曲・第3集、参考演奏付き」(簡単な楽譜を資料として添付)を作っているときでした。 

 HPの性質上、ここではそのリズム感覚の要点を述べさせていただきます。
 
○リズムの本質は周期的な変化である。
 いいかえますと、何か変化があるとする。それが繰り返し周期的に現れるのがリズムの本質だというのです。
 ハマクラ氏は具体的な例をたくさん引いて説明していますが、たとえば「トン、トン、トン,」とテーブルを叩いてみる。
 「トン」という「拍」であり、一つの音すなわち点でしかないが、それが連続すると何か動いているような流動感を感じる。
 この点と点の間の動き、運動がリズムである。
 「トン」という音自体はリズムではない。拍と拍の間の動きがリズムである。
 だから拍と拍が心地よくつながる時は良いリズムといえるし、不自然な合間だったら悪いリズムである。
 この「間(ま)」が良いリズムでないときは「間が抜けたように」感じる。すなわち「間抜け」な演奏になる。
 
○良いリズム、世界のトッププロが獲得している良いリズムを獲得する方法はあるのか、ないのか。答えは「ある」
 それは振り子である。岩城氏は「グイ-、グイ-、グイ-」と振り子の運動を表現している。
 この振り子の運動を毎日しっかり観察し最終的にはそれを体の中の微妙な揺れとして再現できることをめざすのである。
 (ただし、岩城氏もハマクラ氏も一流の音楽家でしたので、この振り子の動きのどこが拍にあたるかを述べていません。
 そんなの当然だからなのですが、私がある尺八の生徒に教えていたとき、それは当然でないと気がつきました。
 1mぐらいの振り子で長さをいろいろとかえるのですが、どんな長さでも拍はふりこが地面に一番近いところにきたときに存在します。
 即ち、速さが一番のところが「拍」です。ふりこに合わせて手拍子を打つときは、かならず地面に一番近いところ、重りが垂直になったときです。)

○この振り子の動きに代表されるリズムは自然界の基本法則である。長い周期のリズムとして人間の生活、太陽系の運行もその中にある

○また良いリズムを聴いたり感じたりすると快感を覚える。
 それは人間の本能である。リズムを哲学的に考えたことのない赤ちゃんですら「ねんねんよ、よいよいよい」と体を揺さぶられると快感を感じる。
 「ゆりかご」はその具体例である。電車で「がたん、ごとん」揺られていると思わず気持ちよくなり眠ってしまう。
 (時には寝過ごして次の駅まで行ってしまう失敗をする)

 ハマクラはリズム論の最後の行で
○「音楽を愛する人達は、このようなリズムを学び、音楽から人生を、さらに生命から宇宙にいたるリズムの面白さをく汲みとってほしいと思う。」
 と締めくくっています。
 われわれ尺八愛好家に即して云えば、本曲ではたっぷりとした大きな流れの良いリズム、新曲の軽快なところではリズミカルな
 良いリズムを学び、尺八を吹くことで人生や自然界の面白さまで追求しましょう、ということです。

 少々私見も交えてしまいましたが、以上がハマクラのリズム論のごく一部です。

 さらに知りたい方は是非、2冊の本 岩城宏之の「岩城音楽教室」,浜口庫之助の「ハマクラの音楽いろいろ」をネットででも購入をお勧めします。

 ハマクラのリズム論で感激してまだ半年ほどですが、現時点でこんな演奏をしていますということで「Sweet Memories」をお聴き下さい。
(音源:sweet memories) 
http://www.jm3.org/bmbnt/music/422-sweet_memory.MP3
あと1年後、5年後、10年後、もっともっと「良いリズム」で演奏できるよう精進したいと思います。
 
 因みに、本来尺八吹奏研究会会員用資料ですが強いご希望がございましたら「CD伴奏・歌の曲・第3集、参考演奏付き」
 (簡単な楽譜を資料として添付)をご入手ください。