会報 No.45

心の中で拍を数えるということ 貴志清一



まず、本会員より昨年流行った「もののけ姫」の尺八譜を送って欲しいという依頼がございました。もとよりこういう曲は五線譜で吹くと便利なのですが何とか今回は私が参考資料を使いながら作譜致しました。
 早速お送りしたのですが、おそらく無伴奏で練習されることと思います。
 こういう原曲が歌の場合、身内の方や親しい方が耳にしますと音もしっかり出ているのに、何か「うまくない」と思われることが多いのではないでしょうか。
 楽譜をお送りした会員の方が「うまくない」と言うのではなく、一般的にそういう傾向があるようです。
 
本会員の皆様は是非、無伴奏でも「うまいなあ」と思ってもらえるようにしたいものです。
 そして、「荒城の月」にしても「浜千鳥」にしても、また「もののけ姫」にしても無伴奏で本当に聞かせる尺八演奏ができると、本曲でも地歌でも良い演奏ができるようになると思います。

 さて、「うまい」演奏をするための秘訣を述べましょう。

 これは、例えばヴァイオリンを良い先生のところへ習いにいったら一番最初に教えてもらえることです。従いまして、小学校の子供でも実行していることなのです。
 それは、
心の中で1、2、3、4、1、2、3、・・・と拍を数えることなのです。
たったそれだけのことです。
 3拍子ですと1、2、3、1、2、3、・・となり、2拍子ですと1、2、1、2・・・となります。
 曲中、ヴィヴラートを入れたりしますが、その動きとは独立に拍を1、2、3、・・と心の中で数えましょう。その数えたカウントで音を正確に出しましょう。
 そうすれば、周りの人が驚くほど無伴奏で、尺八1本で音楽的ないい演奏が出来ることと思います。
 そして、「モノノケ姫」に留まらず、この方法を歌曲、演歌、民謡に当てはめて下さい。また、地歌演奏にも応用して下さい。特に「木枯」のような都山流本曲ではこの”心の中の拍打ち”は有効です。

 一般論で言えば、これは音楽を演奏する者の最低限の条件なのです。この条件を満たした上で、なんとも言えない良いリズム感覚で演奏できるのが才能豊かな音楽家なのです。
 クラッシクでは言えばG.グールドのピアノ演奏が、誰にも出きると言う訳にはいかないようなものです。
 しかしながら、普通の良い演奏は本人の努力と指導者次第で必ず可能なものなのです。
 私もこの「心の中で拍を打つ」のは西洋楽器の優れた専門家に指摘されて初めてわかったことなのです。
 素晴らしいリズム感覚にはほど遠いのですが、最近では最低限の拍打ちを心がけていますので何とか無伴奏でも恥ずかしくない程度には吹けるようになりました。



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