会報 No.66
かすかな音から大きくし、また虚空に消え入る音出しV技術?
貴志 清一
 
 本会員から匿名で以下のご質問を受けました。
 
 音程を支えながらの     ff     ppp を出す際の唇、および口腔内
(舌の形、位置を含む)のV技術があるように思います。
 特にp(小さい音)からff(大きい音)への時、唇の形を極度に変化させないとffになりませんが、練習方法に間違いがあるのでしょうか。
 
 結論から言いますと、V技術と言うほどの秘伝は無いと思います。
 この一音をpからffへ、そしてまたppp(ごく弱く)にする練習は全ての管楽器にとって最重要課題で、私も吹ける日は欠かさず練習します。
 ただ、この時に唇の形を余り変化させません。唇の形を極度に変化させながら吹くのは、かえって悪い癖の元にもなります。
 ですから、唇の形をあまり変えない範囲で大きくし、また小さくしてください。
 この練習を続けますと、だんだん上手くできるようになります。
 そして、前号にも書きましたとおり
 大きな音は息の量で出す
 ということを心がけてください。
 私も、自分ののお弟子さんに「虚空に消え入るように音を消してください。」と毎回のように言います。
 
 さて、V技術があるとお考えですが、もしあるとすればそれは、「上唇裏に小さな口腔前庭を作りながら吹く」ことなのかも知れません。
 この口腔前庭は賛否両論ありまして、自然にできるのが良いと思います。
 pppの音は肺からの直接の圧力では強すぎますので一度口腔前庭というごく小さな部屋に溜めてだすのが良いと思います。
 それに、乙ロより大甲まで一気に駆け上がる音型もこの口腔前庭があれば簡単にできます。
 どうしてもイメージできないときは、直接私の演奏の実際を見ていただければ納得してもらえると存じます。
 
 参考までに前号の音の出し方に関する部分を抜粋します。
 よくお読み下さい。
 
 《強弱は息の強さでなく、息の量の多さでつけよう。》ということがあります。
 これは私の師匠から教えてもらったことで、たいへん大切なことです
 音を大きくしようとすると、誰でも考えるのは息を強く出すことです。
 しかし、息を強くして音を大きくすることの効率が悪いのです。
 息の量を増やして音を大きくすると、
T自分が思う分、音が大きくなる。
U圧力があまりかからないので、耳が悪くなりにくい。
V雑音があまり増えなくて、実際の鳴りにつながる。
 (遠音がさす)
 練習法として、たとえば私の「毎日のウォーミングアップ」ののばす音を
 小さい音…だんだん大きく…大きく…だんだん小さく…小さく
で練習します。いわゆるロングトーンです。
 これを尺八の全ての音で練習してください。