会報 No.7

論説 700円で尺八の発音原理がわかる! 貴志清一


リコーダーは一本700円くらいで、全国どこの小学校でも使われています。
したがいまして入手はたいへん簡単です。そのリコーダー(縦笛)を使って
尺八の吹奏原理が体得できるのです。 たとえ700円でも楽器を切ってし
まうということに私も抵抗を感じますが、しかし尺八吹奏のために一本犠牲
になっても、皆さんの尺八の上達につながれば目をつむっても良いのではな
いかと考えます。 もう一度言いますが、会員の皆様は、ぜひリコーダーを
購入して切断して下さい。時間はかかりますが鉄ノコギリで切れると思いま
す。
●では具体的に述べます。 まず、リコーダーを歌口のノズルの下で切って
下さい。切った後の下半分はまさしく尺八になります。もし吹きにくい時は
アルトリコーダーで試して下さい。この下半分を尺八のように吹くと、なん
と、リコーダーの音ではなくて尺八の音になるのです。 大変不思議なこと
です。  
それでは、切った後なぜリコーダーの音が出ないのでしょうか。 それは、
切りとった上半分に秘密が隠されているのです。 切りとった上半分を加え
て吹いてみて下さい。適度な息の抵抗もあり、しかも、その出る息は掌に当
ててみると、大変きれいな整流された息の流れになっております。このきれ
いに整流された息が、あのきれいな西洋のリコーダーの音色の秘密なのです。
上半分のノズルと呼んでいる息の通る道を息が流れるうちに気流が整流され
るのです。 
ここは尺八で言えば唇の裏から唇の息の出るところに当たります。ただ尺八
は、このリコーダーみたいに息の通るところをそんなに長くとれません。
その分だけ少しノイズの入った音になるのです。この少しのノイズが尺八の
場合、良い効果を生み出すのですが。 しかし、息はある程度きれいに整流
されていなければなりません。そうしないとまったく初心者のような音しか
出ません。 このリコーダーの上半分から出る息の流れを手のひらで感じた
ら、こんどはまったく自分の唇だけでこのようなきれいな息の流れになるか
どうか試して下さい。 
すなわち、リコーダーの上半分というのは、整流された息の見本なのです。
 また、口笛が良く鳴っている時の気流も、不思議とこの整流された息の流
れに似ています。 しかも、この切りとった上半分を注意深く観察して下さ
い。息の出口のところがそのままではなく、出口のところで斜めに切ってい
るのが分かるでしょう。 
これ即ち、「唇の丸み」なのです。
いきなり空気の流れが外に出ますとせっかく整流された息の流れがまたもと
の乱流になってしまいます。 勿論このリコーダーは大変高い音用でして、
丸みといいましても少しなのですが、これがアルトリコーダーになりますと、
上下共に斜めに切っています。即ち、低い音ほど大きな唇の丸みが必要とい
うことなのです。
さて、この切ったリコーダーからもっともっとすごいことが分かります。
それは、「尺八吹奏の基礎 その3 補遺」でも詳しく解説しました   
偏心角のことなのです。 
低音を朗々と鳴らすコツは十分に唇の丸みを保って、しかも竹の中へ吹き込
むようにして息を吐く、ということです。この”中へ”どのくらい歌口のエ
ッジから逸らすかという値が偏心角なのです。(詳しくは その3 参照)
 リコーダーは実は、低音が十分鳴らないのです。どんな名人が吹いても最
低音は弱く吹かなければいけません。強く吹いたらたちまちピーーと鳴って
しまいます。 バロック時代にあれほど普及していたリコーダーが、オーケ
ストラの時代になると見る陰もなく消滅していったというのもひとえに、低
音が出ないのと、強く吹くとピーーと音がひっくり返るためです。 
それは、リコーダーの構造上の制約により息の流れは一定方向しか有り得ず、
偏心角がエッジの中へとれないからなのです。 さて、切断したリコーダー
を吹いてみますと、なんと、あれほど鳴らなかった低音が、息を中へ吹き込
むことによって朗々と鳴るのです。 これは不思議としか言いようがないの
ですが、私の理論をご理解していただいている人は十分納得していただける
と思います。  
ですから、是非とも、リコーダーを切って吹いてみて下さい。 
700円(消費税込みでも721円)で尺八の発音原理が体得できるのです。



尺八を朗々と鳴らすには(山形 安藤 隆夫氏より)  

口腔前庭の話は心理ですが骨格・唇の肉質(体質)キャリアーの違いでマスタ
ーするには苦労される方が大半でしょう。 私もいろいろ道草を食ってきた思
いがありますが。 昨年「撥雲尋道」の発刊に当たって 小曽根 照雄氏宅で
お会いし「酒」を合奏してまいりました。 そのとき一つだけ「当たりを下あ
ごで支えているが、その当てている力を抜く」 ことをご指導していただきま
した。 それを実践してみると図4、図6の通り形作りができ、ほしいと思う
音色、音律、強弱が自由に引き出せることを体感しました。一曲を通してとな
りますと、今までの癖もあり、これからの精進を期しております。 
その他、多くの要素が関わってきますが、姿勢と呼吸法が大きなウエイトを占
めると思います。
◎呼吸法は丹田呼吸により、吹く。
◎姿勢については、小曽根 蔵太師の指導要録で「端座はもちろん、いやしく
も尺八を手にするものは常に姿勢を整えて、打つ瞬間以外はすべての力を抜く 。 
竹と指の角度は直角に近くし、指は伸ばす、手首は折るな、折ると腕の力が指
に及ばぬ。竹の角度をなるべく変えず、メリカリは主として息の当て方と指で
工夫せよ」と言っておられます。 自分の現状からみて不明な点もありますが
「百聞は一見にしかず」の通り正しいひじの張りを持てば指の角度も自ずから
直角になることもあり、姿勢づくりが肝要と自覚しています。       


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