会報 第71回 
 
稽古の充実は師匠の問題
貴志清一
(N氏より以下のご質問をいただきました。)
 質問いたします。
 古典でも新曲でも(私の場合都山流)ただ音をなぞっているだけで、達成感も楽しみもなく、次々と遊んでいくだけの稽古になっています。
 私のようなものは、目標を持つか、あるいは思い切って民謡、歌謡への転向を考えた方がよいのでしょうか。
 
文面から察しますと、かなりせっぱ詰まったご様子。
 及ばずながら、私の考えを述べさせていただきまして回答に代えさせていただきます。
 
 稽古に充実感がない、従って練習も楽しくないという場合の原因はいろいろ考えられます。
 実際の場面を知りませんので、早計には述べられません。
 しかし、たとえば以下のように想像だけはできます。
 万が一、的を得ていないときはお許し下さい。
 
@師匠の技量の無さに問題があるのかも知れません。
 
A師匠の音楽的なレベルの低さに問題があるのかも知れません。
 
Bご自身の興味が、練習曲目に合っていないのかも知れません。
 
 但し、私自身、時折尺八を教える立場ですので、この@ABのことができていないかも知れません。ですから、自分自身の反省を念頭に置いて書いていると思ってください。
 
 さて、@〜Bについて、もし当たっていればという仮定で見ていきましょう。
 
@師匠の技量の無さに問題があるのかも知れません。
 師匠が高い技量を持っていれば、なかなか弟子はその高さまで到達できません。
「私は、一生かかってもこの師匠のようには吹けない。」と思うほどの師であれば、弟子は出来るだけ師匠に近づくべく練習にも身が入るものです。
 幸い、私は松村蓬盟先生に師事できましたので稽古の時はいつも「いつになったら、あのような音色が出て、あのような演奏ができるのだろうか。」と考えていました。
 少しでも直前に吹いていれば、師匠に近づいた演奏ができるのではないかと考え、稽古場の近くの公園でこっそり吹いてから稽古に行ったことも度々でした。
 そんなとき、
“稽古に充実感がない、従って練習も楽しくない”
という風には考えたこともありませんでした。
 
A師匠の音楽的なレベルの低さに問題があるのかも知れません。
 @とも関係があるのですが、弟子が曲を吹くとき、もしただ漫然と音符を音に変換しているだけなら、師匠は当然注意するはずです。
 「その曲の表現は、少なくともそういうものではない。」とか
新曲であれば「作曲者は、絶対そんなに吹いてほしくはないはずだ。」とか言うはずです。
 師匠がうまく吹けなくても、そういうアドバイスはできるはずです。師がある曲に対して敬意をもっているならば、弟子が的はずれな演奏をするとき、それを許さないはずです。
 そういう稽古をしているならば、”達成感も楽しみもなく、次々と遊んでいくだけの稽古”にはならないはずです。
 
Bご自身の興味が、練習曲目に合っていないのかも知れません。
 さて、いくら素晴らしい(有名であることとは別)師匠でも、自分自身の興味が向いていない曲を吹くときには、やはり充実感は得られないかも知れません。
 古曲はまったく興味がないのに、黒髪から始まって七小町まで百数十曲だけを練習していれば、やはり練習に身が入らないことになります。
 私はたまたま新曲も琴古流本曲も古曲も吹きますので、その人の興味にそって曲を選べるのですが、やはり自分の流派以外の本曲は教えようもありません。たとえば、海童道曲に興味のある人がいたとしても、当然私は教えるすべもありません。
 
 以上くどくどと述べましたが、何かの参考になれば幸いです。
 また、この文は私自身の自戒の文章でもあり、今後少しでも尺八道に於いて向上するようにしていきたいと思います。
     
 蛇足ながら、「遊んでいくだけの稽古になっています。私のようなものは、目標を持つか」という風にご自身述べていらっしゃるように、目標を持つのは大変いいことです。
 その中でも最大の効果的な目標は「演奏会で吹く」ことです。
 ただ、3人〜10人、まして40人・50人の中の合奏では意味はほとんどありません。お客さんが5,6人でもいいですから単管での演奏会に出ることがいい勉強になり、また励みになります。是非、そういう機会を見つけてください。きっと尺八を勉強することが充実すると思います。
 私事ですが、自分自身名人でも何でもないのに自ら小さな演奏会をします。それはやはり、自分自身の演奏を上手・下手関係なく人様に聞いてもらうという目標のためです。
 まもなく、9月16日(2001年)に以下のような演奏会で「手向」と「三谷菅垣」を吹きます。お近くでしたらお越しください。
 
尺八吹奏研究会 第5回演奏会

リコーダー・オカリナ・ケーナ
日本の尺八
 
 
出演 尺八、リコーダー・オカリナ・ケーナ:貴志清一 
   ギター:大脇建五 チェロ:西 規子 
 
日時 :2001年9月16日(日) pm1:20開場
1:40開演
 
場所 :大阪府岸和田市 自泉会館(0724-37-3801
難波-(南海本線)−岸和田または蛸地蔵下車 徒歩10
 
演奏曲目
 
第1部 世界の笛

○リコーダー
 「メヌエット」「チャルダーシュ」
○オカリナ
 「サンタ ルチア」「THE ROSE」
○ケーナ
 「花祭り」「コンドルは飛んでゆく」

 
 
第2部 尺八& ギターの独奏曲

○尺八: 尺八古典本曲 「手向」「三谷菅垣」

○ギター:「禁じられた遊び」「アルハンブラ宮殿の思いで」

○尺八・ギター:「北へ」
 
 
○入場料1000(会場準備の都合で、当日券はありません。)
※6才以下のお子様のご入場は固くお断りいたします。
 
○チケット取り扱い:
 「第5回演奏会希望」とハガキに明記し、ご住所・氏名・├ご希望枚数をお書きの上ご投函下さい。
折り返し入場券と会場地図を送付いたします。
なお、代金は当日、受付でご精算下さい。
 
 ※万一、満席の場合はその旨お知らせいたしますので、その節はご了承下さいませ。
 
○宛先 〒590ー0531 大阪府泉南市岡田2ー190 貴志清一 迄。
 
○お願い
 尺八吹奏研究会の趣旨によりまして、本演奏会へのお祝い等は堅くご辞退申し上げます。