会報 No.72
 
手のひら練習法について
貴志 清一
「手のひら練習法」というのは、手のひらに息を当て、良い尺八吹奏の息を作る練習方法です。
 
 本会会員の方よりの質問にたいして、尺八の初心者がなかなか音が出ないという悩みにたいして「手のひら練習法」という方法を紹介させていただきます。
 さて、寄せられたお手紙の内容は以下の通りです。
 
(M氏より)
 今、まったく初めて尺八を手にする人を教えています。なかなか音が出ません。
 少しずつ音が出始めています。本人の努力次第なのでしょうが、音が出るようなアドバイスをするとすれば、どんなことをポイントにしたらよいでしょうか。
 私は、たとえば孔を全部開けて吹かせ、その後、孔を一つひとつ押さえて音を出すようにさせていますが。(以上)
 
 結論から言いますと、初心者が音が出ない原因は息の流れが悪いからなのです。
 息の流れを悪くしているのは下歯による息の乱れが大きな原因です。
 良い息の流れを体験する方法を修得すれば、少々歌口に良い角度で息が当たらなくても音は出ます。音が出れば、それを良い音になるようにいろいろ口の当て方を工夫できるのです。
 そうすれば、おそらく短期間に音が出て、しかも良い音になっていくでしょう。
 【練習法】
@口笛を軽く吹きましょう。(下歯による息の乱れ防止)
Aその口で、手のひらを2〜3cmまで唇に近づけて息を吹きかけます。
B息を出しながら、だんだん手のひらをゆっくり離していきます。
C良い息の流れなら、15cm離しても手のひらに息がしっかり当たります。(判断は自分の師匠にしてもらうと良いでしょう)
D手のひらを離していっても息の流れが十分感じられるように何度も練習をするのです。
Eその上で、尺八で実際に開放音を吹きましょう。おそらく、少々ポイントがずれても鳴るはずです。
F鳴れば、いろいろと工夫して、良い音が出るところを探せばよいのです。
G練習課題は私の「尺八吹奏法T」の「毎日のウォーミングアップ」の最初の所を使えばよいでしょう。
 
 一度、お試し下さい。また、その結果もお教え下さい。
 
 
【大石氏の若い入門者が極端に少ない意見について】
(富野哲夫氏より)
 尺八の教師の所に入門することは、必ず何流の、何流系統に属することになり、流派を越えての交流の自由がなくなります。
 尺八吹奏研究会のごとく、都山でも琴古でもない集まりは少ないように思えます。
 師匠について練習することが大切と、いつも力説されていますが、系統という点で私は躊躇しています。
 西洋音楽のごとく、流派を作らない尺八界ならば、もっと若手の人も入門しやすいのではないでしょうか。
 
(村石氏より)
 尺八学が現在停滞なのかよくわかりませんが、上昇し、盛んになっていく可能性があるとしたら、少なくとも「情報の公開・交流」「教授法の確立」等の課題もこなしていく必要があると思います。
  
(宮代 寛氏より)
「『下り葉の曲』VTR尺八講座を終えて」
 民謡尺八の経験しかない私は、以前から本曲の民謡尺八には無い音色に興味があり何時かは本曲を吹きたいと思っていました。そんな時、会報95号にVTR尺八講座の受講生募集があり私はすぐこれに応募しました。
 今回お世話になった曲は「下り葉」と言う曲ですが、これまで一度も聞いたことがなく、馴染みがないため大変長い曲に感じられ、最初は本当に吹けるようになるのか少々不安になりました。また、本曲についての知識や経験が無いため本曲らしい音を出すのに大変苦労しました。
 講習は琴古流の「折り」「消し」「なやし」などの技法を様式美として捕らえ、繰り返し丁寧にご指導いただきました。民謡尺八をやっている私は唄に合わすことに重点をおき基本的な音についてはおろそかになりがちでしたが、今回お世話になり本曲の深みや広がりのある音を出すこと、音の最後をスーと消え入るように注意することなど、細かなところまで神経を使いながら吹くことを学びました。又、自分の欠点であるツのメリについては再三厳しくご指導いただき妥協の無い貴志氏の尺八に対する姿勢に感賭しました。
 まだまだ曲想については思うように表現できませんが、一、二回目の課題添削用のテープを聞くと当時をなつかしく思うと共に少しは本曲らしくなってきたのが良くわかります。
 毎回、添削テープの提出が遅れがちになり貴志氏には大変ご迷惑をおかけしましたが、約2年がかりで一応「下り葉」の曲を終えることが出来ました。
貴志氏にはこの紙面をお借りしてお礼を申し上げます。