インターネット会報 2002年1月号(元会報159号)

新年あけましておめでとうございます。
本年も会報は1ヶ月に一度更新しますので、よろしくお願いいたします。
 
 お知らせ
尺八吹奏研究会のホームページをお読みいただき、有り難うございます。内容についてはいろいろと至らない点もあろうかと存じます。
それにつきましてのご意見等をE-mailでたくさんいただいております。いただいた質問につきまして、代表的なものを取り上げて出きるだけHP上でお答えするよう努力しております。ただ、mailの返事をそのつどお出しする体制になっていませんことを深くお詫び申し上げます。
つきまして、必ず何らかの返信をご希望されますかたはお手数ですが、往復はがきに問い合わせ内容をお書きいただき、返信用の表にご住所・氏名ご記入の上〒ポストに投函してください。
よろしくお願い申し上げます。
宛先〒590-0531大阪府泉南市岡田2-190 尺八吹奏研究会貴志清一

 
 
【論説】
ユニバーサル・アンブシュア
「門外不出の秘伝」の意味するところ
貴志清一
 ユニバーサル・アンブシュアとは、音を出す直前に舌先の表面部を下唇の裏に触れさせて、それを離すと同時に音だしをする私個人のための技法です。
 私に限っては、そうすることによって、あらかじめ下歯を息の流れを乱さないような位置に置くことができるのです。
 ただし、音が出た後はいつまでも舌先の表面部を下唇の裏に触れさせていると息の自由なコントロールを阻害しますので、小さい音以外は舌先を下唇裏から離しておきます。それでも、小さい音などはこの「舌先を下唇裏に触れさせている状態」の方が音が安定します。
 つまり、音が出る直前に舌先の表面部を下唇の裏に触れさせることにより、下歯が息を乱さないようにするのです。
 有名な家元の方が弟子に「秘伝中の秘伝」として伝えているらしい「舌を下歯の上に置いて吹く」というのはこの「舌先を下唇に触れさせている状態」のことを言っているのではないでしょうか。
 今、「秘伝中の秘伝=舌を下歯の上に置いて吹く」について教えていただいた私宛のお手紙を支障のない範囲で紹介します。
 
「−−−−古来、下歯の上に舌を載せて吹奏すると1.5倍の音が出るそうです。私の友人で有名なK氏の高弟がおりますが、『下歯の上に舌を載せて練習するように』K先生から直接伝授されたそうです。もちろん自分の弟子には舌を載せて練習させているそうです。
 私は六十才からこの友人に勧められて始めましたが当時(今まで)半信半疑でした。何か理論的には合理性があるが、やりにくいので重視していませんでした。
 その後ある程度尺八も鳴るようになり、有名なY氏の高弟のM先生に一年ばかり教えていただいた機に、
『○さん、特別に熱心だから教えるが、下歯の上に舌を載せて吹くようにすれば1.5倍は鳴る』と言われ、先のK先生のことといいプロの世界では門外不出として伝えられてきていることを知り驚いた次第です。
 今回の研究(尺八吹奏研究会・会報104号)を知り、先生の情熱が各流派の名人・上手が門外不出として伝えてきたところまで到達されたことに感心し、驚いた次第です。」(引用終わり)
 
 私の個人的な尺八吹奏の工夫をここまでほめていただけるのは大変光栄ですが、問題はこの門外不出の『舌を下歯の上に載せる』という秘伝が万人に当てはまるすばらしい技術かどうかは、また考えていかなければいけません。
 私が思うのですが、極めて微妙なコントロールの必要な尺八で、ある一定の唇と舌の位置だけでは良い演奏は望めません。おそらくその家元の方は、自分では自由にコントロールしているのでしょうけれど、言われた弟子はややもすると四六時中「舌を下歯の上に置いて吹く」吹き方で自由な演奏ができないということになりがちです。その方は、せっかく教えてもらった秘伝だけれど、それは実行していないとおっしゃっています。
 
 ただ、上記の私にとっての「ユニバーサル・アンブシュア」は一度試してみるのもある種の口の形を持った人にとっては有効かもしれません。
 もし、この記事をお読みになって「音を出す前に舌を自然に下唇裏に触れさせ、音出しと同時に少し離してみ」て、万が一朗々としっかりした艶のある音が出だしたらおそらくその方は私と似たような骨格の人かもしれません。
 ここで気をつけなければいけないのは、四六時中「舌を下唇裏に触れた状態での」吹き方はしない方がよいということです。
 そして、私個人にとってのユニバーサル・アンブシュアがたとえ1000人中2,3人にしか当てはまらないとしても、その2,3人の人にとってはそれこそ「秘伝中の秘伝の中の秘伝」の価値があるのかもしれません。
 私の個人的経験であるユニバーサル・アンブシュアは常に良い状態の息の流れを作る効果があります。したがって尺八の歌口が少々違った形状でも、その良い状態の息の流れがあるので吹奏可能です。
 いままで23年間、一尺八寸管を吹いていると一尺六寸管が全く鳴らない、まして二尺四寸管も同時に吹くのは不可能という悩みを持ってきました。しかし、このユニバーサル・アンブシュアに気がついてからは、同日に2種類の竹を吹くことに違和感がなくなりました。
 おそらくは、尺八を口に当てたとき唇の周りの筋肉が少し変化します。今までは、その変化にだんだん慣れてある位置で下歯が気流の邪魔をしないポイントを見つけてきたのでしょう。しかし、そのポイントは竹が変われば違ってきます。違う竹を吹くときはまた、その竹にあわせて下歯が気流を乱さないポイントを見つける必要があったのでしょう。しかも、その違う竹に慣れるのに時間がかなりかかったのでしょう。
 しかし、今はユニバーサル・アンブシュアによってあらかじめ下歯が気流の邪魔をしない口形になっているので、一尺八寸管を吹いたすぐ後でも、みっともない程度には一尺六寸管を演奏できます。実際、先だっての11月25日(2001年)の演奏会では鹿の遠音のすぐ後で「春の海」を六寸管で演奏しました。
 もちろん絶妙のコントロールは望めませんが、演奏会本番でも違う2管を演奏できました。
 さて、ここでくれぐれも注意していただきたいのは、人間ひとり一人顔が違うように尺八を吹くためのアンブシュアも千差万別で“絶対これが正しい”というものは存在しないと言うことです。
 良い師匠はその辺を心得て、自分の弟子ひとり一人に吹奏上のアドバイスをしています。私も時々は、人に尺八を教えることもありますので的確なアドバイスができるように今後とも自分自身の技術を向上させたいと思っています。



 
【演奏会のご案内】
 
尺八吹奏研究会 第7回演奏会

尺八鶴の巣ごもり」、「北国の春その他

オカリナ…「アメイジング・グレイス」その他

チェロ…「リベル・タンゴ」
 
 
出演 尺八&オカリナ :貴志清一 
   ギター   :大脇健五 
   チェロ   :西 規子 
ウッドベース:宇根崎博信
パーカッション  :前島匡博
 
日時 :2002年2月11日(月)祝日  pm 2:30開場  3:00開演
場所 :貝塚コスモスシアター小ホール
難波-(南海本線)−貝塚下車 水間鉄道乗換 市役所前下車 徒歩3分

○入場料1000(会場準備の都合で、当日券はありません。)
※6才以下のお子様のご入場は固くお断りいたします。

○チケット取り扱い:
 「第回演奏会希望」とハガキに明記し、ご住所・氏名・├ご希望枚数をお書きの上ご投函下さい。
折り返し入場券と会場地図を送付いたします。 なお、代金は当日、受付でご精算下さい。
○宛先 〒590ー0531 大阪府泉南市岡田2ー190 貴志清一 迄。 ※万一、満席の場合はその旨お知らせいたしますので、その節はご了承下さいませ。
○お願い
 尺八吹奏研究会の趣旨によりまして、本演奏会へのお祝い等は堅くご辞退申し上げます。