インターネット
会報 2002年4月号(元会報155号)
【論説】
ビブラートは自然に身につくものか、
意図的に身につけるものか?
貴志 清一
(山口県 I氏よりのご質問)
 
 尺八吹奏研究会版「二管を吹くためのウォーミングアップ」CDを聞かせていただきました。このCDはきれいなビブラートがかかっていました。
 名手はみんな独特の美しいビブラートを身につけていると、何かの本で読んだことがあります。
 さてビブラートは
・自然に身につくものなのか。
・意図的に身につけるものなのか。
・生まれつきのものなのか(だから美しいビブラートは素質がなれけば一生身につかないのか。)
ご教授願います。
 私は一年前に貴志氏と同じ一城銘に持ち替え、ウォーミングアップで音出しの練習をしています。尺八に問題はないと思います。後は吹き方だけでしょうが、なかなかよい音が出てきません。
 
(回答:貴志)
○尺八を十年、二十年と吹いていても自然できれいなビブラートがかけられない人が圧倒的に多い現実を見ると、大多数の人にとってビブラートは「自然に身につくものではない」と言えます。
 個人的な体験からいえば、いまの自分のビブラート(ゆり)はまだまだ滑らかではなく、しかも自分のかけたい速さ、深さ(浅さ)には吹けないという悩みを持っています。それ故、毎日練習していることから“ほとんどの人は、ビブラートは自然に身につくものでない”ことが言えます。
 
 さて、私はかなり前からビブラートを意図的に練習してきました。その結果、今は何とか人前でも下手に聞こえない程度にはビブラートが身についているようですので「生まれつきの素質がなければ身につかない」ものでもないと思います。
 従いまして、ビブラートは本人がつけたいと望むなら意図的に練習によって身につけるものだと言えます。
 
 さてここではヴィブラートについての私個人の練習方法を少し紹介いたします。あくまで個人的なものですので、もしかすると私自身にしか当てはまらないかも知れません。ご承知おきください。
 
○ヴィブラートは特殊な場合をのぞき首の横ユリの動作でかけること。
○しかも、そのとき息の拍動もわからないように入れて、横ユリを支える。
【おおまかな練習法(言葉では伝わらないかも知れませんが)】
・一番だしやすい音を伸ばす(ロングトーン)
・その音にフーフーと息を乗せる。
・フーフーのあとで横ユリを入れる。
(この時一回横ユリをする毎に2回ヴィブラートがかかるはずだし、また2回ヴィブラートがかかるように絶対にする。)
・つぎに、横ユリのヴィブラートに息のフーフーを乗せる。
(この時、息1回に対して横ユリ1回でしかも、ユリ音は2回かかる。また、2回絶対にかける。)
・それができれば、最初から息の拍動のもとにきわめてなめらかな横ユリのヴィブラートをかける。
(勿論、息のフーフーが人にわかるようではいけません。)
見本としては、是非、山口五郎師のCDを何百回とお聴きください。参考としては私のCDをお聴きください。
(毎日のウォーミングアップCD)
 
 また、この問題につきまして、ヴィブラートは実演を伴いますので私に十分時間がとれ、会員の皆様方からの多数のご希望がありましたら「VTR版ヴィブラート訓練の実際」のようなものを作成したいと思っております。
 もしお急ぎでしたら、私の所へおいでくだされば何らかのアドバイスが出きると思います。
 
(本論説は尺八吹奏研究会会報155号の前半部より引用しました)