会報 No.8

論説 「五線符の調と尺八の寸法」について 貴志清一


北海道の 熊野 正宏 氏より以下のようなお便りをいただきました。
「童謡からはいる尺八五線譜入門」、オタマジャクシに弱い私にとって非常に 勉強
になりました。 ただ、一つだけ教えてください。”どの寸法の尺八を用いる のか?”
よく理解できません。 会報NO.7の五線譜対照表の、例えば、・ハ長調の 時に対応
する尺八の長さは、一尺八寸なのか、あるいは、他の長さのものなのか を判 断するの
は、どのように考えればよいのでしょうか? その辺のところがよく理解でき ません。
 何かの機会でけっこうですから、ご指導のほどお願い申し上げます。

 この問題はやはり私の説明不足が原因で申し訳ございません。うまく説明で きるかど
うか、とにかく解説したいと思います。  結論から申し上げますと、 五線譜 の音符を
吹いて、一番、カリの音が少なくなる寸法の竹が、その調 に一番合った尺八 の寸法な
のです。 言い替えますと、ある寸法の尺八で、全音で吹ける音が一番多い五 線譜の調
が一番合った調なのです。
「童謡からはいる尺八五線符入門」の各調の音階を吹いてみて下さい。当然、 一尺八寸
ではハ、ヘ、ト長調は比較的吹きやすいと感じるでしょう。 ところが、それ 以外の調
では、メリ・カリが少し多くなって吹きにくく感じると思います。この、メリ ・カリの
多少が吹きやすい調の判断基準なのです。勿論、吹きやすい、吹きにくいの違 いで、一
尺八寸で無理をすればすべての調が吹けるわけです。 でも、全曲、カリばか りでは、
やはり困ります。一応の目安として、一尺八寸、六寸、二尺、二尺四寸で吹き やすい調
を列記しますので、ご参考にしてください。
 
なお、一尺八寸の楽譜を他の寸法に直す方法は「都山流五線符解説」等を参照 して下さい。

尺八 吹きやすい調

一尺八寸管   ヘ長調 ハ長調 ト長調 二短調 イ短調 ホ短調
一尺六寸管    ト長調 ニ長調 イ長調 ホ短調 ロ短調 嬰ヘ短調
ニ尺管   変ホ長調 変ロ長調 ヘ長調 ハ短調 ト短調 ニ短調
ニ尺四寸管  ハ長調 ト長調 ニ長調 イ短調 ホ短調 ロ短調


「甲乙ともに朗々と尺八を鳴らすには」について 藤田 閑山 氏より
 
口腔を広げ、高気圧に保つというこつは、小生も最近感じるところです。口腔 、胸腔内
の用圧が丸い唇を良い形にしてくれるのです。これは重要なコツです。 最近 、歌口を
くちびるから離して軽く息を出すと、良い音が鳴るように思います。ともあれ 、尺八を
始めて20年目にして 貴志氏の吹き方に変え(従来の吹き方での音色に愛想 がつきて
いた)、新しい世界が開けたことを報告します。 次に【唇が震える】という ことにつ
いて考察します。 唇が震える原因は、唇に力が入っているためです。 
上下歯が接触する咬合状態から2〜3mm開口した状態(上下歯の距離)出、 呼気のみ
にて閉じた唇を内側から押し、そして上下唇の隙間が出来、呼気が大気に出て ゆくのが
理想型と思われます。この吹き方なら唇は、震えようがありません。 
震える方は、貴志氏の吹き方が十分に自分のものになっていないと思われます 。


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