明けまして

 おめでとうございます。

  本年も何卒よろしく

   お願い申し上げます。

 

                                                                               

 

 

 

 

 CD 貴志清一尺八古典本曲集

 

 

    〜鹿の遠音〜他

 について

 

 

 

 

はじめに

 この度、「貴志清一尺八古典本曲集〜鹿の遠音〜他」と題しましたCDを作成いたしました。

 これは、2年前に作りました『演奏会用尺八本曲集』が好評にて、遅くお申し込みいただいた方にはお送りできなくなり、心苦しく思っておりました。また、時間が経ち「巣鶴鈴慕」ツメリのピッチのうわずり、「手向」の“虚音”の演奏ミス等がCDの複製を思いとどまらせていました。

 従いまして、ここ1年間ほどは新たな録音の必要性を痛感してきました。

 

 1.伝承と継承

 私は社中でいえば、山口五郎師の竹盟社に属していました。もちろん琴古流を始めた動機は「山口五郎師のように“鹿の遠音”を吹きたい」というものでした。

 幸い、竹盟社のすばらしい師匠に巡り会えて10年余り琴古流古典本曲を勉強させていただきました。飲み込みが悪く、師匠がよい見本を何度も示しているにもかかわらず、それ理解することが困難でした。 音を一瞬低めてまた元の戻す「折り」という技法がなんとか出きるようになるのに5,6年はかかったと思います。また、ツメリが自分の出したい高さになるまで10年以上かかっています。

 勘の良い弟子なら1年足らずで出きるようになる技法を私は10年以上かかりました。また、今でも努力しています。

 山口五郎先生はお亡くなりになられましたが、お残しになった「琴古流本曲表裏36曲」のCDは広く尺八奏者の模範となっています。

 

 私もこの流れを汲むものですが、吹いているうちに少々疑問も出てきました。日本の芸事は、伝承をそのまま、水を新しい容器に移すようにして習うものです。従いまして、琴古流本曲についての疑問は質問しようがありません。それで、自分なりに考えてきました。その為に、少々尺八の歴史を勉強したりしました。

 次にあげるものが私の伝承されている、琴古流本曲にたいする疑問です。

@琴古流は、早くから陰旋法に切り替えたので谷北無竹師が吹くようなツ(中メリ)は使わないが、それにしても、ツメリから一度折りを入れてレにいく吹き方が乱用されているのではないか。?

 今は装飾的に吹くツでも、ツメリから始める。それが音楽的に良いものだと話は別だが、なんでもかんでもツメリから始めるので曲の旋律の美しさが損なわれるのではないか。

 同じように、甲のヒは書いていなくても(ウ三)を入れる。この(ウ三)は印象的な響きだから、それを何回もされると押しつけがましく聞こえてしまう。

 

※今回のCDでは、原則的には短いツは文字通りツ(カリ)レーと吹いています。

 また、甲のヒは裏孔を押すだけでヒを鳴らしています。

A故山口五郎師もNHKのFM放送などで本曲を演奏する場合、聞きやすい時間にするために、大胆に曲を抜粋して吹いています。

 今から300年前に出された普化尺八の独習書「三節切初心書」には現行の「栄獅子」の元になった「堺獅子」の楽譜が載っています。それは、もとは琴、三味線とも合奏できるような乱曲でした。しかもその長さは今と比べてかなり短いものです。

 そうすると、時代が下るにつれて演奏時間がだんだん長くなり、ややもすると冗長になってきたとも言えます。

 現在、自分の楽しみだけで吹くにしても、7,8分で吹ける本曲の編曲版は必要なのではないでしょうか。

 本CDでは、私の責任において全曲抜粋版で演奏しています。

 唯一、海童道曲の「手向」はもともと5,6分の曲ですのでそのまま演奏しています。

 

B他流の曲を琴古流の技法で吹いても、音楽的に無理がなければ、それはよいことだと思います。

 今回のCDにも「手向」入れました。この曲は音楽的にすばらしいので、各流派の技法に関わらず大変よい曲に仕上がるものだと思います。

 同じ道曲でもコミ吹きを伴うもの などは、このコミの技法自体に大きな意味がありますので琴古流的に吹くのは無理があるかと思います。 ただし、琴古流の方でも、コミ吹きを習得された奏者はまた別だと思いますが。

 

以上@,A,Bの点から今回のCDを作成することになりました。新たな録音と言うことで、無音のスタジオに籠もっての作業となりました。

 まだまだ修行中の身ですが、2002年現在、江戸時代から伝承されてきた尺八古典本曲を吹いている一人の人間がいると言う事実を示したくCDを作成したわけです。

 今後とも、尺八が少しでも上達するよう精進していきたいと思うこの頃です。

 

※参考までに「三節切初心書」掲載の「堺じし」を以下に示します。 この時代、すでに甲乙の明確な違いが存在しました。

 (カン、オウツが表記されている) (インターネット会報では省略)

 

上記CDのご案内】

 平素は本研究会につき、お世話になります。

 さて、今回「貴志清一古典本曲集〜鹿の遠音〜他」と題したCDを作成いたしました。

 演奏会で私がよく取り上げる曲、6曲を集めました。全曲楽譜をつけておりますので、ご参考になるかと存じます。前回のCDと重なる曲もありますが、演奏は2002年12月のものです。

よろしければ、下記の要領でお申し込みくださいますようご案内申し上げます。

    【CDお申し込み要項

名称 :CD「貴志清一尺八古典本曲集」

〜鹿の遠音〜他

頒価 : CD1枚\1500

(全曲琴古譜付き、送料サービス)

 

葉書に「住所、氏名、入用枚数」を記入の上、

   「〜鹿の遠音〜希望」と明記し

5900531 大阪府泉南市岡田2190

尺八吹奏研究会 貴志清一宛、ご投函下さい。

 CD

 

「貴志清一 尺八古典本曲集」

 

  〜鹿の遠音〜他

 

 @ 鹿の遠音(6分)

 

 A 山谷菅垣(5分)

 

 B 夕暮の曲(6分)

 

 C 下り葉   (4分30秒)

 

 D 手向  (4分)

 

 E 巣鶴鈴慕(5分)

 

 ◇全曲琴古譜付

 

※なお、部数に限りがありますので、その節はご連絡いたしますので御容赦ください。