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インターネット会報2003年8月号

お知らせ
尺八吹奏研究会第10回演奏会を来る9月28日(日)に開催いたします。
要項は文末をお読みください。
また、ご質問等は必ず返信用ハガキにてお願いします。
〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190 貴志清一


鏡で唇の形を見るとスランプに陥りやすい? 貴志清一  

N氏より以下のようなご質問をいただきました。  尺八上級者でも時には陥りやすい問題ですので、長くなりますが引用させていただきます。

拝啓、 早速会報等貴重な著作物を送付いただき有り難うございました。また、情熱を大切にせよとの励ましも頂き感謝申し上げます。現在の情熱を持ち続けたいと思っております。  尺八吹奏法Iをすぐに読ませていただき、口腔前庭と上唇の丸みに重点を置いて練習しております。生来の唇の形態のせいか、それとも訓練不足のせいか分かりませんが、口腔前庭はできても上唇はなかなか丸くなりません。確かに口笛を吹くときには丸に近くはなりますから練習すれば丸くなるのかもしれません。  ただし、今のところ感じておりますのは、唇の形は私だけでなく多くの方が下唇は丸くなりやすいが、上唇は残念ながら丸くなりにくいのではないだろうか、ということです。つまり、唇は私の場合普段は図の様な形をしています。つまり、上唇の中央がやや下がっているのです。これは唇の形状が本来もっている構造的なものだと思います。
つまり、鼻の最下部から出て上唇に至る2本の筋が誰にもありますが、その筋の部分は周囲に比べて山の尾根のように盛り上がっており、盛り上がったまま鼻の下から上唇に至っています。それを上唇のサイドから見ると、上唇のラインは口角(口の端)から唇の中央に向かって斜めに登っていき、鼻の下の筋の尾根と交差するところで最上となりそこから少し下って唇の中央でもうで方の口角から来た唇ラインと交わります。二上唇の中央で唇ラインが谷間を作る。その谷間は、唇の盛り上がりを形成する。その、上唇自身としては盛り上がっているその形状は、上唇の内側の円形を中央部で下に向かった出っ張りとなってしまうのです。その出っ張りは唇の丸みを作るのを妨げています。口笛を吹く場合、唇の周囲の筋肉が緊張して突出を吸収して丸くなります。しかし、力を抜いてしまうと下に下がって丸みの逆の盛り上がりを作ります。私の場合はそうなります。しかし、この現象はかなりの人で共通すると思います。上唇の内側をラッパのように前に出すことにより、出っ張りを前に出して、より内側の柔らかい部分を空気の通り道とすることで解決できるかとやってみましたが、唇の内側には唇をすぼめる筋か筋肉のようなものがあってそれが丸みを邪魔します。しかし、そうはいっても上唇の丸みが良質の音色をもたらすとのことなのですこしでも近づくように練習して行くつもりです。今後ともよろしくお願い申し上げます。 敬具

 図略  

さて、このお便りを読ませていただきまして、おっしゃっている意味が大変よく分かりました。  私の「尺八吹奏法T」を文字だけで読んでいただくと、ややもすれば私の意が伝わらないことが分かりました。  実際に私の所へ何回か来ていただいて実演を交えながらお話しさせていただきますとご理解できるのにと感じました。  N様は東京在住ですので、この文面を借りましてできるだけの説明をしてみたいと思います。

 さて、唇の形状を描いていらっしゃいますので、おそらくはご自分の尺八吹奏時の唇の様子を鏡に写しているのではないかと思います。  そのときに、上唇の出っ張りが邪魔をしてきれいな息の出口が形成されないことに悩みを持っていらっしゃるようです。  しかし、極端に言えば、図にお示しの上唇の出っ張りがあっても上唇の丸みは十分形成されるのです。  私の言う「上唇の丸み」とは、鏡に写したときの丸みではなく、横から見た時の息の通り道における丸みなのです。「尺八吹奏法T」ではそれを偏心角と呼んでいます。  鏡に自分の唇を写しているときは、ややもすればスランプに陥ります。何故なら、尺八吹奏のアンブシュア(口の形)は立体的なもので、決して正面から見た時の形ではないのです。  たとえ、鏡に写してきれいな流線型の息の出口が作られていてもそれだけでは、まったく貧弱な音にしかならないことが多いのです。豊かに朗々とならしている奏者をじっくり観察してください。おそらくは、腹のそこから上がってくる息が、まるで粘りがあるごとく長い距離を唇の裏にまとわりつきながら出ていることでしょう。  図に描いているとおり、唇の丸みは顔の断面、唇の断面の丸みなのです。    

図略  

もちろん、お書きになっているように 「上唇の内側をラッパのように前に出すことにより、出っ張りを前に出して、より内側の柔らかい部分を空気の通り道とすることで解決できるかとやってみました」という努力はよく理解できます。  しかし、ここでも私が書いている「唇の赤いところには力を入れない」という原則がおそらく守られていないと思います。  上唇の内側をラッパのように前に出すことにより、唇に余計な力が入ります。そうすると、どんなに理想的なアンブシュアであっても良い音は出ません。  ここで、口腔前庭が生きてくるのです。上唇と上歯の間にほんの少しの空気部屋を作るのです。作るという意識は良くないですね。息を出すときに自然とここの口腔前庭に息を通すという風に考えましょう。そのときに唇の赤い部分には絶対力を入れてはいけません。しかし、唇の周りはしっかり支えましょう。その感覚は何回も述べたように「口笛を吹いている」ときの感覚なのです。  ですから、あまりに鏡を見すぎますと必ずスランプに陥ります。  私は、「鏡を見る危険性」に気が付いてからは、目を閉じて自分の出す息の通り道をイメージするようにしました。そうすると自ずから良い音が出るようになってきたのです。    もう一度、「尺八吹奏法T」を読み返されて練習していただけますよう、お願いいたします。ご来阪の折りは拙宅までお出かけください。大抵、月2回程度の日曜日は時間にゆとりがあります。

【お知らせ】             
 尺八吹奏研究会 第10回演奏会
邦楽の名曲 & 尺八で聞く日本の歌
「鹿の遠音」「梶枕」「春の海」 │「浜千鳥」、「荒城の月」他

出演 尺八 :貴志清一 他
日時 :2003年9月28日(日) pm1:30開場 2:00開演
場所 :大阪府田尻町立「愛ランド・ハウス」
難波-(南海本線、和歌山市行き 40分)−吉見ノ里下車、徒歩8分 
○入場料1000円(会場準備の都合で、当日券はありません。)
※6才以下のお子様のご入場は固くお断りいたします。
○チケット取り扱い:  「第10回演奏会希望」とハガキに明記し、Tご住所  Uご氏名  Vお電話番号  Wご希望枚数   をお書きの上ご投函下さい。 折り返し入場券と会場案内を送付いたします。 なお、代金は当日、受付でご精算下さい。
○宛先 〒590ー0531 大阪府泉南市岡田2ー190 貴志清一 迄。  
※万一、満席の場合はその旨お知らせいたしますので、その節は悪しからずご了承下さいませ。
○お願い  尺八吹奏研究会の趣旨によりまして、本演奏会へのお祝い等は堅くご辞退申し上げます。