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インターネット会報2003年10月号  

御礼 先日の尺八吹奏研究会第10回演奏会は小さい会場にもかかわら ず多数のご来場をいただき、誠に有り難うございました。  また、1ヶ月前に入場券は完売となりせっかくお申し込みい ただいた方々にはお詫びのお葉書をお送りさせていただきま したが、重ねて失礼をお詫び申し上げます。  来年になりましたら第11回目の演奏会を開催させていた だきますので、その節は是非お越しくださいませ。   

〒590-0531 大阪府泉南市岡田2-190 貴志清一

「楫枕」が作曲された江戸時代後期の地歌の概観                                          貴志清一  2003年9月28日、第10回目の私の演奏会にお越しいただいた方々に、まず御礼申し上げます。  そして、残念ながら事前に満席となり、ご参加いただけなかった方々には心よりお詫び申し上げます。  せめて当日の雰囲気を感じていただくため、そして当日の演奏曲「楫枕」の解説文によって江戸時代後期・地歌の時代背景を知っていただくために、この日のプログラムの一部を掲載させていただきます。 何かのご参考にしてくださいませ。

尺八吹奏研究会 第10回演奏会 邦楽の名曲 & 尺八で聞く日本の歌

出演 尺八:貴志清一     箏 :菊苑 馨    三絃:村田 滋    ギター:木村 智 日時 :2003年9月28日(日) pm1:30開場 2:00開演 場所 :大阪府田尻町 愛ランドハウス

演奏曲目 第1部 邦楽の名曲 ○尺八独奏  「鹿の遠音」(琴古流本曲:一尺八寸管) ○三曲合奏   「楫枕」(菊岡検校作曲) ○箏・尺八合奏 「春の海」(宮城道雄作曲) 第2部 ギター・尺八による日本の歌 ○ 「浜千鳥」 「荒城の月」 「千曲川」 「矢切の渡」 「知床旅情」(ご唱和ください) 「柔」 「女ひとり」

【解説】
○「鹿の遠音」(琴古流本曲)  奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の……百人一首にある歌の通り、雄鹿・雌鹿がお互いを求めて秋の紅葉の山奥で鳴いている、そういう情景の曲です。  黒沢琴古(1710〜71)が始めた琴古流では秘曲として伝承されてきました。

○「楫枕」(菊岡検校作曲)  菊岡検校は文化文政天保(1804〜44)時代の代表的な地歌の作曲・演奏家です。  地歌は文字通り「地」・上方の歌で江戸生まれの江戸歌と区別されています。地歌を職業としていたのは江戸時代の盲人音楽家でしたが、享受していたのは文化的サロン的役割を担っていた遊里に集う商人、文人墨客、武士、それに一般の人々でした。  特に文化人達は演奏もたしなみ、地歌の作詞もして楽しんでいました。お座敷遊びの中心となった地歌ですが、箏が装飾的にあしらわれ、素人の家庭でも地歌は箏曲と共に伝習されました。  こうした地歌は今のカラオケのように気軽に歌われていたらしく、歌詞集が山のように出版されていて、今でも古書店にいくと手に入ります。  本日演奏の「楫枕」も地歌の名曲ですが、本来は座敷で演奏する関係で音量も必要なく、また歌詞も有名なので聴衆は「自分の知っている歌詞を思い出しながら」聴くことになります。その意味では台詞をほとんど覚えていなくては楽しめない「能」と同じですので、せめてここに歌詞を載せておきます。  江戸時代に粋な旦那がお座敷で三曲合奏を楽しんだ雰囲気なりとも感じていただければ幸いです。

空艪押す 水の煙の一方に 靡きもやらぬ川竹の 浮節繁き 繁き浮き寝の泊まり船  寄る寄る身にぞ思ひ知る 浪か涙か苫もる露か 濡れにぞぬれし我が袖の しぼる思ひをおし包み 流れ渡りに浮かれて暮らす 心盡しの楫枕 差して行方の遠くとも  遂に寄るべは岸の上の 松の根堅き契りをば せめて頼まん頼むは君に 心ゆるして君が手に 繋ぎ止めてよ 千代萬代も  

「春の海」(宮城道雄作曲)  宮城道雄の代表的な作品です。お正月になると必ず聴かれる曲ですが、日本音階を基本にして華やかに作曲されています。