D−STAR(DDモード)運用実験


 アマチュア無線の本格的なデジタル通信(D−STAR)のDD(デジタルデータ)通信モードを使用して、2つの接続実験をしましたので、その一部を紹介します。
 @ モービル運用で、デジタルレピータを介してインターネットへ接続    
 A デジタルレピータを介さず、2台のデジタルトランシーバを接続     

@ モービルに1200MHz帯のデジタルトランシーバ(ID-1)とパソコンをセッティングし、デジタルレピータを介してインターネット回線への接続実験をしました。走行中や停車中の接続状態を検証してみました。
 (JARLからの固定IPアドレスの割り当てが必要)
D-STAR  モービル運用セッティング
設置場所からの運用(ID-1)
(左上:コントローラ 右上:本体)
モービル運用(助手席にセッティング)
デジタルトランシーバ(ID−1) 1200MHz モービルアンテナ(SG8500) GAIN:6.8dB
 トランシーバとPC間の接続は簡単です。LANとUSBの2本のプラグを差し込むだけです。

結果から報告すると、
 ★ 無指向性のホイップアンテナでも十分に安定して通信ができる。
 ★ 走行中は通信できない。
D-STAR  パソコン画面
パソコンからID−1をコントロール 通信速度を測定中

測定条件
 ■ 使用デジタルレピータ:JP3YHJ(大阪府東大阪市:生駒山)
 ■ アクセス地点:奈良県葛城市周辺(直線距離 約20Km 地点)
 ■ 使用トランシーバ:ICOM ID-1 (1200MHz 1W)
 ■ 使用アンテナ:DIAMOND SUPER GAINER SG8500 (6.8dB)
 ■ アクセス先:IPカメラを設置し連続的にダウンロードできるようにした。

結果を具体的に報告すると、
 ◎ 通信速度は約10KB/sで、通常のホームページの閲覧には十分なスピードである。
 ◎ 生駒山が直接見える場所では安定して通信ができる。
 ◎ ただし、アンテナ位置により直接見える地点でも通信できないこともある。
 ◎ 車を近くのビル等の陰(生駒山が直接見えない所)に移動すると、とたんに通信がとぎれる。
 ◎ 生駒山からの障害物のない見通しの良い広場でも、車をゆっくりと移動すると全く通信できない。
 ◎ 停車すると、また安定して通信が始まる。
 ◎ 車の向きも影響する。生駒山とモービルアンテナの間に車体がある位置では通信がかなり不安定になる。
 ◎ 道路脇に駐車して通信中にダンプカーなどが通過すると不安定になる。
 ◎ さすがにデジタル通信!! 通信ができるか、できないかのどちらかである。
 ◎ とりあえず面白い。移動運用などでインターネット環境にない所からアクセスできるのは最高である。
 ◎ デジタル通信ではマルチパスによる影響でホイップアンテナでは通信が難しく、指向性のあるアンテナが必要であると思っていたがそうでもないようである。
 ◎ ブロードバンド時代に遅い通信にメリットがあるのか?そんなことはない。帯域の狭いアマチュアバンドの中で通信ができるデジタル通信に魅力を感じる。デジタルの世界、通信ができるかできないかが重要であると思う。

D-STAR(DD mode)  運用実験(トラフィック)
通常は、接続できると安定して通信ができる。(10KB/s)
このように不安定になることもある。(5KB/s)
車をゆっくり(5Km/h以下)と移動した場合の例 (3.5KB/s)

 それでは生駒山レピータの近くでは安定した通信ができるのかと、車を走らせてみた。
 ○ 生駒山の近く(直線距離 8km地点)では、停車中や超低速走行中は安定して通信ができるが、時速20Km/hを越えると通信が完全にとぎれる。
 ○ 生駒山の眼下(直線距離 4km地点)では、時速60Km/hで走行中も、とぎれず通信ができました。(障害物がある区間を除く)
 ○ とりあえず、ビル等の陰になると極端に通信が落ちる。

 ● 非常災害時の公衆通信が使用できない場合には、アマチュア無線の通信が重要であると考えています。そのような場合に機動性のあるモービル運用が不可欠であり、また、ビームアンテナを設置するような余裕はありません。モービルアンテナから通信のできる範囲や通信の特性を日頃から把握しておくことが重要ではないでしょうか。デジタル通信にはアナログではできない現場の画像や動画のデジタルデータ配信等が容易にできます。地域社会に貢献できる趣味でありたいものです。


A 2台のデジタルトランシーバ(ID-1)を使用し、デジタルレピータを介さず直接接続をしてデジタル転送をする実験をしました。1台にはIPカメラ(BL-C10 パナソニック製)も接続して連続データを送信できるようにした。そしてもう1台のトランシーバ(モービル搭載)から、このIPカメラにアクセスをした。
 (JARLからのIPアドレスに関係なく任意のIPアドレスを使用可)
D-STAR  IPカメラ接続
IPカメラとID−1を接続 受信画面 カメラの画像(動画)を受信中
 送信側では、デジタルトランシーバ・IPカメラ・パソコンをHUB(ルータは不要)を通して接続しています。(写真左)
 写真右は、受信側(モービル)から、このIPカメラにアクセス中の画面です。
 デジタル通信のすばらしいところは、接続さえできれば、アナログと違ってデータにノイズなどが入ることなく完全に転送されることです。

D-STAR(DD mode)  運用実験(トラフィック)
送信側のトラフィック
受信側のトラフィック

 ● D-STARのデジタルトランシーバは、レピータを介さなくても見通しであれば、お互いを接続することができます。
 例えば今回の実験のようにIPカメラを接続して動画を配信するような場合にはパソコンが不要で、直接送信用のデジタルトランシーバにLANケーブルで接続しておくだけでOKです。(もちろんトランシーバやカメラの設定は事前にしておく必要があります。)
 そして、受信用のトランシーバからパソコンを使ってこのカメラにアクセスをすれば動画を見ることができます。カメラの遠隔操作や設定変更なども受信側のパソコンからコントロールができます。
 停電を伴うような非常災害が発生し、公衆通信やさらにレピータも使用できないような事態には威力を発揮します。車載であれば停電の心配もなくリアルタイムな中継が可能で状況の把握が容易になります。防災意識のもったアマチュア無線家の皆さんは是非、災害時に備えて準備や実験を自分なりにされることを願っています。


 現在のデジタルトランシーバ(特にDDモード)を使用するには、IPアドレスの設定やネットワークの多少のパソコンの知識も必要になります。ハンディトランシーバのように買ってすぐに使えるものではありません。
 私もそうですが購入してすぐに箱から出したものの、この物体(デジタルトランシーバ)が、どのような動作をする機械か正体がさっぱり分からずで、取り扱い説明書と、かなりにらめっこをしました。苦労して動作したときは、少なからずとも喜びがありました。
 このページを、ここまでご覧いただいた皆様は、アマチュア無線のデジタル通信に興味を持たれている方だと思います。是非、アマチュア精神を発揮して未知なるものにトライしてみてください。それを願ってこのページを作成しました。将来的には買ってコールサインを入力するだけで即動作という時期が来ると思いますが。ごちゃごちゃしている今こそが、遊びとしては、おもしろいのでは思います。


JARL D-STARプロジェクト JARL次世代通信委員会
ICOM(株)のD−STARのページへ